- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062185028
作品紹介・あらすじ
日本の近代化を推進する原動力として、明治新政府が総力を挙げて建設した富岡製糸場。開業翌年の明治5年、この大規模器械式製糸場内で、若き工女が惨殺死体となって発見された。密室殺人の裏に隠された意外な真相に、被害者の傍輩である工女が迫る。『誘拐児』ほかで時空を超える人間の業と謎を探求し続ける江戸川乱歩賞作家による、近代日本ミステリー。
感想・レビュー・書評
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(2022-02-01)
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明治5(1872)年に建設され、世界遺産にも登録されている、日本初の官営模範製糸場・富岡製糸場を題材とした歴史ミステリ小説。
工場長・尾高惇忠の娘にして、最初の工女である勇を探偵役に、製糸場で起こった工女怪死事件を追っている。
とはいえ、第一発見者であるヒロインの推理は終盤に披露されるのみで、描写の比重は周辺人物――旧幕府側の義勇軍・彰義隊から離反した工場長、司法省警保寮の警部、地元警察の駐屯所長etc.――たちの来歴の方に置かれている。
近代化が推し進められる新時代においても、だからこそ、旧時代の遺恨や苦渋、屈折を引き摺る者がおり、鬱屈した心情があちこちで絡み合う。
密室の謎の解明は他愛のないもので、推理小説の醍醐味を求める読者には不向きかもしれない。
また、後半の緊迫感を引き起こす一揆騒動の収束も呆気ない。
しかし、明治初期の複雑な世相や、富岡製糸場の威容と展望が強く協調されているのを見るにつけ、作品の真の主役は、この製糸場自体なのだろうと思われる。 -
2月-11。2.5点。
富岡製糸工場で、密室の炭置場で工女が死亡。
工場長の娘は、その工女と仲が良く、謎解きに。
時代背景が面白いが、ご都合主義的なトリックと
あっけない結末。
うーーん。 -
四日間の出来事とはいえ、急ぎ足気味。この倍位の枚数でじっくりと読みたかったなあ。
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富岡製糸場の様子がよくわかって、興味深かった。
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工女や工場長など、健気に頑張る人々がさわやか。
世界遺産となった、富岡製糸場の歴史的背景や構造、生糸づくりの仕組みについて、よく知ることができる。
タイトルから想像するような謎解きメインではなく、ミステリは脇役な印象。
富岡製糸場を描いた物語として、面白く読んだ。 -
2014年8月刊。明治維新ミステリー。富岡製糸場の当時の様子や歴史が、良くわかり、楽しめました。しかし、事件と謎は、工夫が少なく、あまり楽しめませんでした。
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富岡製糸場で起きた密室殺人事件。ああ野麦峠、大竹しのぶを思い出すところが、昭和です。