追憶の夜想曲

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062186360

作品紹介・あらすじ

豪腕ながらも、依頼人に高額報酬を要求する“悪辣弁護士”御子柴礼司(みこしばれいじ)

御子柴は、夫殺しの容疑で懲役十六年の判決を受けた主婦の弁護を突如、希望する。
対する検事は因縁の相手、岬恭平。岬は以前担当した裁判で惨敗した経験から、
弁護人が御子柴に代わったということを聞き、衝撃を受ける。

御子柴は、なぜ主婦の弁護を希望したのか? そして第二審の行方は?

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第二作は、御子柴の過去と現在を繋ぐ物語。
    (今作から文庫本でなく単行本にしました)
    第一作では、彼の過去がしっかりと描かれていましたが
    それを踏まえての今作の結末には、何とも言えない複雑な気持ちです。

    夫殺しの容疑で逮捕された普通の主婦を弁護する御子柴。
    彼が得意とする多額の報酬を要求できる案件ではありません。
    なのに、前任の弁護士を脅してまでも 引き継いだ理由とは?
    今回の事件にも、驚愕の結末が控えていました。
    御子柴が是が非でもこの事件を弁護したかった訳も明らかになります。
                                              
    そして、今作の見どころ(読みどころ?)
    それは何といっても、あの岬洋介の父、岬恭平 検事との対決です。
    優秀な弁護士と検事、二人の 丁々発止のやりとりに
    途中で本を閉じることができなくなりました。

    今回のテーマ曲は、ショパンのノクターン第二番。
    切なく美しいメロディーですが
    この曲に被告人の強い悔恨の記憶が重なります。
    「護るべき者を護れなかった」と。
    被告人のこの想いが、事件で重要な役割を果たします。
                                                                                
    結末は、今作も すっきりとしています。
    ですが、読後感は 爽やか とは言えません。
    人間の奥深くにある罪深さを目の前にさらされたようで。
    でも、ここが御子柴シリーズの魅力なのですね。
    御子柴の一途な姿勢に光が見えて
    彼の「過去」は許せないまでも、「今」を認めたくなります。

  • 御子柴礼司、第二弾。おもしろかった。要潤さんのドラマでも観ていたので思い出しながら読みました。
    是非、第三弾も読みたいです!

  • 御子柴弁護士と「さよならドビュッシー」の岬先生のお父様岬検事が、本人の自供もあり世論の同情も見られない殺人事件を係争するお話。

    冒頭グロい...

    なぜ何のメリットもない弁護を自ら引き受けたのか?
    どーやって一審判決を覆すのか...

    最終章は驚きの連続‼︎
    しかも御子柴先生の過去がバレる⁉︎
    相変わらずメデタシメデタシで終わりません。
    ((((;゚Д゚)))))))

    とても面白かったです。




  • シリーズ2作目。
    夫殺しを自供している主婦の弁護を引き受けることになった御子柴。
    いつもと違い、高額報酬が取れそうにない主婦をなぜ弁護したのか後半になるまでは読めず、気になって一気読み。
    正統派検事の岬との対決も面白かった。

  • 御子柴礼司シリーズ 第2作

    真犯人を暴くことで、自身の過去が公になる

    弁護士法違反、並びに日弁連規程破りをネタに、脅迫紛いに、御子柴が弁護の交代を勝ち取った事件は、生活無能力者の夫に愛想を尽かし、他の男との新しい生活を望んで起こした、夫殺しの控訴審だった。

    単純な事件と単純な動機、そして単純な一審審査。いったい、この事案の何に食指が動き、どこに穴を見つけたのか、疑念に駆られた東京地検、次席検事・岬恭平は、自ら、担当検事を引き受けた。

    御子柴礼司と、岬検事の、息もつかせぬ法廷闘争。

    状況は最悪、弁護士本人も病み上がり、世論と裁判員は検察の味方。
    まさに、四面楚歌。弁護をするメリットが、どこにも見当たらない。
    しかし、御子柴には、どうしても、弁護をしなければならない理由があった。
    その結果、自身の過去が、明るみになろうとも・・。

    「自分は奈落から手を伸ばしている者を生涯かけて救い続ける」
    誓った言葉は御子柴を縛り、そして律する羅針盤となった。
    それだけが、鬼畜から人間に戻れる唯一の道だと信じたからだ。

    6歳の倫子が懐くのを、邪険にしながらも、ちゃんと、目線を合わせて向かい合う態度は、冷たく装っている御子柴の内面が仄見える瞬間だ。

    そして、最後のお決まりの大どんでん返し。

    御子柴の過去が、白日の元に晒されたが、これからも、弁護士家業は、続けていけるのか?

    一気読みの作品。
    次作品が楽しみ。

  • 御子柴礼司シリーズ2作目。
    夫殺しの容疑で判決を受けた主婦の弁護を希望する御子柴。
    彼がなぜこの容疑者の弁護に執着したのか。
    最後でそれが明らかになり驚愕しました。
    ここでこう繋がるのか!と。
    岬検事との対決も目が離せないくらいスリリング。
    洋介の父親の活躍を実際に感じるのは初めてだったから、なおの事引き込まれました。
    これもまた「贖罪の奏鳴曲」だなと、自分的に思いました。

  • 御子柴シリーズ、第二弾。

    最初、御子柴がどうしてこのお金にもならない弁護を引き受けたのか不思議だったんですよね。
    それがわかったとき、一瞬頭が真っ白になりました。
    そして今回も”贖罪”ということを深く考えさせられました。

    「ママの代わりをしてくれるんでしょ?」と突然訪ねて来た倫子。
    仕方なしに倫子の目線に合わせて諭す御子柴。
    偏屈で子供の相手が苦手な人間が、その無邪気さに翻弄される展開が好きです。
    この二人のやりとりが、唯一心が和む場面でした。

    あぁ、真実ってなんて残酷なんでしょうか…。
    そうじゃなきゃいいな…と願っていたことが現実に…。
    亜季子がひたすらに守りたかったもの、
    それが白日のもとに晒される。
    美雪が受けた計り知れない深い傷を思うと、胸が締め付けられます。

    最後にもう一度倫子の目線に腰を落とした御子柴が、
    「生きている限り人は罪を犯す。
    それでもみんな生きることを許される。
    それは償う機会を与えられているということだ。」
    そう幼い心に訴える姿が胸を打つ。

    「奈落から手を伸ばしている者を生涯かけて救い続ける。」
    その誓いとともに差し伸べた手が、果たしてこの母娘の救いとなったのか…。
    この母娘のこれからがとても気になります。
    「またね!センセイ」
    その言葉のとおり、倫子が成長してすべてを理解できた日に、また会えるといいなと思います。

  • こんなにも過去に犯した罪の関係者が良くも繋がるというか、現れるというか。。読み進めて行くうちに、御子柴がドンドン人間らしく感じて時に可愛くも感じてしまいます。凛子との、やり取りは御子柴の変わり行く姿が読み取れます。あんな法廷で世間を揺るがす犯罪者だった事を暴かれた御子柴の、この先は大丈夫なのかなぁ。償うことで人は生きていける……重い言葉です。真実は一つ。その真実で傷つく者が居ても真実に光を……。誰かを守る時に果たして真実を捻じ曲げてまで守り通せるのか……考えてしまいました。

  • 法廷対決にワクワクし、ページを繰るのももどかしく、そして、最後のどんでん返しに、読後は唖然。
    中山ミステリーの醍醐味を、存分に味わった。
    さらに、シリアスな流れの中で、健気な倫子のキャラクターにホッとし、岬洋介の話題がちょっと出てくる場面ではニヤリと。
    それにしても、弁護士御子柴の続編はあるのだろうか。

    • 杜のうさこさん
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪

      そうなんです。忘れられない主人公になりました!
      どんでん返し、大好きです♪
      ありがとうござ...
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪

      そうなんです。忘れられない主人公になりました!
      どんでん返し、大好きです♪
      ありがとうございました!
      次は、この御子柴さんを読みたいです。

      実は新作の『ハーメルンの誘拐魔』読み始めたら、
      これもシリーズものなんですね。
      積読にして、前の作品から読もうか悩んでます。
      でも読みたいんですよね~(笑)
      2016/04/16
  • 御子柴シリーズ第2弾。どうやって逆転するの?何をヒントに答えにたどり着くの?おもしろくてページをめくる手を止められませんでした。
    夫殺害の罪で起訴された女性の弁護を、御子柴は無理やり前任者から引き継ぎます。罪は認めるけど刑を軽くして下さい、という女性。最初の公判では検察側有利に終わります。被告人が隠していることは何なのか。なぜ御子柴はお金にもならない彼女の弁護をするのか。その答えが最後の公判で明らかになるところは、まるでカチッ、カチッとパズルのピースがハマっていくように見事でした。女性の下の娘、6歳の倫子がまるでブラックジャックのピノコみたいでかわいかったです。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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