零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062187435

作品紹介・あらすじ

「昭和十五年、第十二航空隊に属して戦ったときは、私のいた十ヵ月の間に、搭乗員の戦死者は一人も出ませんでした。十七年八月から十八年にかけ、ソロモンで戦った第二航空隊は、補充を繰り返しながら一年で壊滅、しかし一年はもちました。
 ところが、十九年六月に硫黄島に進出した二五二空は、たった三日の空戦で全滅しました。続いて十月、再編制して臨んだ台湾沖航空戦では、戦いらしい戦いもできなかった。
 そんな流れで戦った搭乗員の立場からすると、フィリピンでの特攻というのは、ある意味、もうこうなったらやむを得ないと納得できる部分のありました」
 こう語るのは、中国大陸での零戦初空戦の頃から熟練の搭乗員として活躍し、終戦の日、特攻出撃を待機していた角田和男さん。この戦争を通じて、零戦がどのような存在であったかを端的に表す証言である。
 著者の神立氏、大島氏は、晩年を迎えた、最前線で戦った多くの搭乗員たちの肉声を聞くことができた。それゆえ、本書では、初空戦では、撃墜27機、損害0機で圧勝した、惨敗と言われたミッドウェイ海戦で搭乗員の戦死者は米軍の方が圧倒的に多かった、ラバウルで活躍した二〇四空の零戦搭乗員は、75%が戦死しているのに対し、特攻専門部隊として編制された二〇五空の戦死者は34%であるなど、これまで語られてきたイメージを覆す、太平洋戦争の生々しい実像が描かれている。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:538A/Ko16z//K

  • ☆搭乗員へのインタービュー

  • やっぱり特攻、沖縄、原爆は私の生き方の原点なので。なぜこんなに突き動かされるのかわからないけどほんとに、平和な世界になればいいな。

  •  太平洋戦争における零戦の戦いの歴史を、実際に搭乗した元兵士たちの多くの証言にもとづいて描いている。真珠湾攻撃、ミッドウェー沖海戦、ガダルカナル奪回作戦、そして特攻と、零戦物語自体が太平洋戦争の歴史となる。(もちろんあくまで零戦がテーマなので陸軍の戦いにはあまり触れていないが)
     戦闘の描写がやや細かくて読み進むのが大変だったところも一部にはあるが、それでも詳細な取材と調査にもとづいた力作だと感じる。最後の章で、元特攻兵たちの戦後の苦しい生活について綴ったのもよかった。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家・写真家。1963年、大阪府生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、1986年より講談社「FRIDAY」専属カメラマンを務め、主に事件、政治、経済、スポーツ等の取材報道に従事。1995年、元零戦搭乗員の取材を開始、以後25年の間にインタビューした旧軍人、遺族は500名を超える。1997年からフリー。著書に『零戦の20世紀』(スコラ)、『零戦最後の証言1/2』『零戦隊長宮野善治郎生涯』『零戦隊、発進! 』『撮るライカI/II』(いずれも潮書房光人新社)、『祖父たちの零戦』『証言・零戦』シリーズ全4巻、『零戦~搭乗員たちが見つめた太平洋戦争(NHK取材班と共著)』『図解・カメラの歴史』(いずれも講談社)、『戦士の肖像』『特攻の真意(旧版)』(いずれも文春文庫)、『一生懸命フォトグラファー列伝』(日本写真企画)など。映画やテレビのドキュメンタリー番組の監修も手がける。

「2020年 『特攻の真意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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