絶対に、医者に殺されない47の心得

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062187480

作品紹介・あらすじ

ミリオンセラー『医者に殺されない47の心得』、『「医療否定本」に殺されないための48の真実』も、やっぱり極端すぎる! 
 ニューヨークで炭疽菌テロの、そして中国でSARSの臨床を経験した著者が書く、世界的に突出して「オカシイ」日本の医者と患者の生態――自分の身体の声に耳を傾けて、医者、病院、薬、検査を上手に使いこなせば、「本当の健康」が手に入る!!

感想・レビュー・書評

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  • 挑発的なタイトルと理性的な内容は著者の人となりか、とにかく多くの人に読んでもらいたいという意思を感じる。本書のエッセンスは、医療に極論はあり得ない、という一点に尽きる。これを認識の肝に押えておくだけでだいぶ、これからの人生が変わってくるような気がする。

  • 二番煎じではなくこっちが王道

    とてもバランスの取れた納得できる内容。
    わかりやすい極論やマスコミの見分け方もあります。

    以下メモ--->

    「後医は名医」
    同じ医者なら更に確率が上がる
    全うな医者なら自分が間違っている可能性を自覚している。20

    一発で、よい医者を見分ける方法
    判定基準は、薬に言及して「喜んでくれるか」「うっとうしそうな態度をとるか」
    日本人は極めて薬に無関心なので、思い出してくれることは医者には嬉しい
    ネットで副作用の話が大袈裟に語られるが、殆どの人は安全に飲んでいて「何かあったら書き込む」もの
    24

    医療のリスクは分散より集中
    バラバラに検査を受けて薬を処方されていると、あっという間に検査漬け、薬漬けになります。
    特に薬局がバラバラだと収拾がつかなくなります。

    医者も薬局もひとつが理想。お薬手帳は絶対にひとつ。

    色々な症状が出たら医者に相談してみて、答えられる医師は幅が広い。
    他の医療機関を紹介されれば自己判断よりずっといい
    分散より集中かリスクヘッジになる

    「何でも診られる」は、やや危険ワード
    それは不可能だし、患者を束縛、他の医者に相談できないのは危険。
    7割は自分で、3割は専門医へつなぐぐらいが程度のいいバランス
    専門医を活かすために「横幅の広さは縦軸の長さを担保する」
    28

    ポリファーマシー(調剤過多)
    複数の薬の組み合わせは確認できない
    未知の相互作用、副作用の危険がある
    高齢者に多い、8つ以上はやめろ

    日本の医者は問題を全て解決したがるー処方したがるのも問題(尿酸、血糖値、コレステロール値など
    種類が増えれば増えるほど危険は倍増
    →日本の医者はもっと適当でいい

    薬のマリアージュの恐怖(組み合わせ)
    単独での効果や副作用をチェックしてると失敗する
    多くの患者は2つ以上の薬を飲んている
    1+1+1=3ではなく4,5にも倍増する
    →患者の前で調べごとをするのは何も恥ずかしくない

    点滴してくれは禁句
    多くの医療本が「点滴は意味がない」と教えています。
    水、塩、ときどき砂糖くらいしか入っていませんから
    点滴か必要なケース
    1.脱水していて、水を口から飲めない
    2.脱水してはいないが、水を口から飲めない
    3.体のミネラル(など)が「とても」狂っている
    1~3いずれも要入院。外来ではありえない
    <医者側の問題>
    医学部では点滴の使い方を教えてくれません。
    独学が伝聞
    海外では点滴バッグは3種類ぐらいしかない
    日本の医者がメーカーの販促に踊らされている

    そのくせ「脱水している」患者に「脱水していない」患者用の輸液を入れたりその逆をしたりする
    点滴はわざと皮膚に穴をあける。感染症の可能性が生じる
    点滴の教科書もいいものが増えたので医者なら1冊は読むべき


    待ち時間が長いのは患者も悪い
    軽い症状では病院に行かず自然に治るのを待つ。(→待ち時間なし
    医者の最大の方法は無駄な検査を減らす。
    問診と診察で診断する能力が低い
    待ち時間問題は複雑
    45

    大学病院の方が専門分野が別れすぎていて開業医の方が解決してくれる
    行列にも巻き込まれない
    どの病院・診療圏・専門分野にも良い医者とそうでない医者はいる
    →大病院か開業医は判定の基準になりません
    →絶対安全領域はない
    →絶対危険領域もない

    後にも患者はいる
    公衆電話と同じ。後の人のためにも長き無駄話はマナー違反
    質問もまとめておく、次の外来の予定も立てておく。お薬手帳も携帯する
    診察に患者の言葉は必要
    53

    待ち時間は医者次第でも短縮
    治療の対象にならない検査をするのは時間と金と労力の無駄
    幅を広げる よその科にすぐ回さない
    問題を全部解決しようとしない。一歩二歩の前身を目指し、次回以降に先送り。

    3つの改善骨子
    1.予約患者と予約外患者の差別化
    2.コメディカルの活用
    3.緊急性の高い予約外患者を別枠でみる「ファースト・トラック」制度。
      →アメリカでは救急のドクター


    こんな医者に気をつけろ
    抗生物質ばかり出す
    クラリス(クラリジット)
    薬自体のリスクと相互作用のリスク
    マクロライド系抗生物質世界トップレベルの処方量
    リスクの大きい薬。いつも使うようなタイプの薬ではない
    63

    日本だけで使われている薬
    セファロスポリン系
    フロモックスやメイアクト、セフゾンなど
    99.9%誤用 吸収も悪い
    お腹の中の菌まで殺したり、下痢をおこす
    上記の薬は吸収が悪いため
    ピボキシルとい薬を出すことがあるが、低血糖発作の副作用あり
    風邪でフロモックスやメイアクトが処方されたら疑問に思うべき。
    受診のたびに処方されるならチェンジした方がいい
    66

    日本人は胃薬飲み過ぎ
    胃酸を敵視しすぎ
    抑える薬で肺炎その他の病気のリスクが上がる
    胃潰瘍や十二指腸潰瘍には行こう

    風邪を治す薬は存在しません
    PL顆粒(いわゆる風邪薬)
    →熱鼻水くしゃみを抑えて、カフェインで少しテンションをあげて「自然に治るまでの時間稼ぎ」
    副作用から処方しない
    とくに高齢者は腎臓への悪影響が心配
    さらに問題は抗ヒスタミン薬
    →眠気ふらつきなど副作用

    「子どもは大人のミニチュアじゃない」
    「高齢者は大人の直線的な延長線上にはありません。薬の作用は異なり、その副作用は強く出やすくなります

    風邪をひいたら
    →水分を十分にとってゆっくり家で寝る。ストレスを減らす
    日本人は休養下手

    最近の研究によると・・・
    ・ビタミンCはあんまり効果がない
    ・水分補給も本当によいかはデータが不十分
    ・夜の咳にははちみつがいい
    ・漢方薬のデータも出てきた


    集団に対して薬を使ったり、使わなくて評価するが
    患者の個別性による効果は大きく変化する
    個別と集団のジレンマ 103

    内海聡氏に叱られますよ 111

    「昔の常識、今の非常識」 117

    正常値ではなく基準値 121

    日本の医者は善意で何かしてあげたいと思う。
    それだけに行動変容を起こすのが難しい
    133

    一流大学での方が問いをこたえるのは得意だが
    医療の本質で「問いを立てること」は苦手
    プライドが邪魔する
    問いを立てる教育を受けていない

    様々なコメディカルから恨まれる立場の医師
    日本の看護師は「思考停止」をよしとしてきた

    治療の正解は十人十色

    ・乳がん検診の効果はグレー
    ・胃がんの集団検診の効果は微妙
    「がん検診の評価は<がんによる>死亡を減らすことではなく、<総死亡率>を減らさなければならない」
    →がんの死亡者が減っても、検査や手術で亡くなる人がもっと多かったら意味がない

    総死亡率での勝負はズルい
    →他の死亡要因には影響しない、総死亡率を下げるのは困難
    「がん検診の効果」と「がん検診の不利益」を比較するべき

    検診が死亡率をあげるにしても下げるにしても、そのインパクトは大きくない

    患者中心かパターナリズムかは医療提供の手段の一つに過ぎない
    「患者によいことがなされること」がゴール

    患者中心は全部自己決定になり甘くない

    インフォームドコンセントは
    相手を信頼していないから、という前提の契約のようなもの
    十分な信頼があれば契約書は必要ない

    嘘も方便

    「直截に言っては身もふたもないから、匂わしながら別の表現を使いますよ

    「日本の医者は事なかれ主義」
    一般市民や患者が大反対、プロの倫理からの説明も必要

    リビングウェル、終末期は「撤回可能」

    胃ろうのぜひではなく、胃ろうの延命目的での使用の是非がポイント
    胃ろう自体は治療方法

    医学医療の最大の敵は極論
    こうすれば健康になれる、防げる そういう本はすべてインチキ

    画一的な治療は「途上国的な医療」
    あえて治療しないという選択肢もある

    患者中心の医療ではだめ
    患者は一参加者

  • 書名からして刺激的だが、内容は題名とは裏腹に中庸であることの大切さを説いたもの。しかし、こういう主張は多くの医師にとって受け入れられないことが多かろうと想像される。それが日本の医療全体の問題なのか、それとも主張の問題なのかはわからないが。

  • 読了

  • 薬なしの選択肢は、軽症ならあり。持病が重なってくると薬の価値は上がる。
    医療は文脈依存的。全肯定も全否定もしないで付き合う。
    日々の勉強が必要。昔の常識にしがみつかない柔軟な頭が求められる。
    50歳以上の女性3年に一度のマンモグラフィー。検診の評価は対象の疾患とその周辺で行うべき。
    誰も中心でない医療のほうがよほど気持ちが楽になる。
    日本においては、自分と家族どちらが大事かは微妙で、そもそも両社が分離できない場合も多い。自分はいいが家族は、というとき、何を言っているんですか、あなたの決定が何より大事ですとバッサリ切れない。大切なのは患者が質の高い医療を提供されること。自己決定権、プロふぇっしょなリズム、契約、インフォームドコンセントといった概念はその手段
    が、医療の1ツールに過ぎないこと。使われ方は個々の患者で異なること、患者の意見は一般的に撤回可能性が担保されていること。多様な終末期の迎え方があってよい。リビングウイルはそれを維持するための概念
    (中心という言葉は誰かの誰かに対する優位を想起させます。)それが明文化されていなくても、「実は、(中略)」と説明してもダメです。ほのめかしがされていることが問題なのです。(患者は医療の世界の)1参加者です。「1参加者にすぎない」と規定すれば楽になります。
    誰が中心でもない、皆が少しづつ全体のことを考える。

  • 近藤誠著の似たような本があるので(前に読んだことあるのに)間違えたくらい

    医療・医学・健康本は「極論」に満ちています。これで健康になれる、
    こうすればがんにならない、こうやったら老化は防げるー
    そんなタイトルばかり並んでいます。
    こういう断言口調の医療・医学・健康本はすべてインチキです。断言しておきます。

    と、断言されています(としたらこの本も!?^_^;)
    ワタシの今のかかりつけの先生も
    健康本はすべて金儲けのため。信じてはいけない
    と言われており、
    どんな情報も話半分に信じようと思いますけれど、
    自分の体は自分で責任を持つ
    医療情報を自分で調べて、
    かかる病院や治療法を自分で選びとり、服用する薬の名前は最低限覚えておき、
    全てを医者任せにしないという心掛けは最低限必要なようです

  • アンチ医療本のパロディらしい。
    極論もダメだけど、それを全否定もどうなの?
    日本の医療は画一的に決まったことをやり、思考停止しているとかなんとか。
    副作用を考慮せず、患者を見ず、病名に対する画一的な処方。
    思考停止して処方され続ける効果の薄い薬。

    さて、フロモックスは副作用が少ない効かない薬でおまじないらしい。
    クラリスは最近出ないけど、副作用が酷いらしい。
    医者は効かないと嫌がるけど、ロキソニンよりカロナールが良いらしい。
    PPIはみんなそう思ってるけど、やはり出しすぎらしい。

    医学も所詮説の一つというスタンスがいいのか。
    悪いのは医者なのか、画一的にやらせたがる厚労省か。

  • この中に出てくる他の本は読んだ事ないけれど
    (このての本は微妙なものも散在しているけど)
    ばったもんかなー?と思ったら
    思いがけず、こちらはまともでした

  • それほどインパクトない本

  • このタイトル近藤誠先生の「医者に殺されない47の心得」をパックってますね。
    似ているというよりも、絶対にをつけてさらに極端にしたものです。
    岩田先生どうしてこんなタイトルの本を書いたのでしょうか?

    岩田先生がもっとも嫌っているのは、ある/ないと二つに色分けする考え方(二元論)です。

    実は、この本は近藤先生の本や内海聡先生の「医学不要論」など「医療では〜してはいけない/すべきだ」という極端な主張を展開する医療本に対するパロディなのです。
    極論にも正しい面とおかしな面があるものだと認識して賢く対応することを警告している大人の遊び本です。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11855489063.html

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著者プロフィール

1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。著書に『コロナと生きる』(朝日新書、内田樹との共著)、『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書)、『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル新書)ほか多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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