デッド・オア・アライヴ

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062187596

作品紹介・あらすじ

7人の著者に与えられたテーマは「デッド・オア・アライヴ(生死の危機)」。さらに、各作品の登場人物が2013年9月7日正午の帝国ホテルに同時に存在するという時空間の共有の下、それぞれのミステリーが進行する。
薬丸岳「不惑」
結婚式のビデオ制作ディレクターをしている窪田には、十二年間眠りつづけている恋人がいる。そして今日行われるある結婚式で、窪田は復讐を企てていた。
竹吉優輔「イーストウッドに助けはこない」
学生時代にカタギの世界から足を踏み外し、非合法に近い金貸しの仕事を手伝うコージ。「その道」に入るきっかけとなった叔父を、仲間とリンチする羽目になるが。
高野史緒「悪魔的暗示」1918年、帝国ホテルのシガー・ラウンジ。少年はアメリカのスパイたちの会話を耳にしていた。ロシア帝国崩壊で闇と消えた、ロマノフ王朝の秘宝の行方は。
横関大「クイズ&ドリーム」
ホテルにチェックインした川尻は、突然部屋を訪れたお面をかぶった男に「これからクイズを出し合い、それに答える。負けたほうがこのカプセルを飲む」というゲームを強制され……。
遠藤武文「平和への祈り」
帝国ホテルのエントランスでケサランパサランを見かけ、そのあとを追った作家。日比谷公園の林の中で「我が名はミカエル」と名乗る天使と出会い……。
翔田寛「墓石の呼ぶ声」
帝国ホテルのロビーで倒れた雨宮勇吉という老人は、戦後ずっと九月に泊まりにくる常連だ。ホテルマンがあるとき聞いた、雨宮の過去と、墓石の秘密とは。
鏑木蓮「終章~タイムオーバー~」
ナノバブルと呼ばれる微細な気泡を水耕栽培に活かす事業を興し、三十七歳の女性社長として手腕を振るう日下凜子。 ある夜、一人で酒を飲んでいると身体をしびれが襲い……。

感想・レビュー・書評

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  • 半分以上が初読みの作家さん。

    大抵アンソロジーは私にとってはいまいちなのだが、本書は面白い作品がとても多かった。
    初読みの作家さんである竹吉優輔氏の「イーストウッドに助けはこない」は、この些細なことも全部伏線なんだろうなと思って読んでいたら、見事にそうであって綺麗に回収された。
    映像がありありと想像でき、カッコよかった。
    私の脳内映像では、本当は登場人物よりだいぶ年齢が上になってしまうが鶴瓶さんで展開された。
    その鶴瓶さんがカッコいいのだ。


    私はあまり「○○賞を取った作品」だから読む、ということにはこだわっていなくて、ブクログ内で人気であったりレビューを拝見して面白そうだなと思って読んだ作品がそうか「○○賞を取った作品」だったから話題だったのか、というパターンが多いような気がする。
    ブクログ本棚に「○○賞」のタグを作るのも、後になってからだ。

    ということで、本書を読んだことをきっかけに、江戸川乱歩賞歴代受賞一覧を検索して、ブクログ本棚に新たにタグを作った。
    今までに読んでいた本で5冊該当した。
    なお、本書は江戸川乱歩賞作家アンソロジーであって、もちろん受賞作ではないのでタグ付けしない。

  • アンソロジーのいいところは、ふだんは手に取らない作家の作品に触れられるというところ。
    横関大さんと鏑木蓮さん目当てで買ったのだが、他の作家さんの作品も面白く読めた。遠藤武文さんのは、あれはなんなんだろう、不思議な内容の作品だった。
    一応帝国ホテル縛りにはなってるけど、あんまり関係なくなっちゃってた気がする。2013年9月7日の12:00に帝国ホテルにいる、ということの意味がイマイチわからなくて、まあわからなくても作品を読むには関係なかったけど、ちょっとあてが外れた感じがする。

  • 2013年9月7日午後12時、帝国ホテル、という同じ時空間を7話すべてで共有し(前話の登場人物がちょろっと次話で登場する連作風になっている)、尚且つDead or Aliveという共通のテーマを盛り込みつつも全く違うストーリーがそれぞれ展開され、書き手は全員江戸川乱歩賞受賞作家という趣向を凝らしたアンソロジー。

    薬丸岳『不惑』
    竹吉優輔『イーストウッドに助けはこない』
    高野史緒『悪魔的暗示』
    横関大『クイズ&ドリーム』
    遠藤武文『平和への祈り』
    翔田寛『墓石の呼ぶ声』
    鏑木蓮『終章〜タイムオーバー〜』

    一番気に入ったのは『イーストウッド〜』かな。一番シンプルで、単純に楽しかった。
    『悪魔的暗示』は、島田荘司の『ロシア幽霊軍艦事件』を思い出した。あの作品でも、ニコライ皇帝の第四公女アナスタシアの生存が物語のキーになっていたけど、現実として、アナスタシアの死亡がはっきりと認定されたんだったなぁ。そうか、サンクトのペトロパブロフスク教会に埋葬されてるんだっけ。

    どの作品も悪くはないが、どれも短編にするには盛り込みすぎ、もう一押しあればもっと面白かったのに短い、という、どっちつかずになってしまった気がする。趣向を凝らしすぎたか。

    ミステリを読み慣れた向きにはやや物足りないだろう。ミステリ初心者が何の予備知識もなく読んだら、めいっぱい楽しめそうだ。

  • 薬丸岳氏の夏目シリーズが読みたくて手に取った本。
    帝国ホテル縛りという制約の中で
    これだけ幅広い作風に出逢えるのはかなりお得だと思う。

    不惑(薬丸岳)
    話のラストで動機が一気にひっくり返るのがすごい。
    というか夏目のハンパない達観振りには感嘆した。
    イマドキこんな達観した40歳はそうそう居ないんじゃないか(爆)。

    イーストウッドに助けはこない(竹吉優輔)
    導入部を読んだ時点で
    どうやって帝国ホテルを絡めてくるんだろうと思っていたが
    意外とうまいこと纏まったので驚いた。
    これも最後のどんでん返しが爽快。
    そこに至るまでの追い詰められっぷりがものすごかったので余計に。

    悪魔的暗示(高野史緒)
    実在の人物を絡めてくる力業。
    連城三紀彦氏の『黄昏のベルリン』を彷彿とさせる。

    クイズ&ドリーム(横関大)
    …ああ懐かしい『ファミリータイズ』。マイケル・J・フォックス(笑)。
    まさかSFを繰り出されると思わなかったので吃驚だ。
    『BACK TO THE FUTURE』観たいなぁ久し振りに。
    つーかPART3観た記憶がないんだけど…(笑)。

    平和への祈り(遠藤武文)
    作中に作者登場、ということなんだろうか。
    なんつーか、シリアスな聖おにいさん的な?(爆)。
    作家に起こった断片的な出来事たちが最後にひとつに纏まる様は圧巻だった。

    墓石の呼ぶ声(翔田寛)
    この話がいちばん帝国ホテルの歴史的な部分に深くかかわっていた気がする。
    最後に辿り着いた結末は恐ろしいものだったけど
    それが真実か否か曖昧に終わっている辺りがステキだった。

    終章~タイムオーバー(鏑木蓮)
    満足に体が動かない状態で頭をフル回転させて真実に辿り着いた
    凛子の聡明さと大胆な行動に吃驚。
    人を束ねる人はこうでなくちゃいけないんだろうな。
    これも最後のどんでん返しが鮮やかな話だった。

  • 何か…やっぱり、事件が起きてその謎を解く、ていう定番だけど、そういうミステリがいいわ。
    凝った話もいいけど、そういうのばっかも疲れる。

    あと、どこにも書かれてないけど、帝国ホテルがテーマだったの?この本。
    『デッド・オア・アライブ』てタイトルとテーマも内容も合ってなかった。

  • こういう本で次に読む作家を探したらいいのか。

  • 内容:不惑 薬丸岳著. イーストウッドに助けはこない 竹吉優輔著. 悪魔的暗示 高野史緒著. クイズ&ドリーム 横関大著. 平和への祈り 遠藤武文著. 墓石の呼ぶ声 翔田寛著. 終章〜タイムオーバー〜 鏑木蓮著

    全員乱歩賞受賞者という豪華なラインナップの短編集。さすがに実力者揃いと思いながら、やはり薬丸岳、横関大、翔田寛、鏑木蓮といった、過去に佳作を読んだことのある作家たちの作品がよかった。好みの問題かもしれないけれど。
    (C)

  • (収録作品)不惑(薬丸岳)/イーストウッドに助けはこない(竹吉優輔)/悪魔的暗示(高野史緒)/クイズ&ドリーム(横関大)/平和への祈り(遠藤武文)/墓石の呼ぶ声(翔田寛)/終章ータイムオーバー(鏑木蓮)

  • この中では竹吉優輔さんの作品が一番好き。

  • 江戸川乱歩賞作家たちによるアンソロジー。横関大の『クイズ&ドリーム』はミステリーというより世にも奇妙な物語風。でも、これが一番面白かった。大学受験で世界史を断念して、日本史への転向を余儀無くされた僕としては高野史緒は辛いなあ。長編は無理。受賞作品を未読だった竹吉優輔を探してみよう。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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