立身いたしたく候

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 121
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062187954

作品紹介・あらすじ

「おまえはなにを求めて武家の養子に入ったのだ」

幕末前夜の江戸。瀬戸物屋の五男坊に生まれた駿平は、百五十俵の貧乏御家人「野依家」に婿養子入りした。男五人兄弟では、この先分家を立てられる保証もなく、うまくいっても商家の婿。いっそ武士になるのも面白かろうと軽い気持ちで引き受けたものの……当主になって待っていたのは、過酷な「就職活動」だった!
戦国の世も今は昔、太平楽の時代における武士たちは、上役への朝駆け、水泳訓練、出張土産を考えて、試験勉強に明け暮れる……役目を得ても、上様のペットの餌を探したり、上司のパワハラ、部下の気鬱に悩まされ、はたまた何もできない老人が地位にしがみついて引退しない。「武士とは、仕事とはなにか」。新米武士の駿平が、「お家」を守るため、武家の世界をかけずり回って「立身出世」を試みる、シューカツ時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 今も昔も就職するのは大変だー、という話だったりしつつ、まぁ昔の話がどこまで本当かは分からないけど。
    でも就職するとか言いながらも、それなりに苦労をせずに旅に出てみたり、街をブラブラしたり、世を憂いてみたり、という、まぁ中流階級は今も昔も変わらんよなぁ、とも。
    などと言いつつ、まぁ幼女と言うべきか、もよちゃんの存在感がスゴくて、いるような気もするけど実際にはいないんじゃないかみたいな幻想で男どもを惑わせる恐ろしさ。
    お祖父ちゃんの腹の弱さも、なんだか泣ける。まぁ気持ちは分からんでもない。

  • 江戸、武士、養子、勘定方を目指す。
    大変な世界。収入はあれど無役。

  • 商家の五男から、婿+跡取りとして侍になった駿平。まだこどもの将来の嫁に「兄さま」と呼ばれてニヤニヤしたりしつつも、仕事を得るためにいろいろとやってみるが……。ちょっと駿平さん自重して!というくらいやにさがっていらっしゃいます。まあそれはおいておいて。いろいろな侍の「仕事」が読めて面白かったです。読みやすくて楽しく、おすすめです。

  • 2015.8.18

    武士の就活
    色々な仕事を紹介

    とりあえず、ミミズはトラウマになる

  • L

    商家の五男坊から無役の武家に養子に入った駿平の、職種調べと就職活動。
    時代小説でよく聞く職が多く、ヒットしたあのシリーズの職やあのシリーズで主役が指南していた水泳関係や職種多彩。
    なにげに最後の章の、武家の職、就職活動に対する駿平の考察が面白い。
    時代もちょうど国外の脅威を感じ始めた頃っていうのもナイス。

  • お武家もたいへん。

  • 江戸時代の社会科見学本(武士限定)。
    時代物小説でよく出てくるお役目が、どういう仕事をする役なのか、さらにはどういう上下関係があって、どういう役得があるのか、といったことまでわかるようになる。
    商家五男坊から武家養子に転身した駿平の成長物語を軸に、近しい者、遠縁の者、あらゆるツテを駆使して何かと役付きの者と関わり合いになり、各所の台所事情を知る。
    ちっとばかし都合がよすぎる向きもあるが、そこは短編仕立てで簡潔に。
    今流行りの時代小説とは一線を画した時代小説。書き方にしろ、キャラにしろ、現代モノっぽくてすらすら〜っと読めた。

  • 武家に養子入りした商家末息子の就活話
    いつの時代も職につくのは大変なことだこと

    手先指南書で同門だった智次郎との交流や許嫁もよとのやりとりが良いです

  • 幕末前夜の江戸にて瀬戸物屋の五男と生まれた駿平は貧乏御家人「野依家」に婿養子として入った。
    軽い気持ちで武士になるの良いかと思っていたが、待っていたのは過酷な就職活動だった・・・・
    様々な武家の仕事を取り上げてコミカルに語られている。

  • 約1年前に読んだ「一朝の夢」に次ぐ梶よう子さんの2冊目地元図書館返却本から。幕末前夜の江戸。瀬戸物屋つる屋の五男坊に生まれた駿平は、百五十俵の貧乏御家人「野依家」に婿養子入りした。軽い気持ちで引き受けたものの……小普請組に属し虚弱な養父孫右衛門の隠居願いが受理された為、僅か一年で当主になって待っていたのは、過酷な「就職活動」だった。駿平の実家が出入りしていて、矢萩家の部屋住みで幼馴染・友次郎と共に立身出世を試みるのだが…。太平楽の時代に無役無勤の小普請組から役に就くための苦労がよくわかった。

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著者プロフィール

東京生まれ。フリーランスライターの傍ら小説執筆を開始、2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞を受賞。08年には『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、単行本デビューする。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を得る。15年刊行の『ヨイ豊』で直木賞候補となり注目を集める。近著に『葵の月』『五弁の秋花』『北斎まんだら』など。

「2023年 『三年長屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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