刑事の約束

著者 :
  • 講談社
3.60
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本棚登録 : 558
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188784

作品紹介・あらすじ

■収録作
「無縁」……「小説現代」掲載
「不惑」……『デッド・オア・アライヴ』掲載
「被疑者死亡」……「小説現代」掲載
「終の住処」……「小説現代」掲載
「刑事の約束」……書き下ろし

椎名桔平主演で連続ドラマ化された短編集『刑事のまなざし』に続く、夏目シリーズ最新作!
植物状態の娘を持つ東池袋署の刑事・夏目信人(なつめのぶひと)。数々の事件に遭遇し、独自のまなざしで手がかりを見つめ、鮮やかに謎を解いて行く。夏目が対するのは5つの事件。抜き差しならない状況に追い込まれた犯人たちの心を見つめる夏目が、最後にした“約束”とは――。
無類の題材、怒濤の展開、衝撃の結末。いまも近くで起きているかもしれない、しかし誰も書いたことのない事件を取り上げ、圧巻の筆致で畳み掛ける、乱歩賞作家・薬丸岳の真骨頂! あなたは五度驚き、五度涙する!

感想・レビュー・書評

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  • 夏目刑事シリーズ第三作。第一作の形式に戻って五編の短編を収録。これもまた久しぶりの再読だったが詳細は忘れていたので新鮮な気持ちで読めた。

    「無縁」
    万引き未遂と催涙スプレーによる傷害罪の被疑者は居所不明児童生徒?

    「不惑」
    同窓会会場の隣で行われている結婚披露宴で夏目の同級生はなぜ犯罪を起こそうとしているのか?

    「被疑者死亡」
    かつて傷害致死事件を起こした男が再び殺人を犯して死亡。人生をやり直すという宣言は偽りだったのか。

    「終の住処」
    八十八歳の老女が担当のケアマネージャーを階段から突き落とした。認知症による錯乱なのか。

    「刑事の約束」
    覚醒剤取締違反による服役を終えて娘と同居し始めた矢先に殺された女性の事件を捜査中、夏目はかつて担当していた事件の関係者と出会う。


    共通するテーマは親子、あるいは家族だろうか。その濃厚な関係ゆえに起きた事件ばかりで暗澹たる思いが募ると同時に救いもある。
    血の繋がりが全てではない。どれだけ思いやっているか、相手を愛し慕っているかが絆の基礎になっているはずなのに、相手を守りたいがために起きる事件があり切なくなる。また逆に血が繋がっていてもこれが親子関係か?と疑いたくなるような酷い話もある。

    夏目の娘の事件に一応の区切りがついたからか、しかし罪は問えなかったからか、前半の夏目はやる気が半減している。彼自身、このまま刑事を続けるのかどうか迷いが生じているようだ。
    しかし表題作で長らく植物状態だった夏目の娘に前向きな変化が起こる。嬉しくなる一方で第一作で気になっていたある人物との再会の行方については苦しかった。
    一つの犯罪がこんな形で更なる犯罪を呼び寄せるとは。カウンセラーでも刑事でも親類でも救えない傷はどうすれば良いのか。この人物の心の叫びが痛々しかった。だからこその夏目の約束。いつかその思いが届くと良いのだが。そのためにも夏目は刑事を続けるのだろう。

    前作に登場した志藤検事のクールさも相変わらず。夏目との距離は今後も注目したい。
    また第一作の少年のその後が気になる。表題作のような形ではなく救いのある形で再登場してくれると嬉しいのだが。

    ※シリーズ作品レビュー
    「刑事のまなざし」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/406277299X#comment
    「その鏡は嘘をつく」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4062185202#comment

  • 前回、娘を怪我させた通り魔事件の犯人がわかった夏目刑事。
    目標がなくなり、前半は気が抜けてしまったと言いつつ、あらゆる目線から事件を解決に導いていきます。
    最後の話は、これから物語がどう動いていくんだろうと不安になりました。

  • 夏目シリーズ第3弾・短編集。
    いつも図書館を利用。
    シリーズモノとは知らずに
    第2弾「その鏡は嘘をつく」を
    最初に読んでしまいました。
    すぐ、第1弾を予約しょうと思ったのですが
    無く・・・
    ガッカリでした。
    仕方がないので、第3弾、第4弾を予約。

    夏目一家の今後が気になります。

  • 2月-14。3.5点。
    刑事夏目シリーズ。短編集。
    暴漢に殴られ、意識不明の娘をもつ刑事。
    元刑務官の経歴。
    あいかわらず上手い。じんとさせるストーリー。
    娘にもある変化が。また、以前母親に殺されそうになった
    少年のその後。
    次作はあるのかな。期待。

  • 薬丸岳さんの本は読んでみたいと思いつつ、なかなか実現しなかった。
    先日、TVドラマで「天使のナイフ」を観た。
    それがとっても面白く、薬丸さんの本を読みたい!と思いを募らせていたところ、【刑事の約束】に出会った。
    全く内容を知らないまま読んだのだが…
    良かった!
    夏目刑事の人間らしさがとても良い!
    この本は夏目シリーズの第3弾だった。
    第1弾の【刑事のまなざし】は早急に読みたい!
    そいて他の薬丸作品もぜひ読んでみたい!

  • 刑事のまなざしの続編。前作の内容を全く覚えておらず、?になる場面もあったが、無事に読了。主人公がそんなに魅力ある人物に思えず、微妙…

  • いつものことながら
    読んでいて
    心地良く深く
    心に入り込んでくる

    刑事モノの体裁は
    とっているものの
    人間とはなんだろう
    人間の業とはなんだろう
    を 静かに 深く
    考えさせてもらえる

    物語の面白さは
    いうまでもなく
    そこに えがかれる
    「人間の心」を思わず
    考えさせられてしまう
    そこが 心地よい

  • 夏目信人シリーズ三作目です。気が抜けて若干昼行燈な感じになっていますが、さくっと真実にたどり着くのは相変わらずです。
    短編集で読みやすい上に、一つ一つの話にも重みが有って引き込まれてしまいます。
    罪を犯しているのだけれど、それを犯しているのも人間だという想いが込められた作品だと思います。薬丸岳作品に共通したものではあるのですが、この作品も優しさとやるせなさが有ります。
    今回は大きな展開もあるので、これからの物語にどういう風に影響するか気になります。

  • 刑事夏目シリーズ

    独特の視点で事件を解決に導く短編集

    あいかわらず掴みどころのない夏目の不思議な暖かさ。
    どの話も簡単にスッキリと解決というのではなく
    どちらかというと人情寄りかな

  • 順番を考えずに読んでしまった事を激しく後悔、、、。
    夏目刑事シリーズ第一弾。
    じんわり心に沁みて考えさせられる1冊。

    2014年 講談社

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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