オロマップ 森林保護官 樋口孝也

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著者 : 吉村龍一
  • 講談社 (2014年6月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062189644

オロマップ 森林保護官 樋口孝也の感想・レビュー・書評

  • なんかの続編だったようで、ところどころ前作のエピソードが垣間見えたが、これだけで読んでも充分楽しめる。
    ただし、野生動物といえば野良猫くらいしかでないところに住んでる身としては、羆やらエゾジカやらが普通に出てくるシーンが、正直実感できない...

  •  『焔火』『光る牙』の長編二作で、引き締まった文体と骨太なストーリーを見せつけてくれた新人作家吉村龍一は、自衛隊出身の硬派な作家として今後も期待される。山形県生まれということで東北や北海道の厳しい自然を好んで舞台にしてゆく傾向もあり、北方至高のぼくのような読者には嬉しい限り。

     本書はその吉村龍一初の連作短編集となる。初のシリーズ・キャラクター造形でもあり、今後長編かも期待されるどっしりした筋構えの一冊だ。六編の長編から成るが、半分は『小説現代』掲載、半分は書き下ろしと、意欲作であることが見て取れる。

     主人公の樋口孝也は日高の森林保護官として、先輩職員の山崎とふたり、この広大な山岳に起こる様々な事件と取り組んでゆく。まるでワイオミングのディック・フランシスと称されるC・J・ボックス描く猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズのようだが、あちらはあくまでミステリーであり銃撃すら逃れられないアメリカの暴力に満ちた世界が舞台になるのだが、こちらの森林保護官は日本の北国の山脈に発生する自然災害、獣害、人災などなどを、日々の生活や人間関係や青春の真ん中で、地道に解決してゆくだけだ。

     でもそれだからこそ現実の重みと天然自然の厳しさ、優しさが、人間らしい生活の中に組み込まれているこの世界が、北海道のどちらかといえば森林地帯田園地帯の境界線に暮らす読者から見れば愛おしいし、その作品世界は無骨で美しい。こういうシンプルな人間の営みをこうも面白く読ませる筆力も並ではなく、今後も活躍が大いに期待される作家だし、今の若さゆえの血潮を失わずに純潔な自然冒険小説の書き手として継続して頂きたい。まさにこの一冊、近年の宝と感じられる作品集である。

  • また一人、気になる作家をみつけてしまった。

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オロマップ 森林保護官 樋口孝也の作品紹介

オロマップ:北海道の日高山脈の南麓に吹く強風。
北海道森林事務局日高支所に勤務する二人の森林保護官。愛想はないが頼れる男・山崎とその部下・樋口孝也。前作『光る牙』で羆との死闘を繰り広げた二人が、森林事務所に日々持ち込まれる事件と対峙するミステリータッチの連作短編集。
*ニホンザリガニの保護に執念を燃やす自然団体の男。その裏側にある暗い炎のとは……。「砕けた爪」
*頻発するエゾシカと車の接触事故。心優しきラーメン屋の主人は、あるトラブルに巻き込まれてしまう……「溢れる森」
*林道計画の撤回を求め、抵抗運動を続ける男。山に生きる男の先にあるものは……「土葬」
*丹精込めて育てたサラブレットの怪死事件が連続する、羆の食害が疑われたが山崎と孝也はどうしても納得できなかった……「裂傷」
*山崎のむすめ・さゆみが連絡を絶った。わずかな頼りからその足取りを追い、孝也はオオワシの飛来地へと向かう……「オロマップ」(表題作)
*降海型の虹鱒が住むという秘密のポイント・十二ノ沢に、孝也は向かう。そこで出会った謎の男と孝也は釣り勝負をするが……「波打つ背」
 北海道の駐屯地所属の元自衛官・行動派作家が大自然に生きる人の姿を活写する、ネイチャー・アクション・ノヴェルの誕生。

オロマップ 森林保護官 樋口孝也はこんな本です

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