アガサ・クリスティー完全攻略

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著者 : 霜月蒼
  • 講談社 (2014年5月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062189682

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アガサ・クリスティー完全攻略の感想・レビュー・書評

  • 一、前置き

    ずいぶん前から「クリスティー解説腕くらべ」というものを書いている。アガサ・クリスティー作品の解説は、昔のハヤカワ・ミステリ文庫版と今のクリスティー文庫版のどちらがすぐれているか、一作ごとに見てゆく企画だ。
    最初は解説ばかり見ていたけれど、だんだん本編についても考えることが多くなった。しかし筆不精で、いまだに三分の二ほどしか書いていない。ブクログを利用するようになる前、本の雑誌社のWEBサービス「たなぞう」にいたころから書き始めているというのに。初めのレビューを見返してみると、2006年12月1日記とある。もう8年前! なんというなまけ者なのだろう。

    一方、ここにわずか三年ほどでクリスティー文庫すべてのレビューを書き上げた人がいる。その名は霜月蒼。そして彼はその文章を一冊の本にした。それが『アガサ・クリスティー完全攻略』。さすがはプロの書評家だと感心した。彼は二週間に一度、ちゃんとレビューを更新してきた。締め切りを守っている。すごい! 私のようなしろうととは意識が違うのだ。おのれのいたらなさを痛感する。

    二、決闘文

    意外にも彼はこれまでクリスティーを七作しか読んでいなかったという。ハードボイルドやノワールや冒険小説が好きで、紅茶と編み物が似合う年寄りくさそうなコージー・ミステリは敬遠してきたそうだ。こんな自分がクリスティーを語っていいのかと何度も悩んだ。しかし、こういう自分だからこそ新しい視点でクリスティーを語れるはずだ。これまで培ってきた小説観をすべてこのミステリの女王にぶつけ、真っ向勝負に挑もうではないか!

    ――その意気やよし。買おうじゃないか。
    私は中学のときからずっとクリスティーが好きだった。ほとんどすべて読んでいる。何度も何度も読み返してきた。だから、ここは譲れない、どうしても譲れない、というところが山ほどある。霜月蒼がアガサ・クリスティーと全力で闘うのなら、私も自分の小説観を全面に押し出して霜月蒼と闘おう。適当な定型文でほめて終らせるのは、かえって失礼にあたる。
    さあ、お互い血みどろになろう。

    三、弁護側の証人

    この本は、本格的にクリスティーをよむのは初めてというういういしさと、数千冊もミステリを読み論じてきた蓄積という、相反する二つの要素によって支えられている。
    大人数のミステリ評論家が出入りするブログ「翻訳ミステリー大賞シンジケート」での連載に気づいてからは欠かさず読んでいた。

    彼が徐々にクリスティーにはまってゆくのを見るのは楽しかった。最初は淡々と義務的に片付けていたのが『ABC殺人事件』あたりから熱を帯びはじめ、『五匹の子豚』に至って恍惚の表情さえ浮かべるようになる。私はその過程を「そうでしょうそうでしょう!」と子供の成長を見守るように読み進めていった。
    普通なら批評家は私達読者を導く立場の人間だ。しかし今回に限っては逆。彼がクリスティーの深みにはまってゆくのを追体験しながら、私もはじめて『五匹の子豚』を読んだころのことを思い出していた。

    今でもずっと心の中に残っている。
    即物的なフィリップ、夢見がちなメレディス、野性的なエルサ、固い意思を持ったウィリアムズ先生、無邪気なアンジェラ、そしてアミアスとカロリン……。「僕があの子の荷物を送るのをみてあげるよ」、退屈なプラトンの朗読、「スペインはすばらしいところらしいわね」、なめくじさわぎ、ビール瓶、愛情のこもった手紙。
    あの殺人現場をすぐ思い出せる。そしてあの忘れがたい犯人も。犯人が最後にポアロに告げた、あまりにも痛切な一言……。

    霜月蒼はあの名作をはじめて読んでいる! なんと幸せなのだろう。彼も名作だと言った。最高傑作だとも。異論はない。『五匹の子豚』こそアガサ・クリスティーの最高傑作だ。
    ... 続きを読む

  • クリスティ大好きな私ですが、その良さを語るのはなかなか難しいんだよなーと思っていたところへ、思わぬ良書が!著者はむしろハードボイルド好きな方らしいですが、だからこそのその再評価がかなり腑に落ちてくる感。
    書いてくれてありがとう!と言いたい一冊。
    そう、ミス・マープルは正義と復讐の女神なのですよ皆さま!

  • 数年前に「翻訳ミステリー大賞シンジケート」にて著者のクリスティ読破&レビューの連載を毎回楽しみに読んでおりました。それが一冊にまとまってからは、クリスティの指南書として常に手元に置いてます。とはいえ、紹介された99作品中、まだ7作品しか読めてない。。。ライフワークとして少しずつ読んで行きたいと思います。

  • アガサ・クリスティーを少しづつ読んでいるけれど、著書の全容が知りたかった。採点されているが、参考に。

  • クリスティーを全て読んでまとめられた努力には敬意を表するし、とてもまねできない芸当だが、これは評論本であり、私がほしいと思うガイド本ではなかった。このクリスティーの小説はどうしても読んでみたいと思わせる文章ではないと思うから。

  • 日本語で翻訳刊行されたアガサ・クリスティ作品99作の書評を収録。一つ一つの解説が丁寧ですし、スミ塗りや巻末ノートなど、ネタバレをしないための措置もしっかりされています。作品の美点だけではなく、霜月氏ならではの視点でばっさりと切り捨てているところも清々しくて好感が持てます。
    また、シリーズごとの総括やマイベスト10が紹介されているので、評論として大変面白い一冊です。日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞のW受賞も頷ける内容だと思います。

  • 参考にさせていただきます。
    クリスティは結構読んだのだけど、子供の頃だったから、どれが未読か既読か覚えておらず、未読の案内とともに振り分けをしたくて読みました。

    正直、既読のものもあらすじと感想みただけで内容が思い出せるものは多くなかったかな。もう何十年前だもんね。。。有名どころくらいしか思い出せなかった(^^;;

  • 装丁が凝っていて、好きです。
    完読、というわけではないんだけど、読んだ事ないのは斜め読みで。これはある程度目録的な扱いで見てもいいかなと思って、いままで読んだ感想。
    面白かった。
    自分と違うなぁと思ったり、同じだなぁと思ったり。
    私、意外にクリスティー読んでた。

    以下、それぞれ。

    ポアロものは、五匹の子豚読んで以降、あまりピンと来なくなってあまり読まなくなってしまった経験があったのだけど、そうか、傑作に含まれるから、それ以降が色あせてしまってのかもしれない、また読んでみようかなと思った。
    一作目から。

    トミー&タペンスのシリーズ好きだから、概ね好意的で嬉しい。
    タペンスのキャラいいですよね、キャラ。
    短編には辛口だけど、このごっこ遊び感と他の探偵真似てるのに結局できてないとこと、同じ感じが繰り返される、というのもわりと私には楽しかったんだけどなー
    あ、そういうの、コージーミステリっぽいのかもしれない。
    著者の趣味ではなさそう。

    そして、ミス・マープル好きになってくれてありがとう!みたいな。そう、カッコいいんだよー
    けっこうピリッとしたおばあちゃんなんだよね。
    わたしは"無駄な会話"(ブルシット)が上手な作家が好きなんだよな、だからクリスティー好きなんだなと、改めて思った。

    ノンシリーズや戯曲、ミステリ以外などは、なかなか読んでないなぁ。

    あと、演劇であるっていうのも、そうか、だから好きなのかも。みたいな。
    トリックそのものがすごいわけではなくて、そこに至るまでの物語がすごい的なクリスティー像は、私にもあったなぁ。うん。

  • 読書会まわりのレファレンスとして購入。

    同じ作家の作品のコンプリート癖のない者としては、コンプリート+読了(最新刊の『ポワロとグリーンショアの阿房宮』除く)という点のみでただただ賞賛を惜しまない。装丁も凝っていて好き。評価は著者・霜月さんの判断なので、各方面から異論が出ることは当然だし、それが自然なこと。科学方面のネタじゃないんだから(まあ、そういうことは科学方面でもあるわけだけど)。

    ただ、私はこの本も読了するのは難しいよう…なので☆はつけられません。

  • 誰もが知っているミステリーの女王アガサ・クリスティー。
    文庫で読める全作品を著者が読破して批評し・★を付けて行ったものです。

    私も子供のころからミステリが好きだったので読んでました。
    でも、ちょっと成長して本格ミステリにハマり始め、その中で”そして誰も居なくなった”を読んだあたりで
    「あぁ、私もクリスティーは卒業だなー」と思ったものです。
    そこから、ほとんどクリスティーは読まずに来たのですが、
    この本で改めて全作品の解説を読むに、
    「まだまだ、読むべき作品がたくさんあるなぁ」という思いが湧いてきました。
    謎解きのトリックの素晴らしさではなく、【物事は見た目通りではない】というための
    仕掛けの素晴らしさが随所に書かれてあって、オトナの今読み返したら、また違った感想を持ちそうな気がしました。
    とりあえず、★の多いものからいくつか、読んでみようかと。

  • 【選書者コメント】アガサ・クリスティー小説の評論集。「終わりなき夜に生まれつく」を評価している好著
    [請求記号]9300:1769

  • 実は、、、そんなに読んでません。。。

    講談社のPR
    「読もう読もうとずっと思っていたのである。アガサ・クリスティーのことだ。
     ミステリ評論家を名乗り、ミステリについて語ることでお金まで頂戴し、数千冊のミステリを読んできたというのに、クリスティーの作品をわずか七作品しか読んだことがなかったのである。ーー「はじめに」より抜粋」

    【読書日記】アガサ・クリスティー攻略作戦
    http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/searchdiary?word=%2A%5B%A1%DA%C6%C9%BD%F1%C6%FC%B5%AD%A1%DB%A5%A2%A5%AC%A5%B5%A1%A6%A5%AF%A5%EA%A5%B9%A5%C6%A5%A3%A1%BC%B9%B6%CE%AC%BA%EE%C0%EF%A1%DA%B3%D6%BD%B5%B9%B9%BF%B7%A1%DB%5D

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アガサ・クリスティー完全攻略の作品紹介

作品の魅力、そして作品を語ることの魅力を余すところなく伝える、英国ミステリの女王、アガサ・クリスティー全99作品評論集。

読もう読もうとずっと思っていたのである。アガサ・クリスティーのことだ。
 ミステリ評論家を名乗り、ミステリについて語ることでお金まで頂戴し、数千冊のミステリを読んできたというのに、クリスティーの作品をわずか七作品しか読んだことがなかったのである。ーー「はじめに」より抜粋

アガサ・クリスティー完全攻略のKindle版

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