赤ちゃんに学ぶ 「個性」はどこから来たのか

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190800

作品紹介・あらすじ

赤ちゃんはコミュニケーションの達人だ。しなやかな脳がなんでも吸収し、偏見もなく、人間関係に悩まされることもない。翻って、私たち大人はどうだろう・・・?
問題は私たちを取り囲む空気にある。あたかも「平均の魔法」にかけられたように均質を求めすぎ、異質を排除する。しかし、限界のある能力をより効率的に使うために不要なものを切り捨てる、それこそが「発達」なのである。「いいとこ取り」はあり得ず、なにかを得ることと、なにかを失うということは表裏一体。だからこそ、そこに人には無限の「個性」が生まれるのだ。赤ちゃんの成長は、自分自身を含め、人のデコボコの成り立ちの秘密を教えてくれる。
赤ちゃん実験室を20年近く運営してきた筆者が、人の「個性」の本質、そして、「平均の魔法」から脱してポジティブな人生を送るために必要な考え方を説く。

感想・レビュー・書評

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  • 難解ではないが、文章が読み辛い作文調で視点がフラフラするので、すんなり内容が頭に入って来ず、何度も行を遡って読んだ。

    面白い事が沢山かいてあるだけに勿体ない。

  • 赤ちゃんを育てているので興味を持って読んでみた。赤ちゃんがどのように能力を得るのか科学的に書いてある。
    人の能力は何かを得れば何かを失うトレードオフの関係にある。無意識のうちではあるが、発達の過程で、大雑把に物を捉えるために、細かい物を見ないようにフィルターをかける、母国語に習熟するのに特化するために他の言語を聞きわける力を失う。これらは言い換えると一見短所とみえることでも見方を変えれば長所になる。
    赤ちゃんの成長過程を学ぶことで、自分の短所も長所になるのかもとポジティブに思わせてくれた。

  • 私が求めていた「個性」よりも、個性の幅が大きかったのですが、個人の特性が生まれる過程が脳科学を通じて説明されていて興味深かった。

    特に自閉傾向がある赤ちゃんは視力がよい→細かいところを見る傾向→おおまかに認識する能力が育ちにくい→人間は顔を見て言語などを獲得していくが、顔全体を把握できないため言語が遅れるというようなことがあるらしいと言う話は新しい発見だった。

    人間は生まれ持った特性に差があり、それが個体差につながっていくものの、生まれた国によって嗜好やものの見方に差があったりすることが説明するように環境でもどんどんと差が出てくる。

    結果、それが個性となる。

    結局個性がどこからきたのかというタイトルの答えは、個性の内容によって、生まれ持ったものなのか、環境なのかが変わるのでなんとも言えないのでした。

    が、私はちょうど赤ちゃんを育てている立場で、赤ちゃんが認知しているものが何かなど学びも多かったので、目を見て話しかけるなどは意識して子育てしようと思います。

  • 成長段階で獲得する能力について、研究に基づき説得力のある解説がなされている。
    「顔の覚え方」「言語獲得」「食べ物の嗜好」など。子育てに臨む際に頭に入れておくと適切な対応に役立つと感じた。
    ★マイナス1つの理由は、タイトルや中身が誰向きなのかわかりにくい点。子育ての人向けなのか、それ以外の、大人の個性にフォーカスしたい人向けなのか、いまひとつエッジが効いていないように感じた。(その分ニュートラルに書かれていると言えるかもしれないが)

  • ヒトが「個性」を獲得する過程について書かれた本ではありますが、心理学の入門書としても有効な本だと思います。

    ヒトが何らかの機能を獲得する際には、他の何かの可能性を失うわけですが、様々な物理的な制約を受ける中で、ある程度、効率よく生きていくためには、そのような仕組みにならざるを得なかったのでしょうね。

    腹側経路と背側経路の話や、赤ちゃんは、可能な限り複雑なものを好む点など、新たな知見がいろいろと得られ、とても参考になりました。

  • 今だに世間では「平均思考」が根強く残っている。なんとか平均からははみ出さないように、個性を殺して…。しかし、そんな彼らも小さい頃、赤ちゃんまで遡れば決してそうではなかったはず。この本では、赤ちゃんから学ぶコミュニケーションの原点について収録されています。ちなみに赤ちゃんの視力は、生後間もない頃0.02、生後6カ月でも0.3しかないのです!!(教育学部・国語専修)

  • 赤ちゃんの脳発達の専門家である著者が、自身の研究分野から得た洞察から、様々な考えを広げて、ものの考え方、人生の生き方に対して、意見を述べている書といった感じです。総括すると、平均化した考えを押し付けることなく、個性を受け入れて、他人を理解する社会が、これからの世界の発展のために必要であろうということのようです。自身の分野や他の分野の研究などが様々に引用され、著者の勉強ぶりが表れていますが、少し話が飛んで、言いたいこととのつながりが分かりにくい部分があるように感じました。

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著者プロフィール

中央大学文学部教授。1995年,お茶の水女子大学人間文化研究科単位取得退学。
主な著書:『自分の顔が好きですか?―「顔」の心理学』(岩波書店,2016),『発達障害の素顔―脳の発達と視覚形成からのアプローチ』(講談社,2016),『赤ちゃんの視覚と心の発達 補訂版』(共著,東京大学出版会,2019)ほか

「2019年 『心理学実験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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