こぼれ落ちて季節は

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著者 : 加藤千恵
  • 講談社 (2014年9月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062191425

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こぼれ落ちて季節はの感想・レビュー・書評

  • カンバラクニエさんの表紙に惹かれ、手に取ってみた。どんな内容かはよく知らず、でも加藤千恵さんなら間違いないだろうと思って読み始めたら、予想以上にハマった。彼女の作品はいつもそうなのだけど…やめられなくなり一気読み。
    連作短編集なのだけれど、それぞれの話に二人の語り手が存在する。後輩/先輩、姉/妹、高校時代の同級生の男/女、などなど。背中合わせのストーリーは、同じ場面でも語り手を変えるとこんなにも状況の捉え方が異なるのかとぎょっとする。相手への嫉妬。報われない恋心。諦め。虚栄心。裏切り。…こう並べてみるとマイナスの感情ばかりだけど、決して後ろ向きな内容というわけではない。連作短編という形式で、それぞれの登場人物がゆるやかにつながりながら、自分の足元を見据えていく。
    淡々とした文章の加藤作品の読みやすさは相変わらずなのだけど、作品を発表するほどにビターさが増していきますね。その苦さがクセになっています。短編のタイトル「この人かもしれない」、これは「運命の人に出会えたわ」的な恋愛ものなのかと思ったら、全然違いました(汗)自分の年齢的にも、一番この話がほろ苦くて共感できた。男女の関係、一筋縄じゃいかない感じが好きです。
    全体的に、男のたよりなさというかダメっぷりが際立ちました。特に、計算高い女子を「天然」と勘違いし(養殖女子ですか?)翻弄される長谷岡君に「あ~あ」だよ。
    若さゆえの、理想破れての躓きなんかがリアルで、いい年した自分でさえ「うう…」と呻きたくなる。でも、加藤作品のそんなところが好きなんだよね。不毛な恋愛から、何を学び、どう歩んでいくか。「こぼれ落ちて季節は」というタイトルも、うまいなと思いました。

  • 加藤千恵さん。島本理生さんと仲良しさんだけあって、島本作品好きなら加藤さんの作品もいいかもしれません。雰囲気がなんとなーく似ているような気がした。



    大学サークル内の恋愛“あるある”から発展してゆく短編連作。ごめん、すごくすき。タイトルから…もう良すぎる。


    大好きだったのはあの頃と、あの頃の思い出の中のわたしと彼で、けっして今のわたしと彼ではないという…。20代後半頃のどうしたらいいのか漠然とした不安や切なさが、うまく伝わってきて好きな雰囲気。


    さらにこの時期を通り越せば未消化だった気持ちと折り合いがついて「懐かしい」とか「切ない~」から「セピア色の郷愁」へと想いが変化していきます。(40代後半はそんな感じ…)

    この作品に出てくる女子たちは自分との折り合いの付け方がうまい子が多くって大人ぽっかた。(そうじゃない子もいるけど。)むしろ男子のほうが気持ちを引きずってるような…そんな感じが現実っぽい。

    バーのマスターが登場したあたりで、「脱線だ。」どうなるのか…収まりがつくのかドキドキしたけど、無事に元の線路に戻ったのでホッとしました。


    表紙をぱっと見てエリカ様を思い出した。きれいすぎて借りてしまったけど、よかった。


    季節はめぐって夢のようだった魔法もほどけてしまう。不思議だけど読んだ後、スワッと気持ちよくなりました。清々しいような気がする。


    友だちのふり(木崎愛/今川那美香)◎
    たぶん初恋(長谷岡旬/小埜静香)◎
    逆さのハーミット(古橋あさひ/古橋ゆき)◎
    向こう側で彼女は笑う(工藤葵/瀬尾佳奈美)◎
    この人かもしれない(浦井梓/山崎修一)○
    波の中で(今川那美香/木崎愛)◎


    古橋ゆきが一番好きな私は一体どうなんだろうか………。

  • ひとつの物語を別の人物の視点から2サイドで書いた短編集。どこかのまちかどで今も繰り返されているかもしれないお話を紡ぐのがやはりうまい作家である。最初と最後は語り手が同じふたりだが年月がたち、みんな大人になっている。各話の登場人物は順番につながっていく。1話の脇役が2話では語り手という風に。

  • いろんな視点から見たひとつの日常、少しずつ絡み合っていて面白かったです。みんな何かを思い、考え、何かを抱えながら生きてるという当たり前のことを改めて思い出させてくれました。
    大学生の背伸びした恋は昔を思い出して心の奥がキュッとなった。最後には月日が流れて大人になっていて、結局その時はいっぱいいっぱいでも時は流れるし、その時の思いはいつまでも続かない。その時キラキラしていた人やものが数年先もキラキラしているとは限らない。キラキラし続けるにはたゆまぬ努力が必要、などいろいろ考えさせられました。
    こぼれ落ちて季節はってタイトルもとてもしっくりくる。人生ままならないことは多い。それでも自分を信じて前向きにやってくしかないのかな。今の自分にはとても突き刺さります。ある意味いいタイミングで読めたのかもしれない。

    話が収拾つかなくなるのはわかるけど、さつきや陽輔、真貴あたりの視点も見てみたかったなぁw

  • フリーペーパーを作るサークルに所属しているメンバー、その友人や周りの人たちなどの連作短編。

    一篇のなかに二人の語り手がいて
    同じ場面が別の視点で繰り返されたり、
    語りだしの言葉が同じだったりと、構成が凝っていました。


    加藤さんの描く世界は、やはりどことなく切ない。
    切ないだけで終わらず、
    冷静に真理をついている気がします。


    特に『向こう側で彼女は笑う』が女性としては
    かなり共感できた。


    いくら仲が良くても、友人と自分を比べてしまうこともあるし
    言えないこともたくさんある。


    なんだかやるせないけど女子の人間関係ってそういうところがあるのも現実。


    最初の『友達のふり』と最後の『波の中で』は
    愛と那美香という同じ人物が語り手なんだけど、
    いい意味でも悪い意味でも、大人になったなーと感じた。

    月日の長い間を感じる構成になっていました。



    他の短編でも、その後がちらちらとわかったり
    物切れじゃなく、続いてる感じがよかった。

  • 加藤千恵さんの作品を読むのは5作目。加藤さんらしく切ない恋愛のお話でした。6編の連作短編集。それぞれの視点で描かれるのですが面白いのが1つの章を2人の視点で描かれ、それぞれについての想いが描かれているので、わかりやすかったです。加藤千恵さんはビターな恋愛を描かれることが多いですが今回も切ないです。こんな風なことはよくあるんじゃないかなぁと思うのも多くリアルに感じました。皆の切ない想いがわかり、読みながら自分も切なくなったり、恋してキラキラする気持ちもわかり楽しむ事ができました♪とても読みやすかったです★

  • 軽い感じで一気に読んだ
    鼻の奥がツンとするような展開もあってせつない
    交錯する想い、うまくいかないことだらけ
    こういうことは、割とある

  • 短編で、視点が変わっていって、それぞれの主人公がどっかで繋がってる・・・ってのは好きやし、面白いけど・・・それからどうなったん!!!!?笑
    10歳年下を孕ませた旦那とは結局離婚できたんか?転職繰り返してる年下の彼氏とは結婚したんか?・・・って気になるーーーw

  • 連作短編6編
    恋愛のそれぞれのあり方を切り取って,鏡の裏表のように異なった二人の立ち位置から描く.短編ながら,人生の深みを感じる作品群だった.みんな迷っているんだなあ,と実感.

  • 1つのタイトルに対して2人の登場人物の目線で物語が進む。少しずつ話が繋がっていく短編集。コンプレックスも回りから見たら憧れだったり、視線が変われば見える世界は変わる。それならば自分を肯定できたら楽しく生きれるんじゃないかと思った本。

  • 面白かったです。ひとつのお話を2人の視点から描く連作短編集でした。恋愛って、人生って、ままならないなぁ。生きていく限り、変わらないことって無いよね、と思いました。那美香さんが幸せになって嬉しかったです。怖がらずにわたしも生きていこうと思いました。明日からの日々がまた楽しみになりました。わたしもがんばろ。

  • それぞれの思いを抱えて、
    見えない相手の気持ちを想像して
    想像したって正解はないのに
    想って想って。

  • 20160926
    連作短編小説
    ささっと読んだからか、この人は誰だっけ?ってなることが多かった。

  • かとちえさんの短編集。
    みずみずしいというか、リアル。

    ・友だちのふり
    新ちゃん。主人公の愛ちゃんの気持ちはめちゃ分かるなぁ。
    幾度ともなく体験したことがあるので、共感できたしシンクロした。愛と那美香が対になってるお話だったけど、私だったから断然愛側になると思う。
    男の人の方が特に、わーっと燃え上がって、さーっと冷めていくんだよね。。でも、ふたりでわーっと燃え上がってるときのことって、何ものにも代えがたいし、「あー生まれてきてよかったなぁ」って思える素敵な瞬間だったりするから、その後、このお話の将来起こるかもしれない、さくっと捨てられる、ことになったとしても、その想い出って消えないんだよね。

    ・逆さのハーミット
    彼女持ちの男の人にハマっちゃう気持ち、わかるなぁ。。。典型的なやつだー。と思いながら読みました。
    へんに魅力的になっちゃうんだよね。

    ・向こう側で彼女は笑う
    これは、対になってる話の関連性が見えなかった。。
    だけど、かなみの彼氏の大地が、転職ばかり繰り返して落ち着かない。いつも同じような愚痴を言う。会社側に問題があるんじゃなく、自分に問題があるのではないか、っていうのはすごく理解できたなぁ。。
    それでも、それだけだと、別れづらいよね。他は別に悪いとこ見当たらないのだから。。

    ・この人かもしれない
    旦那さんが女の子を妊娠させた。しかも、結婚するかもと言っている。。つらい話。こんなの現実にあるのかな?でも元々、ダメになりそうだった気もする。
    そして、対になってるマスターの方は逆に、旦那さん持ちのひとと付き合っているという話。
    マスターが付き合ってる女性の描き方がうまいなって思った。決して店にはこない、っていうところとか。そういう方が気になるよね。

  • 当然のことではあるが。

    いろんな人がいて、いろんなことを考えて、時にはソレを隠したり、作ったりしながら、毎日必死で生きているのだなということを思い知らされる。連作短編はあらゆる角度からモノゴトがみえて好きだ。

    悲しいけれど、ヒトは常に自分にないものをココロのどこかで求めてしまう。相手の良いところを認め、自分に自信を持つというのは実はとても難しい。

  •  連作6編。1章が2人の視点で構成されています。同じような場面が違う人からみると…といった形でも楽しめます。
     加藤さんで期待していたのですが、今作はあまり合わずでした。なんだかどれも消化不良に感じてしまいました。
     1章の木崎愛l今川那美香が最後の6章でも語り手となっています。それぞれの章の人物が少しずつ他の章でも出てくるのでつながりも楽しいと思います。

  • 学生時代の甘い・切ない・ちょっと背伸びした恋模様。
    自分の気持ちも分かんないのに、身近にいる人たちの心の動きなんて 見当もつきやしない・・・・

    そんな懐かしい、甘酸っぱい心のストーリがふんだんに載っています。
    (私は恋しているけど、何気なく気になる彼の気持ちは・・・?)そばにいる登場人物の対比が面白かった。

  • 忘れかけていた気持ちを、思い出させてもらいました。

  • 大学のサークルで片思いする男女など、恋をしながら10代から30代の大人になっていく過程を描いた連作短編集。

  • 2014.11.28読了

    男と女。好きと嫌い。
    簡単なことなのに、複雑に交錯するもの。
    加藤千恵さんの作品は読みやすいです。
    後味もスッキリ

  • これからが本当の山あり谷ありですよ。

  • 加藤さんの本を読む時すこし可愛くなる気がする。
    もちろん実際は全然かわらないし(当たり前)だらしなく寝転がってよんでたりするのだけど、それでも読んでる最中はぎゅっと心を痛めたりドキドキしたり恋をしている。作中の誰かにときめいたりしている。
    リアルな、という言葉を安易に使いたくはないけど加藤さんの描く世界は友達の話を聞いてるみたいであり、自分の事のように身近な感じがする。
    見た目クールなひとも恋してる時は一生懸命だったり必死だったり格好悪かったりする。それがいい。って思える感じ。
    加藤さんだからという先入観もあるけど、ギュギュッと登りつめてスパッと切れる感じの潔い切り方もすきだ。短歌のようにサッと切れる感じ。うまく言えないけど美しく感じる。

    恋したいな、と思った。
    焼きそば食べたいな、とも思った。絶対みんな焼きそばーって思うと思う。塩じゃなくてソース。
    装丁も美しくて作中のある一人の女性の絵だなと読み終わってから知った。
    大事に読み返したい一冊。

  • 歌人カトチエさんの連作短編集。女と男、恋し恋われ、織りなされる恋愛模様。春のように淡く、夏のように熱く、秋のように充実し、冬のように冷えてゆく、恋の季節の移ろい。あんなにも輝いていた季節も、やがてこの手をすり抜けてゆく。それでも恋は止められない。揺れ動く女性心理を描いています。

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こぼれ落ちて季節はの作品紹介

田舎から大学進学を機に上京してきた愛は、この何でも手に入る、魔法のような街で大学のフリーペーパーサークルの先輩・新野に恋をしている。初めてのキスもセックスも新野とだった。でも彼が愛を好きかどうかは、分からない。一方、都会育ちの那美香も、同級生の新野のことが気になって仕方がない。二人の思いがたどり着く先は……。アルバイト先の後輩・あさひに思いを寄せる長谷岡と彼に片思いをしている小埜。ろくでもない男との運命を占うあさひと彼女のことを疎ましく思っている妹のゆき。繊細に揺れ動く感情を描いた、六篇の傑作連作短編集。

こぼれ落ちて季節ははこんな本です

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