純喫茶「一服堂」の四季

著者 :
  • 講談社
3.10
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本棚登録 : 691
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062191852

作品紹介・あらすじ

古都・鎌倉でひっそりと営業する古民家風喫茶「一服堂」。エプロンドレス姿の美人店主は、恥ずかしがり屋で人見知り。しかし、事件となるとガラリと人が変わってしまう。動機には一切興味がない安楽椅子型の名探偵が「春」「夏」「秋」「冬」の4つの事件を鮮やかに解く、連作シリーズ!

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物は魅力的だし話も分かりやすいし読みやすい。さらっと浅い珈琲のように楽しめる作品ではある。
    純喫茶マスターの安楽椅子(あんらくよりこ)がその名の通り喫茶にくる訳あり客の話を聞いて現場を見ることなく事件を解決していく。
    「謎解きはディナーのあとで」の著者である東川篤哉さんの作品、という説明がきっといちばん分かりやすい。決め台詞と主人公のキャラ立ちがドラマやアニメ的で、登場人物は好きです。

  • 鎌倉の住宅街にひっそりと建つ古民家。
    看板と言うより表札の「一服堂」。
    店主でバリスタのヨリ子は極度の人見知りだが、事件の話を聞くと。
    一服堂にやってきた面々が語る猟奇的な事件をヨリ子が解いていく。

    うーん。やっぱりこの人の本が合わないんだなあ。軽くて読みやすいけど、品がないというか。
    ツライ。

  • 喫茶店の美人バリスタが常連客の話す未解決の猟奇殺人事件を鮮やかに解決する安楽椅子探偵もの短編集。十人中十人が『ビブリア古書堂』と『珈琲店タレーラン』に便乗しただろうと疑うに違いない作品を堂々と上梓する臆面のなさはさすがの東川篤哉。かと思えば、あからさますぎる設定に装丁、タイトルすらにも意味があり、しかもそれが単なる仕掛けに終わらず密室に開いた抜け道を覆い隠すパーツとしても機能しているから油断できません。そこまで考えて敢えて“乗っかった”とするのなら、その強かさには舌を巻くばかりです。

  • 超がつくほどの人見知りが、推理となると豹変。
    店主の名前や、とある登場人物など、ユーモアのある設定に笑う。
    和み系の雰囲気は、日常の謎ミステリを思わせるが、扱う事件は猟奇殺人ばかり。
    軽いタッチなので、凄惨な話もサクサク読める。

  • (15-47) 最近東川さんに少し飽きてきてた。あまりにパターン化していて、どれも同じような印象だったから。
    これを読み始めたときも、やっぱり・・・と思ったのだが。いつもよりもう一ひねりしていて、全部読み終わってなんか嬉しくなった。
    そう、私は連作短編だけど一冊で一つの物語、というのが好き!きれいにまとまったこのお話、余韻もあって満足です。

  • ミステリというよりライトノベルみたいな軽い語り口で、読書リハビリにはちょうどよかった。
    コメディドラマを見終えたあとのような読後感。

  • 「春の十字架」
    磔にされていたのは。
    いくら疲れていたとはいえ、立ったまま眠っているなら兎も角ちゃんと横になっていたら怒るだろう。
    犯行の全容はなんとなく想像出来たが、何故殺さなければいけないのか動機が分からないな。

    「もっとも猟奇的な夏」
    ずっと傍にいたのは。
    手伝いに行った先にあった在り来りなものが事件に関与するものだなんて、誰も予想しないだろうな。
    たった一文字ではあるが、聞き間違いをしてくれなきゃ話を聞くことすら出来なかっただろ。

    「切りとられた死体の秋」
    部屋で見かけたのは。
    名前しか知らないどころか存在の有無すら分からないとなると、推理を始める以前の問題が生じるな。
    大切だからこそ簡単に捨てることは出来ないとはいえ、いつまでも隠し通せはしないだろう。

    「バラバラ死体と密室の冬」
    ふと思い出したのは。
    もし本当のことであったとしたら、余程意思が強くなければ準備から後処理まで全て行えないだろう。
    何十年経とうが皆変わらないまま久しぶりに会い話す内容が、あれなのはどうなのだろうか。

  • 表紙の絵に釣られて手に取った本。
    謎解きはディナーのあとでの作者とは知らず、最近ほんわか系ばかり続けて読んだから違うの読みたいなと思って借りてきた。
    講談社ではなく放談社、東川篤哉ではなく東山篤哉、メタ視点が多くて新鮮だった。でも個人的にメタは好きじゃない。世間に疎いし、お話の中に現実の固有名詞が入ってくると物語の世界に入っていきづらいから。
    春夏秋冬と1年で続く事件かと思いきや、最後の冬で30年も経っていることが発覚。
    冬だけ始まりから違和感があったが、会話の中で出てきて驚き。万年署長が黛君とはまさか過ぎて...信じられなくて何回もページを行ったり来たりして確認した。
    お話の事件解決よりも、こっちの方が衝撃が強かった。

  • ★そういや、ここは猟奇殺人の話をしてもいい喫茶店だったわね(p.195)

    【感想】
    ・楽しく読みました。ミステリとしては「ユルユル」やけど? で、いちばんの驚きはアレやなと。

    ■設定
    ・安楽椅子探偵系ミステリ短編集。
    ・猟奇的な事件を鎌倉で喫茶店を営む超・人見知り美女が話を聞いただけで解決する。

    【ヨリ子】探偵役。フルネームは安楽椅子(あんらく・よりこ)と書く。一服堂の主。美人。クラシックなエプロンドレスを身に付けている。極度の人見知りでアガリ症。客が来るとオタオタする客商売に向いていないタイプだが亡くなった父親から受け継いだ一服堂を潰すこともできず客の前に立ち続ける宿命を背負っている。推理するとき態度が豹変する。《この人見知りの国の女王様みたいな彼女が?》(p.92)
    【一服堂】鎌倉にある喫茶店だがどこをどう見ても古民家としか思えない建物。看板を見たら誰しも「ただの表札やんけー」と声を上げたくなるわかりにくさ。ほとんど客は来ないので人見知りのヨリ子でも大丈夫。って、大丈夫やあるかいーっ!!
    【ヨリ子の淹れるオリジナルブレンド珈琲】《口にしてみるといまひとつの味わい。だが、文句をいうほど不味くはなく、飲めば飲むほど曖昧な気分に浸れる奇妙な珈琲だった。》p.38。その気になればとても美味しい珈琲を淹れられるのになぜか客にはいまいちな珈琲を出す。
    【村崎蓮司/むらさき・れんじ】放談社「週刊未來」編集部所属の編集者。探偵小説好きでユーモアミステリは物足りなく感じるタイプ。
    【放談社】そこそこ歴史ある弱小総合出版社。なんでもありだがどれもいまいち。名刺をもらった人は思わず捨ててしまいたくなる。
    【週刊未来】放談社の出すなんでもありだがあることないこと適当に描くいまいちな看板週刊誌。
    【夕月茜/ゆうづき・あかね】神奈川県警横須賀署刑事課の刑事。黒髪ロングの美女。一服堂の常連だった。
    【天童美幸/てんどう・みゆき】「ほぼ」鎌倉在住、白馬の王子さまを夢見る二十五歳の乙女。ガソリンスタンドで真っ赤なツナギを着て働いている。母親の影響でくだけたときには怪しい関西弁を使う。ある事件ののち一服堂の常連になった。
    【南田五郎/みなみだ・ごろう】とある賞でギリギリ入選を果たした売れないミステリ作家。《初心者の子供さえも呆れ果てるユルユルのユーモア・ミステリ》p.124が作風。東山敦哉が豪邸を建ててから近所だったので交流が始まった。ある事件の後、一服堂の常連になった。

    【内容】
    ・「カナブン大のインディ・ジョーンズ」がチープな十字架に磔されたような格好で殺されていた。
    ・土地買収の話が持ち上がっていた中園さんが十字架に磔されたような格好で殺されていた。
    ・売れっ子ミステリ作家、東山敦哉のいろいろ兼恋人が頭部と手首がない状態で発見された。
    ・最恐最悪の密室が登場する。

    【一行目】
     「えーい、畜生! あの編集長め、好き放題、いいやがって――」

    ■メモ

    【大沢明彦/おおさわ・あきひこ】スナック桔梗の常連らしい謎の老人。謎のまま終わる。
    【大島圭一/おおしま・けいいち】緑川邸の居候。隆文に師事し考古学を学んでいる。蓮司と同年輩だが体重は二倍ほどありそうな巨漢。
    【岡部健二/おかべ・けんじ】道路の陥没があった場所のそばに立つ双子のような黒と白の家の黒い方の住人。殺された。荒っぽい性格。元山聡子の稼ぎで遊び暮らしていた。
    【岡部修一/しゅういち】岡部健二の兄。健二の家の風呂場でバラバラ死体として発見された。荒っぽい性格。元山聡子の稼ぎで遊び暮らしていた。
    【桔梗】鎌倉のスナック。東山敦哉の行きつけ。
    【小梅婆さん】蛇真教を立ち上げ広めようとする宗教家。
    【紺野進一/こんの・しんいち】スーパー井原屋の渉外担当。用地買収の交渉で中園さんちに通う。
    【下園忠雄/しもぞの・ただお】神奈川県警刑事課長。夕月茜の上司。冴えない感じだし頼りない。《下園課長は現実主義者であると同時に、事なかれ主義でもある立派な警察官だ。》p.210
    【関谷耕作/せきや・こうさく】地元葉山で細々と農家を営む関谷家のひとり息子。天童美幸と同じ年でご近所でもあり小学校から高校まで同じでガソリンスタンドの常連でもあり飲み友達でもある。おおらかな目で見れば織田裕二に似てなくもない。
    【竹下弓絵/たけした・ゆみえ】緑川隆文のゼミの学生。静子夫人は夫との不倫を疑っている。で、結局疑いだけでなく事実だったようだ。
    【鶴間雅之/つるま・まさゆき】緑川隆文のゼミの学生。竹下弓絵の元恋人。
    【寺山政彦/てらやま・まさひこ】岡部健二の黒い家の隣に建つ双子のように似ている白い家の住人。保険会社勤務。
    【動機】《わたくし、動機は、まったく重要視しておりませんの。》p.47
    【中園勘次/なかぞの・かんじ】長年農家を営んでいる一人暮らしのお年寄り。
    【中園俊介/しゅんすけ】勘次の甥。無職。
    【中原冴子/なかはら・さえこ】東山敦哉のアシスタント兼秘書兼家政婦兼おそらく愛人。なまめかしい美女。殺されたがその死体には頭部と手首がなかった。
    【東山敦哉/ひがしやま・あつや】今をときめく人気ミステリ作家。豪邸に住む。最近どこかで見かけたような名前だ。
    【編集長】「週刊未来」編集長。口癖は「けっ、週刊現代かよ!」。講談社をライバルと思っている。
    【黛清志/まゆずみ・きよし】神奈川県警刑事課に配属されたばかりの駆け出し刑事。《蹴破るんスね、扉!》p.202
    【密室】《いうまでもなく密室殺人というものは、常に密室に入れない者の利益。その利益を享受する者こそが、真犯人に違いないのですわ》p.49
    【緑川静子/みどりかわ・しずこ】蓮司の遠い親戚。五十歳超。鎌倉の大邸宅に住むちょっとした大立者。
    【緑川隆文/みどりかわ・たかふみ】静子の夫。神奈川文化大学教授。考古学が専門で「カナブン大のインディ・ジョーンズ」と呼ばれる(と自分で言っている)。身長百六十センチに満たない小柄。
    【元山聡子/もとやま・さとこ】岡部修一の同居人。美人の夕月茜をして「ハッとするほど美しい」と思わせた。
    【ユリアちゃん】東山敦哉がときおり口にする女性? の名前。

  • 猟奇的だけど重くない、
    重苦しくないのでサラッと読めるのがすきです。

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著者プロフィール

1968年広島県生まれ。岡山大学法学部卒業後、2002年、光文社カッパノベルスの新人発掘プロジェクト「KAPPA‐ONE」にて『密室の鍵貸します』が有栖川有栖氏に推薦されデビュー。11年『謎解きはディナーのあとで』が第8回本屋大賞第1位に輝き、大ヒットシリーズとなる。「烏賊川市」シリーズ、『館島』、『もう誘拐なんてしない』、「探偵少女アリサの事件簿」シリーズなど著書多数。

「2023年 『谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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