家族シアター

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062191876

作品紹介・あらすじ

同じ中学校に通う姉は、「真面目な子」。
褒め言葉のようだけど、実際は「イケてない」ことの裏返し。
こんな風には絶対になりたくない――だけど、
気にせずにはいられなかった。 (「妹」という祝福)

息子が小学校六年生になった年、
父親中心の保護者会「親父会」に入った、大学准教授の私。
熱心な担任教師に恵まれて、順調に思われた日々の裏には、
とんでもない秘密が隠されていて……? (タイムカプセルの八年)


すべての「わが家」に事件あり。
ややこしくも愛おしい家族の物語、全七編!

感想・レビュー・書評

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  • 「妹という祝福」をNHKFMで朗読を聴いて読みたくなった。
    私の娘達も年子の姉妹。
    けんかしても何しても妹には姉が
    姉には妹が大切なのだ。
    結婚式に妹にあてた手紙に!!

    「孫と誕生会」
    昔気質のおじいちゃんと
    繊細が故におじいちゃんに素直に慣れない孫の話。
    ホロっとくる。

    「1992年の秋空」
    学校に封筒を持っていき、学習と科学買っていた頃のわくわく感を思い出す。
    二人の姉妹はお互いがもっていないものをもち
    そして互いに憧れる
    ここでもまた不器用な姉妹が
    繋がりを深めていく。

  • 辻村深月さんの家族にまつわる短編集。
    どの話もちょっとほろ苦くて、ホロっとくる。
    家族内の色々な立ち位置にある人物が、家族内の一人に対して語られる物語。

    「妹」という祝福…結婚する姉からの手紙で、子どもの頃の姉妹関係の記憶を辿る妹。タイプの違う姉妹の思春期の気まずさ、屈託のようなものが、よく分かる。

    サイリウム…いい年してバンギャのイタイ姉をアイドルオタクの弟が語る。いつも姉にやり込められる内気な弟あるある話…どちらも不器用なのね。

    私のディアマンテ…「勉強」に価値をおく家族で勉強ができなかった主人公が母となるが、勉強のできる娘の気持ちが読めず、ギクシャクしてしまう。でも肝心なところでは、やはり母なのだ。

    タイムカプセルの八年…イマドキの父親らしくない父親が、親父の会に翻弄それながらも、子ども達の夢を守る…いいぞ親父!

    1992年の秋空…これもタイプの違う姉妹の葛藤を描いている。思いやっていても、子どもだからどうしても言葉が足りない。でも理解し合えるのはやはり姉妹。

    孫と誕生会…アメリカから帰国し、実家である千葉の元農家の同じ敷地内に住むことになった、祖父と孫娘の話。昭和な祖父が厳しくも暖かく孫を見守る姿に、じんわり。

    タマシイム・マシンの永遠…ドラえもんの道具、タイムマシンではなく、タマシイム・マシンの話がきっかけで知り合い、結婚した若い夫婦。帰省し、祖母、両親の姿を通してタマシイム・マシンを実感する…ウルッとくる。タマシイム・マシンを知らなかった…。

    家族というのは最も小さな社会というけれど、血のつながりというのは結構やっかいで、素直になれなかったり、言葉にしなかったりで拗れやすい。
    自分には同性のキョウダイがいないのだが、同性というのはなかなか難しいよねぇ…上手く大人になっていい関係になれるといいなぁ。2020.8.2

  • 家族をテーマにしたお話。どの話も本当に面白くていい話でした。何回も読みたいと思いました。

  • いろんな家族が登場しますが、家族だからこそ分かり合えない部分があったり、ぶつかったり、すれ違ったり、素直になれなかったり。自分にもどこかしら身に覚えがある家族に対する気持ち。
    誰でも、この物語の登場人物の誰かしらに共感する部分があるのではないでしょうか。
    現実はこんなにうまく分かり合えることはない、かもしれないけど、それでも、この物語を通じて温かい気持ちになれる。

  • 4.6
    短編集。
    どれも面白かった。
    短編でありながら、よくまとまっていました、
    深すぎないので、読みやすかった。
    家族をテーマにした話だったので、重そうだなぁと思ってあまり手が伸びなかったのですが、くど過ぎず、重くなく、ちょっとうるっと泣かせるところもあったりと。
    いいですね、もっと沢山書いて楽しませてもらいたいと願います。

  • 津波注意報を告げるスマホのけたたましい警告音に夜中起こされ、たかだか1mの津波で大騒ぎするなよ〜と思いましたがテレビの街頭インタビューを見て海でお仕事されてる方や、海の近くにお住まいの方。特にあの津波で「家族」を失ったような方からしたら大騒ぎすべきことだよなと反省しました

    『家族シアター』です

    「家族」をテーマにした短編集です
    いや「家族の絆」をテーマにした短編集か

    どれもこれも腑に落ちる物語でした
    すとんと腑に落ちる結末でした

    特に兄弟の物語はあー自分も似たようなことあったな〜と思いました
    今思えばなんであんなことしてくれたんだろう?なんであんなことしてあげたんだろう?ってことも「家族」だから「兄弟」だからってことなんだろうなと
    むしろそれ以外に説明しようがないというか
    愛とか言っちゃうとなんかこっ恥ずかしいし

    ああそもそも事細かに説明する必要なんてないのかも
    この短編集のように

  • 「家族」というのは本当に特別な関係だと思う。

    生まれた時から当たり前のようにそこにいた家族。
    他人と作った家族。
    自分が育てた子供が作った家族。

    誰よりも近いようで、誰よりも難しい関係。

    ただほっこりするエピソードばかりではなく、かなりリアルな家族間の心理描写がされていて、自分の実体験を思い返し共感する点が多かった。

    個人的に好きだったのは「タイムカプセルの八年」。
    不器用な父親なりの愛情表現には胸が熱くなった。

    「私のディアマンテ」の
    「この人も、私と同じでわがままだ。兄夫婦については血のつながりは絶対でないと言いながらも、自分の娘にはその理屈は適用できないと思っている。」
    という台詞は胸に刺さるものがある。
    親子というのはやはり特別で、それは理論や言葉では表しようのないものなのだ。

    どれだけ憎くても、どれだけムカついても、心のどこかで憎みきれず許せてしまう。
    そこには理由はない。それが家族なのだと思った。

  • 家族の関係を描いた短編集。
    家族にも当然、人間関係が存在する。
    家族と言うひとくくりの関係だけではなく、兄弟姉妹、親子等、1対1の関係もある。
    普通の人間関係より遥かに長い時間を費やして築き上げた関係だから、遠慮がなく、他人との関係よりも複雑で縺れることもある。
    しかし、拗れてもぶつかっても根底にある気持が修復へと導いてくれる。それが家族。
    そうとわかったら、怖がることはない!
    ケンカしたらいい!拗れたらいい!
    捻れた糸はよりを戻せば味が出る。
    切れた糸は繋ぎ直せば強くなる。
    そんな気持ちが強くなる。
    家族ってやっぱりいいなぁ…、しみじみと感じさせてくれる素敵な本でした。

    ■「妹」という祝福
    妹から姉への物語。
    私には残念ながら姉も妹もいない。
    姉妹は時にライバルで、厄介なこともあるだろうと想像する。
    だけど、やっぱり最強の応援団だろうなぁ~
    姉か妹が無性に欲しくなった!
    絶対無理なのにね~(笑)

    ■サイリウム
    弟から姉への物語。
    サイリウムって何? 
    棒状の使い捨てライトだそうな。
    そうそう、ライブ映像などでよく見る、ファンが振ってるアレらしい。
    異性の姉弟だからわかること、わからないこと。
    心配してても言葉に出さず、全く逆の行動に出て、ムカついたり。
    姉からしたら弟は可愛くて頼りない。
    弟からしたら姉は子供の頃はどこか怖い存在。
    だけど、いつしか守りたい、守らねばならない存在になるのかな……

    ■デイアマンテ
    母から娘への物語。
    友だち母娘、姉妹のような母娘。
    そんな言葉を良く聞くが、どこかでボタンをかけ違えるとものすごく厄介な関係になるだろうことは想像できる。
    本文中の娘の言葉、『血のつながりは絶対って思ってると、いつか、痛い目見るよ』
    でも、最後のには、その血のつながりが力強いんだけどね……

    ■タイムカプセルの八年
    父から息子への物語。 
    やっぱり息子は父の背中を見て育つのか……
    言葉がないぶん、深い愛情があるんだろうなぁ。

    ■1992年の秋空 
    姉から妹への物語。
    読みながら胸が熱くなって 
    姉にとっての妹ってこんな感じなのだろうなぁ…
    誰がなんて言ったって妹なんだ!
    『無条件で私の腕を頼っていいのは、この地球上で、この子だけだ』は胸に染みた〜!

    ■孫と誕生会
    おじいちゃんから孫への物語。
    おじいちゃんと孫(小3・女の子)の関係ってなかなか難しいだろうなぁ~
    でも、孫はやっぱり可愛いものなんですね。

    ■タマシイ厶・マシンの永遠
    子どもの頃に愛された記憶。
    覚えていないことだらけ。
    でも、愛情に包まれていたことを大人になって思い出す、体験できる方法ってあったのよね~!

    • 杜のうさこさん
      azumyさん、こんばんは^^

      毎日暑いけど、体調崩してませんか?
      私はすでに夏バテ気味。やっぱりへなちょこだわ(#^^#)

      ...
      azumyさん、こんばんは^^

      毎日暑いけど、体調崩してませんか?
      私はすでに夏バテ気味。やっぱりへなちょこだわ(#^^#)

      最近レビューがないから、コメント遠慮してたの。
      今日も迷ったんだけど、うれしくてつい…。

      いいね!ありがと~~!
      うれしかった~!
      それと、『アイミタガイ』読んでくれたんだね。
      きっと私の本棚で見かけて読んでくれたんだろうなって、勝手に解釈(笑)
      私ね、ネットの世界の方々とつながるのって、ブクログが初めてなの。
      だから、スルーしたほうがいいのかとか、微妙な距離感がいまだ把握できなくて恥ずかしいんだけど…。
      時々、これ重たいって思われちゃうかな?なんて、考えながらコメしたりして。
      でも、azumyさんも「つい、おせっかいしてしまうの」って前に話してくれたでしょう。
      だから甘えてしまってる~。許してね(*^-^*)
      私も最近いろいろとあって、大変で…。

      でもね、azumyさんが☆5つだった『すみっこごはん』
      読みたくなってゲットしたよ!
      とても楽しみ♪

      久しぶりにお話しできて嬉しかった。
      一応、非表示にするね。
      それと、返信は気にしないでね!!絶対だよ!
      では、またね(^^)/
      2016/08/04
  • 家族というのは近すぎて遠い、どこか苦くて温かい、そんなお話が7編。
    多感な子供心のお話は、懐かしくもあり恐ろしくもあり。

    一番短いラストの「タマシイム・マシンの永遠」がすごくよかった。
    驚くほどの共感。
    私も辻村さんも、人の親なんだな。

  • 色んな視点の「家族」の話が収録されていて、自分の経験のあることは「そうそう」と読めて楽しかったです。

    家族だから避けられない事とか、ありがちな喧嘩のディテールはお見事!特にバンギャの姉とアイドルオタクの弟の話の小道具(姉のロッキンホース、アナスイ風のフラッシュムービー、ベースの藍華…←名前でもうバンドの方向性が想像できる!)は具体的でリアル!読んでて恥ずかしくさえなりました。

    なんか何をするでもなく実家に帰ってみようかな〜とノスタルジーな気分になったりもしました。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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