しょっぱい夕陽

  • 講談社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062192279

作品紹介・あらすじ

公務員の佐藤は家を建てたし、息子も立派に育った。でも、結婚生活20年目にして妻が浮気をしている。そんな中、勤め先の役所に、中学生のとき憧れていた田村和歌子が相談に訪れて……。(「エフの壁」)

保育士の媛谷もえぎは、半年前から落語家・春風亭星也に夢中。クレーマーの保護者から理不尽に怒鳴られても、若い保育士に陰口を叩かれても、星也と結婚する日を夢見ていれば、何も怖くなんかない。(「もえぎの恋」)

中学校教師の野瀬は元教え子の妻から、家でも「先生」と呼ばれている。ある日の帰り道、卒業生の美和子に鉄パイプで襲われ負傷した。野瀬は女子生徒に恋愛感情を抱かせてしまう自分に思い悩むが……。(「かみふぶきの空」)

酸いも甘いも知っている。でも自分のことは、おぼつかない。
話題作『ぼくの守る星』著者による、48歳年女・年男たちの5つの奮闘!

感想・レビュー・書評

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  • 48歳の男女それぞれの、悲喜こもごもな日々。
    #エフの壁
    妻の浮気を知りながら追求できない公務員。
    居酒屋で、かつての同級生たちの集まりに遭遇。
    声をかけられなかった事に落ち込むが…(良かったね~忘れられてたんじゃなくて!)

    #肉巻きの力
    結婚16年目の主婦、いつも心には好きな男性がいる。でもそれは夫ではない(笑)
    ひとりをずっと想いつづけているわけじゃないので罪の意識は今のところ無い。
    現在の憧れの人は、息子のサッカー教室のコーチ。
    そのコーチに会えるなら、保護者委員も嫌だけどがんばれる。
    食べてもらえることを願っておにぎりをにぎる。
    でもなかなか思い通りにはいかなくて…(あはは~愉快なママ♪)

    #バナナの印
    離婚して、左遷され、目つきの悪さをカバーするためにダジャレを言い続ける会社員。(上司にはちょっと遠慮したいが、嫌いじゃないです)

    #もえぎの恋
    更年期と言われる年齢になり、正職員でないため将来の不安を抱える独身保育士。唯一の楽しみは年下の落語家に会いに行くこと。(保育士として間違ったことは言ってないはずなのに…)

    #かみふぶきの空
    かつての教え子と結婚していることで、今でも自分が生徒たちからモテていると勘違いしている教師。(フフッ)

    全部面白かったです!
    特に好きだったのは、肉巻きとバナナ!
    みんな一生懸命生きていて、ちょっぴり笑えて、どこかせつなくて。
    ほんと『しょっぱい夕陽』ってかんじですね~

  • クスッと笑える場面がある。
    単純になるほどなぁと思ったりする場面もある。

  • 「たいがいのことは、笑っていればごまかせる。[...] 笑ってさえいれば、誰かに助けてもらえるんだ。許してもらえるんだ。卑怯でもなんでもない。社会に出るということは理不尽なことを受け入れることだ。ときには自分をごまかさないと、生きているのがつら過ぎる。[...] お願いだから笑っていてくれ。笑ってごまかすことを学んでくれ。」(124ページ)

    思い描ていた未来になっていなかったとき、どうするか。
    崩れ落ちて絶望する以外の道を模索して、足掻く中年男女たち。
    苦しくても、悲しくても、前に進めるはずだと思い出させてくれる物語り。

  • 哀愁漂うミドルエイジ。
    なぜか悲しさを感じる。
    もっと楽しく生きてもいいのに。

  • 本の福袋に入っていたので、初作家さんですが。ちょっとズレていて、でも一生懸命生きてる48歳たちを身近に感じた話でした。
    講談師なんですね、どの話もテンポが良い感じで読みやすかったです。

  • すべて48歳が主人公の短編集。人生折り返しを過ぎて、思うようにいかない、辛いことやしんどいことを抱えて生きている姿を描いている。離婚して離れて暮らす娘に会いたいと思う男が主人公の話が良かったな。

  • 48歳。
    同世代ではあるけど、そうそうっていう共感はなかった。さらさら読めたけどするする忘れそう。
    バナナの印はせつないけどよかった。



    バーコード検索したら違う本になった。
    ISBNはあってるのにな…。

  • 小説祭り!小説が読みたい!小説解禁!
    ってことで、初めての作家さんだけどタイトルで借りてみた。
    主人公みんな48歳!自分的にはちょっと先なんだけど、なんだかその年齢から来る閉塞感みたいなものが身に沁みた…。
    ココロのヒダヒダへの切り込み方が好きな書き方だな。
    個人的には元生徒と結婚した先生の話が特に好きだった。

  • 泣けました。
    すごくいい。
    また読み返したい。

    読み終わってからも、刹那さがのこり、
    それでももう少しだけ頑張ろうと思える本。

  • 48歳の男女を主人公にした短編集。
    若者ではないけど熟年ってわけでもない。そして本人は未熟さゆえに、自分の見た目や精神が、社会が抱く48歳のイメージより「若い」と勘違いしている。社会人経験も20年以上だが、「成功者」ってわけではなく、特に秀でたところはなくてもそこそこ頑張ってやっているうちにここまで来てしまった。
    つまり日本の大部分の48歳がこの短編に集約されているともいえる。
    といっても深く考えさせられるような重さはなく、さくさく読めるので、まあほんの息抜きに読む感じ。読み返さないし、5年も経たないうちに内容も忘れてしまいそうな気がする。
    でも、時間つぶしとしては悪くない。特に女生徒に「モテる」と勘違いしたオヤジ教師の話が面白かった。ほんとにいそうな感じ。「ちょっとズレてるけどそんなに悪くない先生だよね」と生徒に評価されているような教師。
    独身の保育士の話は、本人は正しいことを言っているのに職場の人間も子どもの親も誰一人認めないというのはちょっと可哀想だったな。こういう人は田舎に帰っても上手くはいかんと思うよ。
    ちょっと無理のある設定の話もあったが概ね楽しめた。

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著者プロフィール

神田茜(かんだ・あかね)
北海道帯広市生まれ。1985年に講談師の二代目神田山陽門下に入門、95年に真打に昇進。2010年『女子芸人』で第6回新潮エンターテインメント大賞受賞。著書に『フェロモン』『好きなひと』『ふたり』『ぼくの守る星』などがある。

「2014年 『しょっぱい夕陽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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