かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。

著者 :
  • 講談社
3.13
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本棚登録 : 276
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062192842

作品紹介・あらすじ

詩集『死んでしまう系のぼくらに』で世界を震わせた、
今、最も注目される詩人・最果タヒが紡ぐ、初めての長編小説――。

少女たちは、いつだって青春を戦っている。
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きみがぼくに使うかわいいという言葉が、ぼくを軽蔑していない、その証拠はどこにあるんだろう。好きとも嫌いとも言えないなら、死ねって言っているようなものだと、いつだってきみは、怒っている。ぼくは、きみを好きでも嫌いでもないまま、優しくありたい。かすかな、死の気配でありたい。
愛情で語れる友情は、ただの代替品でしかない。

きみが孤独なふりをするあいだ、ぼくはきみと友達でいる。光る波がおしよせて、ひいていく。きみの足首がぼくと同じで、ただそこにあることを、だれにも証明ができない。
孤独になれば、特別になれると、思い込むぼくらは平凡だ。制服がかろうじてぼくらを意味のあるものにしてくれる。
きみは、どんな大人になるかな。
あたりさわりのない、この世にいてもいなくても変わりない、誰かになるのかな。
幻滅が存在しないのは、友情だけだよ。海が告げる。きみは立っている。
ぼくの友達。
(詩・最果タヒ)
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感想・レビュー・書評

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  • ネットの力で魔法少女に変身する女子高生 織田日月はネットの悪意から生まれる魔物を退治していた。
    ある日、日月は図書室で転校生 安楽栞と出会う。
    安楽は風紀委員長から風紀違反検挙を依頼された探偵でアンドロイドだった。
    安楽から頼まれだ日月は協力して校内のネット問題を解決していく。

    注目の詩人 最果タヒさんの長編小説。
    雲の上の人とか、憧れの人も、自分と同じ普通の人間なんだって実感できるようになったのはいつの頃からだろうか。
    ネットなどの科学技術と人間についての関係も的確にとらえていて納得させられました。

  • 魔法少女とアンドロイドという突拍子もない設定でありながら、「目の前の人と向き合えているか」というメッセージに落とし込むのが流石。途中、読みにくいところもあったが、最果さんの文章独特の雰囲気で好きだった。今度は詩集も読みたい。

  • 文学

  • 2018/4/15購入
    2020/3/28読了

  • 本当に尊い時間や関係性に、どうして僕らすぐに名前をつけたがるのだろうか。
    本当に大切なものには、名前なんかなくなっていいのに 僕らは名前を欲しがる。壊れそうで不安だから壊れても分からないようにするためだろうか。
    最果タヒのことをゆめかわいいって言葉に収めてはならないと思った。それだけで何か大切さが欠けてしまうような気がしたから。
    本から感じたことは こんなところかな。これも きっとほとんど あとがきを読んで感じたことだろうな。
    本自体は、ライトノベル感がほんとにすっごくて、詩人がラノベ書いたらこうなるのかって感じだった。普段、詩を書いてるからか 物語というよりかは、淡々と詩が伏線を持ちながら進んでいくような印象だった。
    ところどころに 友人関係で感じる 感情が散らばっていて、私特有のものだと感じていた感情達が 実は そうではないと思った。
    言葉にしないだけで、案外 周りも そんな感情になっているのだと、自分以外の人間がすごくて、世界を変えられるのはそんな人達だと 、この世界の脇役に自分を捉えていたけれど、実は違っていて、自分の世界を変えられるのは自分で、世界は自分が作っているのだとおもった。

  • 前から気になっていた作品。装丁もかわいいし。内容はラノベ調?なんだか軽くてしっくりこなかった。ファンタジーだ。

  • 少し変わっている切り口で最果タヒさん特有の雰囲気だと思った。
    ネット社会の闇の中の人間関係や友情などをもので、現代社会の問題がしっかりと見えてくる。
    ビジネス書や、論説よりもスッと入ってきて2時間も経たずに読めてしまった。
    とても読みやすいと思う。

  • 区切りの仕方がイマイチで読みにくかったけど、スラスラと話が入っていく感じでした。
    魔法少女とアンドロイドの友情、彼女たちは特別じゃなくて至って普通の女子高生。
    機会があれば他の作品も読んでみたいですね。

  • 「私は私がしたいことを、私がしたいようにやる」ネット、人間、ロボット、私、友達…

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
詩人。一九八六年生まれ。二〇〇六年、現代詩手帖賞受賞。二〇〇八年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。二〇一五年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(二〇一七年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』など。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では一〇〇首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞【←無限大記号、寝かす】』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、絵本に『ここは』(絵・及川賢治)、対談集に『ことばの恐竜』。

「2021年 『神様の友達の友達の友達はぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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