赤の他人だったら、どんなによかったか。

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062195317

作品紹介・あらすじ

■朝日中高生新聞の大人気連載が待望の出版化!
「うつのみやこども賞」受賞作家の最新作!

■親戚が通り魔だったら、どうしますか?

■あらすじ
ある日、隣町で危険ドラッグを吸った犯人による通り魔事件が発生!教室はその話題でもちきりに。中学2年生の風雅は、容疑者が親戚だと知って、大ショック……。クラスメイトに知られたくないと思う。なのに、新学期になったら犯人の娘・聡子が、同じクラスに転校してきてしまった!
いじめられている彼女に、してあげられることは――!?
「他人とは何か」「血のつながりとは何なのか」……
前編で風雅、後編で聡子と対照的な2人の視点から描く物語。

「いじめ」について、こういう考え方を持てば、
一歩踏み出せるんじゃないかと思って書きました(吉野万理子)

■本文より

最近、オレは思うんだ。
誰も彼も、実はつながってて、
極端な話、オレとこの国の首相も千年さかのぼれば、
遠い親戚なんじゃねーか、って。
赤の他人なんていない、つーか。──風雅

ひとことでも言葉を交わしたら、
「赤の他人」は「知り合い」に
変わるの。──聡子


■著者プロフィール
吉野万理子 よしの・まりこ
1970年生まれ。神奈川県出身。作家、脚本家。
2005年、『秋の大三角』(新潮社)で第一回新潮エンターテインメント新人賞を受賞。
その他の作品は、『Route134』(講談社)、『想い出あずかります』(新潮社)、
『海岸通りポストカードカフェ』(双葉社)など多数。
児童書の作品に、『チームふたり』(学研)などの「チーム」シリーズや
『100%ガールズ』(講談社)シリーズ、『時速47メートルの疾走』(講談社)などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 神奈川県出身の作家の作品として読みました。
    主人公は中学生。
    夏休み明けに転校生がやってきたことで、それまでの環境が大きく変わります。
    転校してきた聡子(さとこ)は、先だって起こった通り魔事件の犯人の娘、であると同時に、自身の「遠い親戚」でもあったのです。

    直接血がつながっているわけではないとはいえ、「親戚」の「犯人の娘」とどう付き合っていくか、模索していく主人公たち。
    心ない「いじめ(いじり)」のターゲットになりがちな聡子を、(自分の身を守ろうという本能を抱えつつも)助けよう、守ろうと努力する姿はリアルでもあり、応援したくなります。

    主人公の「最近、オレは思うんだ。誰も彼も、実はつながってて、極端な話、オレとこの国の首相も千年さかのぼれば、遠い親戚なんじゃねーか、って赤の他人なんていない、つーか」というセリフや、聡子の「一言でも言葉を交わしたら、「赤の他人」は「知り合い」に変わるの」というセリフは、なかなか響くなあ、と感じました。

    YA小説として、中高生におススメしたいなと思える一冊でした。

  • 平凡な田舎町で、ある男が通り魔事件を起こす。
    全国ニュースになる事件に男子中学生である風雅は無責任に心をときめかせたが、犯人が自身の遠い親戚であると知って事件への見方が変わる。
    クラスメイトに親戚だとばれたらどうなるのか。怯えと保身に悩む中、犯人の娘が転校してくる。
    風雅の視点から追ったフェーズと、犯人の娘である聡子の二つの視点から描いた物語だ。
    血のつながりとは何か、ひととの関係性について、丁寧に描かれている。
    優しく誠実な世界であってほしいという著者の祈りのようなものを感じた。

  • 潔い若者たちに拍手ですね。

    事件・事故が起きたとき、被害者・加害者の家族が巻き込まれてしまうあれやこれやに、「遠い親戚」というつながり。
    「他人」だったら蚊帳の外なのに、辿れないほど遠くても「親戚」というだけで、右往左往してしまう状況に、若者たちの葛藤が清々しいです。

  • テーマは重く、考えさせられる部分も多い。
    YAだけど、大人にも勧めたい一冊。

  • 「ある日、隣町で危険ドラッグを吸った犯人による通り魔事件が発生!教室はその話題でもちきりに。中学2年生の風雅は、容疑者が親戚だと知って、大ショック……。クラスメイトに知られたくないと思う。なのに、新学期になったら犯人の娘・聡子が、同じクラスに転校してきてしまった!
    いじめられている彼女に、してあげられることは――!?
    「他人とは何か」「血のつながりとは何なのか」……
    前編で風雅、後編で聡子と対照的な2人の視点から描く物語。」

  • 殺人犯の娘という難しいキャラクターを、児童書に落とし込もうとする作者の意欲を感じました。個人的にはいじり(いじめ)や殺人犯の娘としての葛藤など、もう少し踏み込んだ描写があってもよかったのかな、と思います。

  • 読んでいるときに、次どんなことが起こるって大体分かってしまうけど、面白かった私も、もしかしたら世界中あの人と遠い親戚なんじゃないかって考えてました。私は個人的にききが好きです

  •  衝撃的な題に心つかまれたでしょ。どんな展開か? 読んでみてください。
    (分室担当/お花が笑った)

     風雅の住む町に無差別殺人犯が逃亡してきた。赤の他人だと思っていたけど、実は犯人とは遠い親戚で、同じ年の娘がいるらしい。しかも、風雅の中学校に転校してきた…! 赤の他人から知人へ変わる瞬間、ドキドキが止まりません。
    (一般担当/95line)

  • ある日、隣町で危険ドラッグを吸った犯人による通り魔事件が発生。中学2年生の風雅は、容疑者が遠い親戚だと知ってショックを受ける。クラスメイトに知られたくないと思うが当然、教室はその話題でもちきりに。次第に忘れられてゆくのを期待していたが、新学期になって犯人の娘・聡子が同じクラスに転校してきた…

    前半は風雅視点、後半は聡子視点で描かれています。タイトルが気になって読みましたが、児童書というかYAだったんですね…それだけにうまくいきすぎな気もしますが、前向きな気持ちになれます。こういった事が本当に起こりうるので重苦しすぎず、読みやすく、実際にこうなったらどうする?という問題提起がされていて良いと思います。

  • これはオリジナルのタイトル(「赤の他人?」)のほうが良かった。たしかに主人公は、ストーリーのごくごくはじめには「赤の他人だったらよかったのに」と思っているのだけど、すぐにそう思わなくなる話なので。いじめの話ではあるんだけど、あまり重すぎずほどよい感じで救いがあり、楽しく読めた。子どもにも薦めたい。

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著者プロフィール

神奈川県出身。2005年『秋の大三角』で新潮エンターテインメント新人賞を受賞。『劇団6年2組』で第29回うつのみやこども賞受賞。作品に、『チームふたり』からはじまる「チーム」シリーズなど多数。

「2014年 『新装版 チームシリーズ 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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