星球

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196055

作品紹介・あらすじ

「愛しかたは、ひとつじゃない。
ひとの気持ちは、まっすぐな一本道とは限らない」

表題作「星球」
私が選んだ「2014年の短編小説ベスト3」である。
――目黒考二(文芸評論家)
(「目黒考二の何もない日々」WEB本の雑誌 2015年1月26日より)

『お父さんと伊藤さん』『おまめごとの島』で
注目度急上昇の新鋭が描く恋愛短編集

恋愛戯曲で注目の女子大生劇作家は、筋金入りの“未恋”女子。そんな彼女がリアルに恋をした。でも想いは告げられないまま時が過ぎ……(「星球」)。元エリート会社員の婚活騒動。妊婦の忘れていた恋心。天体マニアの女性に向けられた年下男の溢れる想い。セレブ夫婦の離婚工作を引き受けた便利屋中年社長の偽恋。戦争に翻弄された若者たちの絆……すんなり行かないのが恋だけど、どこかで必ず希望の星が光っている。恋する人、恋を待つ人にエールを送る6つの恋愛物語。

感想・レビュー・書評

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  • 何の予備知識もなく、図書館で気になって借りてみたが、予想以上に良かった!星、宇宙がモチーフの短編集だが、描かれるのは淡い恋心。登場人物は恋愛下手な女子大生、里帰りした妊婦、婚活中のやもめなど様々な世代の男女。ユーモラスだけどピリッと切なく、それぞれの不器用な生き方が何ともいじらしい。
    どの話も好きだけど、一番響いたのは最終話の「七夕の旅」。認知症の祖父きっかけで恋人と別れた麻衣が、まさかその祖父の過去を辿ることになるとは。
    今回初めて中澤日奈子さんの著作を読んだが、じわじわ沁みていく、程よい物語の体温が丁度よく感じられた。こういうのって熱すぎても冷えすぎてもハマらないものだけど、テンポよくその世界観を楽しめて、満足できました。是非他の作品も読んでみたい。

  • 恋愛経験ナシの女子大生劇作家が恋心を抱いたのは売れっ子の劇団代表…恋心を秘めたまま時は過ぎるのだが、というもどかしくもどこかほのぼのとした表題作の「星球」のほか、かつて憧れていた青年が産婦人科医として妊婦である自分の目の前に現れた「半月の子」ほか、ユニークな設定や会話劇が活きた6編の恋心を描いた一冊です。

    ふわっと笑える温かなお話もあれば、切なく収まるお話もあり、バラエティ豊かに静かな恋心をひとつひとつ描いています。どれも輝きは異なるけれど、どれもかけがえのない、ひとつひとつ。そんな想いのきらきらした形は、いつ見上げても輝きつづける星のよう…。

    人が人を思う気持ちは、それだけで輝かしくて尊い。
    あらためてそんな青くさいことをしみじみと感じたのでした。

  •  夜空の星に因んだヒューマンドラマ短編集。6話を収録。

          * * * * *

     夜は人恋しくなるもの。そして星空を観ると自分の気持ちに素直になれたりもする。そんな心の機微をうまく描き出していました。

     1話目「星球」は表題作ながら軽いタッチのオードブル的な作品。途中で主人公が突如キャラ変してしまったように感じて、少し飲み込みづらかった。2話目「The Last Light」もコミカルで笑えるが、軽すぎて印象に残らない。

     おもしろくなってきたのは3話目から。その「ほうき星」は切ない悲恋物語で、思わず読み返してしまうほど美しくもありました。
     巡るほうき星。浄化される魂。いつか怜史に巡り会う日がくれば……。 
     
     「半月の子」はコメディ色が強いが2話目よりも深みがあり共感しやすいし、「Swing by」は惑星探査機はやぶさに絡めたお嬢様育ちの女性の成長物語で、読後感がすこぶるいい。

     そして最終話「七夕の旅」。戦争の生み出す悲劇をベースにしつつ、現代を生きる若者に希望を与える筋立てで、非常に好もしかった。

     映像化が望まれる作品だと思いました。

  • 不愉快
    特に妊婦の話の回
    言っちゃあ悪いけど、だったら子供ごと死ねと思う

  • 星のように瞬く恋の短編集。
    3話目の「ほうき星」は、天体マニア女性に恋する自分に気づくの年下男の子の物語で、切なくて一番好きかな。

  • とっても良かった!七夕の旅、ホロリと。

  • 短編集。星にまつわる話で、小説自体がさらっとしている。読みやすいけど、逆にあっさりしすぎてるイメージ

  • サークルの劇作家の主人公と女好きの演出家やニューハーフのスタッフが明るい表題作、知人医師に抵抗する妊婦の出産を書いた「半月の子」、別れさせ屋の目論見で一人暮らしの老婆の夕食を作りに行く「Swing by」、祖父の兄が戦争から帰った時を回想する、祖父の面倒を見るまたいとこの孫たちとの「七夕の旅」他、楽しんだ。

  • 天空を巡る星は、まるで人の出会いと別れのようだ……と詩的に始めて見たけど、考えたら星は基本的に動かないから出会わないし、出会ったらそれ恒星衝突でお別れだ。

    さておき、星をテーマに様々な恋模様、その出会いと別れを垣間見る短編集だった。ぶっちゃけそれぞれの恋物語に星要素は必要無いかもしれないが、それが(多少強引にせよ)入り込んでいることでロマンチシズムが増されて、物語のアクセントになっている。

    特に、ワシみたいな天文好きには、物語の先のさらなる想像や妄想を刺激してくるのが面白い。

  • 天体がどこかに出てくる短編集。恋愛未体験の女子大生が、劇作家として関わった劇団の演出家の好きになる話や、天体観察が趣味の会社員が年上の女性に心惹かれる話など。ちょっとあっさりし過ぎかな。もっとひねりがあった方がなお面白くなるのではないかな。

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著者プロフィール

1969年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務の後、劇作家として活躍。2007年「ミチユキ→キサラギ」で第3回仙台劇のまち戯曲賞大賞、12年「春昼遊戯」で第4回泉鏡花記念金沢戯曲大賞優秀賞を受賞。13年に『お父さんと伊藤さん』で第8回小説現代長編新人賞を受賞し、小説家デビュー。著書に『おまめごとの島』『星球』がある。

「2017年 『PTAグランパ! 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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