御奉行の頭の火照り 物書同心居眠り紋蔵

著者 :
  • 講談社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196635

作品紹介・あらすじ

「藤木は捨ておかぬ、馘(くび)にして遣わす」
江戸のお騒がせ男として隠れもない名物男、弁慶橋で刀法指南をしている蟋蟀(こおろぎ)小三郎。
教え子の親にかけられた謀書謀判の嫌疑を晴らそうと頼み事をもちかけてきたこの男に、“窓ぎわ同心”藤木紋蔵は少しばかりの知恵を授ける。
ところが、それによって面子を潰された御奉行が烈火のごとく怒る!
とんだ逆恨みを受けることになった紋蔵。その進退やいかに。
人気シリーズ最大の“失職”危機が迫る最新作

感想・レビュー・書評

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  • 時は家斉の時代、ヒマにあかせて将軍の前で白洲を開く、吹上上聴をやろうということになった。
    このところ、良いところを見せていない南町奉行。

    今回は慎重に事件を選び北町奉行と違った方面の事件を取り上げることにした。
    離縁をするしない、去り状をくれないという事件だった。
    奉行は紋蔵にも相談し、うまく人情噺を納めたかに見えた。

    ところが、うまく話は進まないようで、
    水野老中が、「俺が俺がと出すぎる」と、将軍に進言し左遷。

  • 愛読シリーズ第14巻。
    冒頭で理不尽な上役に目を付けられ、巣立っていく子供たちの言動に振り回されたりするなど、いつになく気忙しい主人公の日常。上役との確執もなんとか収まって一安心となったら最後に当の相手がうっちゃりをくらう結末を迎える、という第一章から終章までうまく繋がった完成度の高い一冊でした。

  • 目次
    ・御奉行の頭の火照り
    ・お姫様みわ一世一代の大舞台
    ・手柄の横取り
    ・島帰り勘七への思いやり
    ・勘太の恩返し
    ・十日以内に二人を殺す
    ・御奉行の逆恨み
    ・十八年目のうっちゃり

    前巻で、牢の中で生まれ育ち周りの人々に幸運を与える能力を持つ”はな”を、「世間の好奇の目にさらされないよう八丁堀の屋敷の中で私が引き取って育てよう」と申し出た、お奉行が、一冊を通して紋蔵に絡む。

    そもそも言い分とは違い、育てる理由は自分の保身だ。
    20年を無事勤め上げて、500石の知行取りになりたいお奉行。
    紋蔵はただ、お奉行の勇み足の尻ぬぐいをしているだけなのに、逆恨みを買って「いつか首にしてやる」とまで言われる始末。
    宮仕えはつらいよねえ。

    お奉行の目につかないようにおとなしくしている紋蔵だけど、事件が紋蔵を離さない。
    事件を解決するたびにお奉行の出鼻をくじくことになり、恨みはいや増すばかりなり。

    と思ったら、最後の作品の一番最後。
    突然お奉行は左遷される。
    紋蔵をはじめとする人々は、「なにゆえ」と首をひねるが、見ている人は見ているのである。

    「五百石の知行取りに直してもらえる二十年が近づくにつれ、我を張るだけでなく、人が変わりはじめた。手柄を立てよう手柄を立てようと焦るようになり、表にはでておりませんが、いくつかしくじりを仕出かしております」

    そういう人、確かにいるわ~。
    でも大抵はしくじってもお咎めなしなんだよね、残念なことに。

  • シリーズ物と気づかず、表題作のみ読む…
    同心ものとか結構好きなのに、これはだめだった…
    ストーリーに直接関係のない、江戸時代小ネタ?みたいなのがカッコ書きでちょいちょいあり、それがじゃま。
    主役が誰なのかもよくわからないし、全体的にピントがズレてるようで読むのに疲れた…
    再読はないかな。

  • 紋蔵さんの陰での活躍も良いけど、文吉の思い切りも天晴れです。

  • 文吉の将来に異変。チヨはどうする。

  • 2014〜15年に「小説新潮」に掲載された連続8話の単行本化で、シリーズ14作目。

    南町奉行所の伊賀守が20年勤続で500石取りになるまであと2年となって頑張ってしまうのだが、紋蔵の活躍が気に入らず逆恨みするのが通奏低音となっている。

    「半次捕物控」シリーズの迷惑キャラ蟋小三郎がこちらにも登場して結構活躍するのがおかしい。

    養子の文吉が、御家人株の後釜から大名の高禄の家臣の婿へと望まれたが、驚きの任侠の世界に転身。

  • 「何故文吉はモテるか」に対する妙の答えがなかなかしっくりきた。紋蔵チルドレンは皆好き。物凄くキャラが濃いってわけでもないけど、なんだか好き。

  • 小説現代2014年4,6,8,10,12月号2015年2,4,6月号に掲載のものを2015年8月に刊行。シリーズ14作め。8編の連作短編。いつものように、ありそうで、なさそうなお話を面白く語るところが、楽しい。半次捕物控の蟋蟀小三郎を登場させたところは、あまり面白くない。

  • 居眠り紋蔵シリーズだけでなく,ちゃんと単行本かされる時の事を考えながら書いている点が素晴らしい~松平伊賀守は南町奉行を18年務め,手柄を立てて居座れば,あと2年で五百石の知行取りに直る。金貸しの浪人に謀書謀判のみそを付け,名誉回復のために,丹波松平伊予守家を出奔した小坂誠十郎の肩を持って蟋蟀小三郎を争わせようとして小三郎に芝居を打たれて手柄を横取りされた。吹上上聴では,離婚と嫁いびりを見事に捌き切ったが,老中・水野出羽守により左遷された~稲は再婚し,勘太は鍛冶職人に弟子入り,文吉は将来の大名家の家老職を蹴って芝居の世界・影富売りになる。新しい御奉行は??

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著者プロフィール

佐藤 雅美(さとう・まさよし)
1941年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。デビュー作『大君の通貨』で第四回新田次郎文学賞を受賞。1994年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する。著作に『御奉行の頭の火照り 物書同心居眠り紋蔵』『頼みある仲の酒宴かな 縮尻鏡三郎』『関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛』『知の巨人 荻生徂徠伝』などがある。2019年7月逝去。

「2021年 『恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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