影憑き 古道具屋 皆塵堂

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062198189

作品紹介・あらすじ

放蕩三昧の
馬鹿息子に祟る「黒い影」!?
  
曰く品が揃う皆塵堂の
新たな居候は大店(おおだな)の倅
  
とぼけた笑いとあと引く怖さ

面白さ抜群の「人情怪談騒動記」!

円九郎、菊三郎、金吾は、立派な店の倅たちだが、遊び歩いてばかりの放蕩息子。
親から金を渡されなくなった三人は、賽銭泥棒をしてしまう。
しかし人の形をした黒い影に襲われそうになった円九郎が叫び声をあげ、悪事が露見。
円九郎は家を追い出され、皆塵堂に預けられたが、何をやっても失敗ばかり。
そこで店主の伊平次は、「荒療治」に踏み切ることに……

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ6作目。

    今回は、何をやらせても駄目な放蕩息子、円九郎が皆塵堂に預けられます。彼に付きまとう“影”の正体とは・・・。
    と、いうことで今回も相変わらず、安定の読み心地です。
    ちなみに、巳之助の名(迷?)セリフ。「・・・男が約束の刻限に遅れてもいいのは、人の生き死にに関わる時と、出がけに猫が膝の上で寝ちまった時だけだ」が、個人的にツボでした。

  • 978-4-06-219818-9
    C0093¥1500E.
    影憑き
    古道具屋 皆塵堂 
    2015/11/10.第1刷発行

    著者:輪渡颯介(わたり そうすけ)
    発行所:株式会社講談社

    -----------------
    目次
    三人の放蕩息子
    欠けた水瓶
    留守番の夜
    幽霊の不思議
    襲う影
     参考文献

    初出:三人の放蕩息子 メフィスト2015vol2. ほかの作品は書下ろし

    -------------------
    円九郎、菊三郎、金吾は、立派な店の倅たちだが、遊び歩いてばかりの放蕩息子。親から金を渡されなくなった彼らは、賽銭泥棒をしてしまう。しかし人の形をした黒い影に襲われそうになった円九郎が、叫び声を上げ、悪事が露見。円九郎は家を追い出され、皆塵堂に預けられたが、何をやっても失敗ばかり。そこで店主の伊平次は「荒療治」に踏み切ることに…。

    ---------------
    円九郎 えんくろう 安積屋 紙問屋
    金吾 きんご 福田屋 質屋 女
    菊三郎 きくさぶろう 武州屋 藍玉や 酒と博打
    太一郎 たいちろう 幽霊が見えちゃう人
    峰吉 みねきち 皆塵堂の小僧 器用
    巳之助 みのすけ 棒手振りの魚屋
    慈右衛門 じうえもん 円九郎の父親
    清左衛門 材木商大店、鳴海屋のご隠居 皆塵堂の地主

    辰五郎 皆塵堂の並びの米屋のオヤジ
    伊平次 いへいじ 皆塵堂の店主
    幸太郎 こうたろう 円九郎の兄6歳で亡くなっている
    茂七 もしち 鰻屋 呪いの掛け軸で一回店をつぶす
    鮪助 しびすけ 皆塵堂の猫 周辺のボス猫
    益治郎 ますじろう 片づけ名人皆塵堂居候歴あり
    民蔵 たみぞう 自分勝手で女癖もわるい板前、桔梗屋の板前だったが、すでに自死している。
    卯兵衛 うへい 橘屋の主 
    安兵衛 やすべえ 桔梗屋の主、腕の悪い板前

    --------------
    今回も各々、持ち味十分に発揮し、活躍してくれました。
    巳之助は包丁さばきに力仕事。ご隠居は経済的にも、顔役としても、太一郎はその能力で、伊平次はその性質で、峰吉もだんだんと突っ込みが鋭くなってきています。
    これまでに皆塵堂に居候した人たちは、それなりのバックグラウンドがあって、誤解が解けたり、気持ちが切り替わったりして、暮らしを立てています。
    今回のネタ持ちは円九郎だと思いますが、箸にも棒にもかからぬ、乳母日傘で年だけ喰って今に至る。鳴海屋さんの伝手とはいえ、どうにかなるものでしょうか…。
    円九郎の良いところと言えば、素直なところでしょうか?
    米屋の辰五郎さん預かりになって、一端の幕引き。
    遊び人の茂も巳之助の一括で今のところ使える人間になったようですし、今後の成り行きが楽しみです。

    これまで皆塵堂に預かりとなった人たちは、作品中に登場する、つまり皆塵堂とゆるくつながっていて、そのキャラで皆塵堂とかかわっています。
    果たして、この円九郎なる根性なしの役立たずが、今後の皆塵堂での立ち位置をどう作っていくのか、楽しみです。

    辰五郎さん(と、その奥さん)がその存在が大きくなってきました。
    最初は大八車を借りるときの伊平次との茶番劇でしたが、姿が見えるようで可笑しかったのを覚えています。

    次も楽しみです。♪ 子猫たちがママ猫になって、一層にぎやかになるのかな?

  • 毎回、主人公というか奉公人が変わるシリーズ。今回は、気の弱い遊び人の若旦那。そう言えば太一郎も、ある意味、気の弱い若旦那だったか。巻が進むにつれて、太一郎もしっかりしてきたけれど、円九郎はどうかしら。

  • 皆塵堂シリーズ第六作。再読。
    これまで様々な男たちを再生してきた皆塵堂だけど、この円九郎は一番しょうもない男。
    根性なし体力なし、楽な方に流されやすくその場しのぎの嘘を直ぐに吐く。
    最後までイライラした。
    そんな円九郎に取り憑いている黒い影の正体を探る。
    相変わらず峰吉は辛辣、伊平次はお気楽、巳之助は豪快、清右衛門は説教三昧、そして太一郎は冷静(猫に絡まれると我を失うけど)という立ち位置の描き分けがハッキリしていて良い。
    円九郎、次の修業の場で体力と根性が付いてヘタレを卒業出来れば良いけど。
    次はいよいよ仔猫祭り、そして完結編。楽しみ。

  • 今回、皆塵堂に奉公人としてやってきた円九郎は、これまでの中で一番しょーもない男。
    いわゆる放蕩息子で、仲間と古家に忍び込んで死人を悪く言ったり、人からお金を騙し取ろうとしたり、ついには賽銭泥棒まで…。
    挙句の果てに家から勘当同然で追い出され、性根を叩き直すために皆塵堂に預けられることに。
    でも、小僧や猫にまで馬鹿にされるほど仕事ができず、しかもどうやら悪口を言った死人の祟りまでついているようす…さてさて。

    円九郎、ふがいない…と思いつつも、彼の根っこにある弱さは人間誰しも多かれ少なかれ持っているものだろうな、とも感じました。
    同時に皆塵堂レギュラーメンバーの図太さを改めて感じさせられて、苦笑しつつ読了。

    『迎え猫』から登場している子猫たちが準レギュラーとして端々に顔をのぞかせてくれるのがうれしい1冊でもありました。

  • 古道具屋皆塵堂シリーズ最新作。
    放蕩三昧の三人の馬鹿息子が(簡易)勘当されてそのうちの一人が皆塵堂に。

    いつもながらのとぼけた味わいととにかく読みやすい語り口です。ただ冒頭の三馬鹿が割と不快感のある感じだったのがなんとなくなあ、と。面白かったのは面白かったんですけどね。これまでの登場人物が基本的にみんな善人だったから今回の円九郎さんのように(流されるタイプではあるものの)自分から悪事を働く人っていなかったからかな。

  • 今回、皆塵堂にやってくるのは、大店の放蕩息子・円九郎。峰吉に「役立たず」と言われても仕方ないと思うほど、ダメダメな奴です。皆塵堂での恐ろしい体験が、少しは効果あったようだけど、まだまだですね。次は、隣の米屋に預けられるということで、次回も登場するのかな?そんな円九郎のダメさ加減には、あきれるばかりでしたけど、レギュラー陣は、相変わらずで、なんやかんやと笑わせてもらいました。特に、峰吉のSっぷりがね~冴えてたわ~。猫ちゃん巡りをするかわいい一面もまたよかった。そして、太一郎・・・、子猫祭りかぁ(笑)

  • 小道具屋皆塵堂シリーズ、6作目。

    今回の皆塵堂の居候は、周囲に流されやすく、楽な方に逃げてばかりの大店の放蕩息子。典型的なダメダメお坊ちゃんなので、ちょっとイライラさせられるけれども、彼に対する皆塵堂のメンバーの荒療治もなかなかで、楽しかったです。ていうか、今回の怪異話、結構怖かった。ホラーとユーモアのバランスが絶妙で、大好きなシリーズです。もちろん、にゃんこもいいスパイスで、最後の太一郎が駆け込んでくる場面は笑った。これまでの居候と同様、円九郎も今後出てくるのかな。自分の大店に無事戻れる日はやってくるのかしら(笑) と、思っていたら、次作で完結??という情報を見てしまった。嫌だぁ~(泣)

  • 輪渡竣介さんの古道具屋 皆塵堂シリーズの第6作目。

    常連の登場人物たちが、まったくぶれることなくいつもと同じような行動で、いつもと同じような活躍をするので、安心して読むことができる。

    同じような活躍ばかりだと普通は飽きてしまうのかもしれないが、このシリーズでは常に霊の影がちらちらするので、そちらへの恐怖心と好奇心がマンネリ化をうまい具合に打破してくれる。

    今回の主人公である円九郎の駄目さ加減は、まったくもって同情の余地がなく、感情移入が少しばかり難しかったので★ひとつマイナス。

  • 今作で皆塵堂にやってくるのはちゃんとした商家の放蕩息子。息子の放蕩ぶりに手を焼いた親が清左衛門に相談をして,清左衛門が皆塵堂に預けるのが良かろうと判断してのことだった。
    縦軸の話がろくでなし放蕩息子を叩き直すこと(及び呪いから救うこと)というイマイチ共感しづらいものである上に,その叩き直し方がどうにも回りくどいというか,各エピソードの位置づけとかオチとかがぼんやりしているせいで全体的にちょっと眠い感じになってる気がする。

    「三人の放蕩息子」
    紙問屋安積屋の円九郎,質屋福田屋の金吾,藍玉問屋武州屋の菊三郎は幼馴染の放蕩息子三人組であり,親が甘いのを良いことに金遣い荒く遊び呆けていた。ある時たまりかねた親が金を止めてしまうと,困った三人組は賽銭泥棒を企む。しかし円九郎が得体の知れない影を見て悲鳴を上げてしまってバレて,ますます親からの締め付けが厳しくなる。そしてついにそれぞれ家を出されて他所のうちにやられる内証勘当ということになってしまう。安積屋に相談を受けて清三郎が皆塵堂に預けることにしたのが円九郎である。円九郎は清左衛門に取り入って少しでも早く勘当を解いてもらおうと目論むが,三人組でやった悪事が次々とバレてしまう。しかも皆塵堂に来る前の夜,他の二人にそそのかされて,橋から飛び込もうとして同情した通りすがりの人から金を恵んでもらおうとした相手が巳之助で,居合わせた峰吉にも見られてしまっていた。
    「欠けた水瓶」
    円九郎は勘当を早く解いてもらうために真面目に働こうと思うものの,客のこない皆塵堂ではすることもなく,道具を修理しようにも不器用でできず,峰吉から役立たず認定を受けてしまう。伊平次がちょっと意地悪をして,蔵から縁のちょっと欠けた水瓶を出してくる。今いま出ている水瓶は売り物にするのだという。蔵に入っていたわけだから当然曰く付き品であり,夜中に水を飲もうと思って起きた円九郎は水瓶の中に女の生首を見てしまう。そして伊平次は円九郎に水瓶の由来を調べてくるように言いつける。
    「留守番の夜」
    役立たずの円九郎をなんとかしなければと考える清左衛門は,ちょっと怖い目に合わせてやろうと,峰吉を連れ出し,円九郎に一人で皆塵堂の留守番を一晩させることにする。念のため予め危なそうなものを蔵から出して銀杏屋に避難させておいた。ところが太一郎が去ったあとで,一人の老人がやってきて,孫のものだったという独楽を売りに来る。曰く有りげだが取り敢えず買い取って蔵に入れておく。円九郎が一人で留守番をしている夜,突然金吾が訪ねてくる。そして菊三郎が死んだことを知らせる。死に方が少々奇妙なものだった。金吾は勝手に皆塵堂の中を見て回るが,誤って行灯を倒してしまう。火はすぐ消し止められたが,焦げ跡が残ってしまった。そして帰ってしまうが。この時金吾は蔵の扉を開けっ放しにしてしまう。円九郎がボヤを出しかけてしまったことに悩んでいると,例の独楽に憑いていると思われる子供が現れる。その後円九郎は気を失い,夢の中でその子と遊ぶが。

    「幽霊の不思議」
    益次郎の発案で円九郎を桔梗屋という料理屋に連れていくことになる。そこは幽霊が出る店らしい。桔梗屋は民蔵という男が板場を仕切っていたが,腕は良いものの問題のある人物だった。その民蔵が何か錯乱したようになり,店の庭の石灯籠の上で首を吊って死んでしまってから,料理の味が落ち,客足も遠のいているという。しかも首吊りそのものは失敗して,落ちて石灯籠に頭を打ち付けて死んだという。その民蔵の幽霊が夜な夜な現れるというのだが,それを円九郎に見せる意図は?
    そして円九郎を探しに来た安積屋の手代から金吾が死んだことを知らされる。勘当される前に三人で死人の悪口を言ったことが原因とすれば次は自分の番かと円九郎は考える。

    「襲う影」
    何者かの霊に命を狙われているらしい円九郎を救うために皆塵堂チームはあれこれ手を考える。円九郎は助かるのか。そして安積屋に戻れるのか。

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著者プロフィール

1972年、東京都生まれ。明治大学卒業。2008年に『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』で第38回メフィスト賞を受賞し、デビュー。怪談と絡めた時代ミステリーを独特のユーモアを交えて描く。『古道具屋 皆塵堂』シリーズに続いて『溝猫長屋 祠之怪』シリーズも人気に。他の著書に『ばけたま長屋』『悪霊じいちゃん風雲録』などがある。

「2023年 『攫い鬼 怪談飯屋古狸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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