ミッドナイト・ジャーナル

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 373
感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062198998

作品紹介・あらすじ

「被害者女児死亡」――世紀の大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。その七年後、児童連続誘拐事件が発生。さいたま支局の関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑い、東京本社の藤瀬祐里は豪太郎の応援に合流し、整理部員となった松本博史は二人を静観する。間違っているのかもしれない。無意味なのかもしれない。しかし豪太郎は諦めない。タネを撒き、ネタに育て、真実を獲得するため、今日も真夜中に動き出す。
特別な結果を出すのは、いつだって、本気の人間だ。

感想・レビュー・書評

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  • 元新聞記者の小説家といえば何と言っても横山秀夫さんですね。経験に裏打ちされた重厚でリアルな作品群はエンターテイメント性も忘れず、人間ドラマと社会性もふんだんに盛り込まれていて、現役最強と言っても良いのではないかと思っています。問題が有るのはなかなか作品が出ないということぐらいでしょうか。
    で、この本城雅人さんという方、今回直木賞ノミネートだから読んだわけでは無いのですが、横山さんを彷彿とさせる固さと人間ドラマを感じています。いい意味で肩に力が入っていて好感を持ちました。記者としての矜持を反映させたのだと思います。
    事件としての捜査や解決としてのドラマという点では警察ではないのでメインではないと思います。あくまで新聞記者としての生きざまが主役です。捜査そのものに記者がタッチしすぎるとリアリティが無くなるので、これくらい記者魂の部分をクローズアップしてくれて僕としては満足でした。
    続編あるか!?あると嬉しいですね。

  • ブクログでのレビューの評価が高かったので、読んでみようと思いつつ、放置していたら、テレ東でドラマ化されるらしく、読み出す時には余計な情報が入り過ぎて、小説自体を楽しめなかった。
    元サンケイスポーツの記者だった作者が描くジャーナリズムの世界は読み応えはあったが、7年前の誤報に固執し過ぎている気がした。警察ではなく、一般人に情報を伝える人間の黒い感情がどうにも受け入れられなかった。
    7年の時を経て、小学生の連れ去り事件が発生した途端に、7年前の事件に結びつけるのは短略過ぎではないのか?
    結局繋がっていないと、物語は成立しないので、先は読めるけど、そこまでの経緯の描き方が何とも雑な感じで、私はこの作品をそこまで評価出来ない。

  • 「被害者女児死亡」という大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。その七年後、児童連続誘拐事件が発生、関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑っていた。

    著者はもと新聞社勤務、中央と地方局の争い、特に警察との駆け引きが面白かった。
    (図書館)

  • 7年前に児童連続誘拐事件が発生。その時の「被害者女児死亡」の誤報により、中央新聞の3人の記者は飛ばされる。地方の支局をたらいまわしにされていた、さいたま支局の関口は、再び発生した児童誘拐事件を追う。7年前の事件との関連性を疑い、かつてのメンバーに声をかけて取材を続けると・・・
    さすが元新聞記者であり、リアルな描写。記者の取材方法や、警察との関係はもちろん、新聞社内での部署の役割(整理部)や、社会部VS政治部などは面白かった。

  • 新聞社,警察共に,犯人逮捕の思いがあっても,縄張り争いや出世競争等の足の引っ張り合いが事件の解決を遅らせる.新聞社(マスコミ)の事情がよくわかる.豪太郎の傍若無人な振る舞いに,みんなが振り回されつつ,事件の解決に向かう所が後半畳み掛けるようで良かったが,最後が少しあっけなく,物足りない感があった.

  • 誘拐された少女は無事、救出された。が、中央新聞社は「不明女児、遺体発見か」と、誤報した。誤報の責任で地方局へ飛ばされた記者、関口豪太郎は7年後、再び少女誘拐事件と向かい合う。

    7年前のトラウマを引きずりながら、関口ら新聞記者たちが事件解決へ到達する道のりはドラマチックだ。こうした現場を経て、彼らジャーナリストは「ジャーナル」を作り出し、その重みを父から子へ、先輩から後輩へ受け継いでいく。

  • 中央新聞社会部の関口豪太郎,藤瀬祐里,松本博史が7年前の連続女児誘拐殺人事件に絡んで誤報を出した.誘拐された少女は生存していた.また犯人は2人組だと断定した.7年後によく似た誘拐未遂事件が起こり,豪太郎以下地道な取材活動を展開する.社内での葛藤,警察当局との探り合い.松本は整理部に移動したが,的確な情報から事件の糸口は掴む.最終的には豪太郎の見込み通り最初の事件の片割れが今回の事件の主犯だったことが分かったが,その過程で豪太郎以下,警察官への巧みな取材で彼らの僅かな言葉から真相を突き止める信念は素晴らしいと感じた.記者クラブでの官製発表だけを記事にする輩が跋扈しているとの風評もよく耳にするが,このような記者が存在していて欲しいものだ.

  •  人が力を合わせる。ぶつかり合いながら。
     そういう熱さが好ましい。

     新聞社だけの話じゃない。
     自分たちの職場でも、そうだ。
     

  • ジャーナルとは何か?昔気質な新聞記者たちが7年前犯した失敗を繰り返さないため、そして社会正義としての新聞のためにスクープと真実を取材し記事にする物語。

    ストイックでハードボイルドな記者たちの姿。確かにカッチョ良くも見える。
    だけど、今って、電通社員の自殺があって、文春砲問題に代表される「需要があれば何を書いてもいいのか」って問題もあるんよね。

    そんなご時世に読むと、違和感を感じてしまわざるを得ない。警察官や検察官の自宅について回ったり、事件被害者や近隣住民の家に押しかける記者たちの姿も、この本では熱い記者たちの思いを表しているんだけど、現実は行き過ぎてないか?とも思うわけだし…。

    報道や言論の自由は守りたいと思う派だけど、最近のマスコミは下品かつ、はしたなく、辟易してたところにこの小説を読んで…うーん、新聞ってニュースってなんやねやろ?とちょっと考え込んでいる次第。

  • 新聞記者の仕事の様子が、七年前の事件の背景を追いながら描かれている。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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