涙香迷宮

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著者 : 竹本健治
  • 講談社 (2016年3月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199544

涙香迷宮の感想・レビュー・書評

  • 若き天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役にしたミステリー。
    シリーズものであることも知らず、それどころかこの著者の本を読むのも初めてなのですが、序盤から次々と繰り出される黒岩涙香に関する蘊蓄の数々に圧倒されました。
    そして、最大の見どころは中盤のいろは歌。
    48文字をかぶることなく使うだけでなく、「いろはにほへと…」のそれぞれの文字を先頭に据えたいろは歌がずらりと48首並んでいる様に鳥肌が立ちっぱなしでした。
    しかも、意味が通るだけでなく涙香の好んだ嗜好を織り交ぜているのです。
    さらにさらに、そこから派生する暗号まで作っているのだからものすごい…。
    著者の頭の中はいったいどうなっているんだ??

    暗号の行きつく先を知りたくて、ページをめくる手が止まりませんでした。
    蘊蓄を並びたてる感じも個人的に好きなので、同じ著者のほかの作品も読んでみたいと思います。

  • シリーズものだった。天才棋士が探偵役で殺されかける。
    C0093

  • たしかに、凄い小説である。黒岩涙香のいろは歌や連珠の知識を基に書かれたミステリーであるが反面この「歌」の部分を全て読み飛ばしても理解できる(実際そうした)。ということは犯人探し自体はたいしたことはないし、つまらない。

  • 暗号は全部解いてくれたけど、むむ、最後の謎がわからずじまいだ。

  •  まさに、絶句。

     すごい、の一言に尽きる。いや、ほんと、言葉が出てこない。暗号ものってあんまり読んだことないんだけど、日本ミステリ史に残る暗号ものだって言っても過言じゃないと思う。「暗号」ってのはこういうものをいうんだよ。
     黒岩涙香を主軸にした、いろは歌を使った暗号もの。涙香、名前は知ってたけど読んだことないんだよな。読みやすいものがあれば読んでみたい。
     いろは歌が全部で50首ほど出てくるんだけど、参考文献一覧がないから、これ全部竹本さん作ってことでいいんですよね? 48首出てきた時点でぞっとしたもん。
     涙香に関するうんちく(ってほどでもないけど)とか、いろは歌について、囲碁、連珠についての話が詰め込まれているので、合わない人には合わなさそうだなっていう感じ。ただまあどんな本でも、合わないひとはいるわな。それで、結局連珠ってどんなゲームよ。
     最初に一件殺人が起こって、半分以上過ぎたところでようやく二件目の殺人。その間も飽きさせずに読ませてくるもの。
     最後に出てきた「お宝」もね、すごい。ここも鳥肌立った。これだけで芸術の域にある。
     気になったのは、結局智久くんが犯人を疑ったその理由ってなんだったの? 名指ししたってことは見当がついてたってことで、その根拠はなんだったんだろう。書いてあった? 読み飛ばしただけかな。
     詰連珠が結局完成しているのか未完成なのか、分からないままっていうのもいいし、シチュエーション・パズルの答えを書いてないまま終わってるってのも好き。詰連珠については置いておくにしても、涙香と秋水のパズルについては考えれば解けるみたいだしね。ちょっと考えてみるわ。
     抜粋、出てきたいろは歌のなかで一番好きなの。


     聖域越えて 星の絶ゆ
     サロメ嘯け 寝間青に
     薔薇へもお寄り 知恵忘れ
     已んぬる哉と 首見つむ


     追記。
     パズルについて。
     涙香と秋水である必要はない。涙香が社長であることが分かっていればいい。ということは、雇用者Aと被雇用者Bという関係が大事なのでは? その「利益」を生むのにほかにも方法があった。匕首を首に突きつける必要はなかった。匕首という武器に意味はない、ということか。
     一つ思ったのは、首を切るまねをする、という行為が、「解雇する」という意味での「首を切る」を暗示してて、秋水の自主退職ではなく、会社都合の退職扱いになる、という意味かと思ったのね。そうすると、失業保険がすぐもらえるから利益にはなるって思った。けど、それだと金銭的な利益になるだろうし、そもそも涙香の時代に失業保険ってあったの? 涙香じゃなくて雇用者Aでもいいわけで、そうすると、時代によって変わってくる何かは出てこないんじゃないか。失業保険じゃなくても、自主退職よりは会社都合の退職のほうが良かったりしない? でも自分で辞めたのと、やめさせられたのであれば、前者の方が聞こえはいいのかな?
     あるいは、関係性が雇用者、被雇用者ではないのか。退職の話をしてるんだから、それに関係はしてると思うんだけど。
     その場にいたら、いくつか質問できるのに、もどかしいね。

  • 『このミステリーがすごい!2017』第1位。
    明治時代の小説家であり翻訳家、新聞社社主でもあった黒岩涙香。遊芸の達人・涙香の残した〝いろは歌〟には、暗号が秘められていた!? 超絶技巧の暗号に、若き天才囲碁棋士・牧場智久が挑戦する! 目眩がするほど難解な暗号解読ミステリー。

    すべての仮名を重複しないように使って作る〝いろは歌〟を50首? いや、もっとか。本当によくこんなこと考えたよなぁ...。
    キャラクターが爽やかなせいか、難しいパズル満載のわりにライトに読める。
    殺人事件は彩りとして添えられている程度。そのアンバランスさと、ひとつの分野から広がる蘊蓄の深さ。読後感としては『写楽殺人事件』に似ていました。

  • +++
    明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰!
    いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
    そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
    日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。
    +++

    囲碁の世界のことには全く疎いこともあり、序盤は、この先読み続けられるだろうかと危ぶんだが、中盤以降は、解かれていく謎への興味でページをめくる手が止まらなくなった。囲碁棋士・牧場智久が、たまたま遭遇した殺人事件と、黒岩涙香が残したいろは歌に込められた暗号の解読、さらに、大型台風で閉じ込められた涙香ゆかりの場で自身が命を狙われるという、緊張感が高まるシチュエーションが相まって、ドキドキハラハラさせられるが、いろは歌を解読が進むにつれて、殺人事件との関係も解き明かされてくるという仕掛けが絶妙である。数々並べられたいろは歌も見事で、それだけでも一冊の作品になりそうである。牧場智久の頭脳に感銘を受ける一冊である。

  • 半分、学術書を読んだ気分。珍しく暗号解読要素。登場人物がよくわからない。

  • ボリュームがあるので読んで面白くなかったらやだなー、と思いましたが面白かったです。

    いろは歌の謎解きがとにかく「すごい!」です。

    これだけのページを飽きさせることなく一気に読ませてしまうのは筆者の力を感じます。

    知らずに読んだけどこれシリーズ物とのことなので、他の作品も読んでみようかな。

  • 2016このミス1位というとこで、読んでみましたが、暗号の謎解きや涙香についての記述は、事件とは直接関係がなかった印象でした。

  • ジコマン過ぎじゃないかな。

    またまた途中で断念してしまった。

    モチーフが黒岩涙香という実在した人物なのだが、話の中で絶賛してる割に凄さが全く伝わらない。

    海外の小説を翻案(アイデアをいただく)した第一人者とか、五目並べを連珠というゲームに消化させた人みたいだが、そのウンチクが多すぎて話が進まない。

    殺人事件と囲碁名人の探偵小説にすればかなり面白そうなのに…
    勿体無いな〜

    やっぱり登録数の少ない本は駄目でした。

    あまりオススメしません。

  • 黒岩涙香の残した謎を解くミステリー小説。

    どう考えても、物語の導入となる殺人事件は添え物で、涙香のいろは歌の謎がメインですね。
    涙香というとヴィジュアルのイメージは大河ドラマ「春の波濤」の滝田栄で、史実的には「萬朝報」創刊者や翻訳者としか認識していませんでした。
    連珠や都都逸(俚謡正調)など、その博覧強記ぶりは平賀源内にも匹敵すると思います。
    ただ、いろは歌に関しては食傷気味になってしまいました。
    それにしても竹本さんの知識もすごいですね。

  • この作家さんの作品は初めて。
    このミステリーで国内1位だった作品だが、そうなの?って印象。いろは歌とか凄かったけど、囲碁とかよく分からないということもあってあまりのめり込めなかった。
    最後の問題がわからないままなのがモヤモヤ。

  • 2017年度「このミス」第1位

  • すごいなぁ、このいろは歌。
    いろは歌の謎解きを組み立てるだけでもどれだけ時間がかかったか…すごいなぁ。
    けど、最後の答えはなんだ、なんなんだ。

  • 「このミス」で第一位の評価だったが、私はそれほどでも…。いろは=パングラムの披歴には感嘆するしかないし、この暗号を解くのもミステリだといえばその通り、竹本健治の力量を否定する気は毛頭ない。ただ、すべてがいろはの暗号解読に収斂し、殺人事件の動機も解決もどうでもよくなった感がある。囲碁も興味ないし、牧場智彦に思い入れないし。

  • 種明かしが上手いミステリーではないけれど。
    暗号やいろはうた、ウミガメのスープなど興味深く読んだ。楽しんだというよりは暗号について指南してもらった気分。

  • 碁や将棋全くわからないのでやや取っつきにくい。暗号解きもおもしろいと思うけど、すっ飛ばしてしまった。よく考えたなぁと感心するけど物語に入り込めなかった。

  •  2017年版このミス第1位など、各種ランキングで上位にランクイン。竹本健治さんの作品は未読だったが、暗号ミステリの最高傑作との触れ込みに興味を持った。しかし、定価が税別2200円である。高えなあとぼやきつつ、レジに行く。

     結論から言うと、確かにすごい。すごいのは認めざるを得ない。執筆に要した多大な手間暇を考えれば、このくらいのお金は出すべきだろう。でも、やられたっ!というすごさではないんだよなあ。うまく言えないのだけど。

     竹本健治さんには、薀蓄系の人というイメージを持っていたが、そのイメージ通りの内容だった。タイトルにもなっている黒岩涙香とは、実在の人物である。簡単に言うと、本作は涙香が残した暗号の解読に挑む物語だ。涙香は、ジャーナリストであり作家であり、傑出した趣味人でもあったという。

     まず、序盤の連珠ネタが鬼門ではないだろうか。連珠の知識に基づく暗号解読は、ほんの序の口。謎解きに挑むのは、IQ208という天才囲碁棋士の牧場智久。最初から、読者が解くことは前提にしていないし、僕ごときの手に負えるわけもない。

     本番は、涙香の隠れ家に発掘調査に行ってから。あるルールに則った「歌」とだけ書いておくが、これが山ほど並んでいるのが、またまた鬼門だろう。一応字はなぞったけれど、ほぼ読み飛ばしに近い。読み飛ばしたところで、たぶん支障はない。

     この暗号を成立させるために、竹本さんは、これだけの数の「歌」を作ったわけである。すべて意味が通るように。理系人間としては、感嘆というより、ただただ圧倒されるのみ。本物の涙香も、草葉の陰でびっくりではないか。北村薫作品などもそうだが、文系基盤のミステリには、滅法弱いのを痛感した。

     それにしても、この作品に殺人事件は必要だったのか。正直、つけ足しでしかない。真犯人の心理は、わかるようなわからないような。僕だったら、次元が違いすぎて嫉妬など感じないだろう。テーマが「歌」なのか連珠なのか、ややぶれている印象も受ける。

     要するに五目並べと思っていたが、連珠とは奥が深いのね。読み終えて、暗号よりも、あの問題の解答の方が気になった。

  • このミス1位、本格ミステリ4位。ミステリーというより涙香の歴史、いろいろなこと(いろは歌、連珠など)のうんちく満載の小説。特にいろは歌については圧倒されるしかない。暗号解読についてはもう理解不能な領域。それと今回の殺人事件についてはあまり因果関係なく、そちらについては動機を含め今ひとつ。シリーズ物のようだが、前作を読んでみようか悩みどころ。

  • 難しかった!!暗号小説がこんなにも難しいなんて!私の頭ではついていけなかったので半分は読み飛ばした。推理の部分を読んでいても話は理解できる。ただし囲碁などチンプンカンプンなのでこの小説自体が持つ推理小説の醍醐味をほとんど味わえなかったのは残念だ。ただし探偵役の牧場君は魅力的なので実写したら面白いドラマになると思う。しかし、こんなにも暗号やいろは歌、連珠などに精通している作者はどんな頭脳の持ち主なのだろう?天才の描く推理小説を読むことができていい経験にはなった。

  • 囲碁の対局中に起きた殺人事件の謎と黒岩涙香が遺したいろは歌の暗号にIQ208の天才囲碁棋士・牧場智久が挑みます。
    四十八首のいろは歌の作り込みとその解読方法の案出は凄いとしか言いようがないですし、他にも囲碁に関する知識や黒岩涙香における研究についても盛り込まれており、筆者の博学ぶりに圧倒されます。
    しかし、殺人事件の方はおざなり気味で、作品全体の印象を悪くしてしまっているのが残念です。

  • 暗号ミステリとしてこの上ない完成度。
    巧みな設定・場面づくりに思わず引き込まれる。
    こんなに美しい暗号は初めて見た。
    じっくり読み返したくなる一冊。

  • またしても!!
    お気に入りの本が年明け早々できた!というのが素直な感想。もちろん、囲碁の世界のことは皆目わからないし、ミステリーのお膳立て自体新しいということもないのにどうしてこう心浮き立たせられたのか・・・。
    『いろはうた』の見事さに心酔。
    子供のころから韻文系の読書をしてきていたことを思い出して全部、音読して謎や込められた意味やミステリーのことはさておいてそこの部分だけでも今年一番(早!!)と感じ入りました。

    偶然、クローズドサークル的なミステリーを3本立て続けに読んでしまった

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