あの日

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062200127

感想・レビュー・書評

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  •  メディアはこの本について良いようには報じていないが、それも当然。メディアバッシングが多々見られる。それをいいように報じるはずがない。
     いままで、理研側の一方的な報道ばかりだったので、ほかの側面から情報が得られたのは良かった。

    研究者は雇われの身だし、(特に日本では)叩かれた人の再雇用が難しい世の中。雇用する側もされる側も。しかも、研究者の発言する機会が与えられない。発現しても、言い訳だとぶった切るのみ。そんな中、研究者個人のみを叩くのは何とも卑劣な…。

    【起】第1-3章
     まずは、小保方氏は研究者以前に、学部生としての心構えが甘かったと感じた。ただ、周りの先生など、研究環境には恵まれていたようですし、素質はあったように思った。そのおかげで、博士号取得できた(取り消されちゃったけど)のだと思う。博士号取得は、本人の努力は当然だが、指導教員や研究分野、研究環境にも大きく左右される。そういう意味では恵まれた環境だったのでしょう。

    【承】第4-7章
     読む限り、ほぼ独力で博士論文を作成しているようだ。もっと指導教官や周りの人に指導を仰ぎながら、論文の書き方を勉強すれば、早稲田大学などの学位取り消しも難しくさせることができたのではないだろうか。小保方氏本人でも認めているミスもある。研究そのものだけではなく、学会発表や論文作成についても、学生のうちにたくさん勉強しておけば、良かったのにと思う。小保方氏の周りに先輩たちもいただろうに、先輩たちを見て考えてこなかったのだろうか。もったいない。

    【展】第8-11章
     山中さんも言っていたが、博士卒なんてまだ研究者の卵。そんな中、小保方氏に対し成功へのレール(実際は理研自身のためのだけど)が敷かれ始め、彼女自身も周りも戻れなくなってきた。
     自分も理研が隣接する大学院で理研で研究する学生を見ていたが、彼らは大人の組織の中で背伸びして、研究しているように感じた。それらを見てきて学生のうちぐらい、もっと純粋な気持ちで研究したほうがいいように感じた。研究発表や会話を聞いていて、見栄っ張りとまではいかないが、自信過剰なように感じた。そうでもしないと押しつぶされるような環境なのだろうと感じていた。組織が大きくなると、そうでもしないともたないのだろうか。
     そして、メディアの言わないというウソ。メディアはSTAP細胞はなかったことになってほしかったのだろうか。結局理研は収集を付ける事を目的に、対処してしまった。小保方氏も言っているが、科学は、監視しようがしまいが結果は嘘をつかない。監視カメラなんてナンセンス。メディアへの口実に過ぎない。

    【結】第12-15章
     ここでは、ドロドロの研究業界が垣間見られる。また、小保方氏は少なくとも純粋に探求心から研究していたことは伺えた。
     STAP細胞の研究は結局打ち切りになってしまった。小保方氏たちが発見した細胞がSTAP細胞じゃなかったとしても、研究を進めていけば、同じような細胞の発見に至る可能性はあったのではないだろうか。打ち切りに至らしめたメディアは国益を損なった。噂ではアメリカのバカンティ教授がSTAP細胞の研究を続けている。STAP細胞はiPS細胞同様、多能性(万能性は間違い)細胞である。それが日本で成功させた場合の事を考えたことはあったのだろうか。STAP細胞は完全にアメリカに取られたも当然。メディアが科学研究の足を引っ張ってしまった。

    科学の進歩にメディアなんかが、ブレーキをかけないでほしい。小保方氏を取り上げ始めたころから、本質を見失って、”リケジョ”だの”割烹着”が注目されていた。果たして、STAP細胞を理解していたものはどれくらいいたのだろうか。未だ”万能細胞”を使っている時点で、勉強不足だ。ES細胞、iPS細胞、STAP細胞すべてを”万能細胞”を称する。ES細胞が万能細胞だったら、iPSもSTAPもいらない。

  • 読み終わったけど、読んでしまったことを後悔しています。こんなにガンバったのにヒドイメにあったワタシってかわいそう、という内容でした。

  • 自己愛に満ち溢れた内容で…oh...となりました
    そして流石、自己憐憫よろしく関係者への無言の反論…(無言じゃねーか)
    専門用語ばかりで一般人には全くもって【?????】の内容
    少しばかり研究やレポート、論文等見てきたものでも【??????】な、内容
    一体誰得の本でしょうか
    一体何の為の自伝でしょうか

    死んでしまいたい、というような
    逃げ出したい、というような描写が冒頭にありますが
    笹井氏と奥様のことを考えると、やりきれないというか無神経且つ自己愛と
    自己憐憫の塊であってそれを主張しているだけの関係者向け出版物だな、と
    憤りすら覚えます
    平積みでシュリンクされた本がざぁっと並んでいましたが数週間も経たぬうちにシュリンクを解かれて乱雑にワゴン売りされてました

    真相さっぱり不明ですね、広い意味で

  • この本を読むまでは、どうせ弁解に終始した本なんだろなと思って半ば、野次馬的に手にとって読んだのが正直なところ。
    とにかくこの騒動になるまではまさに順風満帆でハーバード大にも研究生として留学し、若山教授にも今まで教えた中で一番優秀とまで言われ輝かしい科学者になる道筋だったのに。
    著者も言ってるようにどの時点で道を誤ったのだろう…

    小保方氏はこの本を書くことによって少しは若山氏に矢をはなったことに溜飲が下がったのだろうか。
    笹井氏のこと。お隠れになったとあった。
    でも間違いなくこの出会いがなければ、笹井氏は自殺することはなかったであろう。
    この事実の重さ。
    マスコミからの容赦ない攻撃、早稲田大からの博士号の剥奪…。
    ほんとに常人では耐えられないほどの辛苦を味わっていると思う。
    ”身からでた錆”といってしまえばそれまでだけど、この本を読んだらやはり、同情的になってしまうのである。

  • 得られたものはなにもなかった。

  • 読了。まぁ、小保方さんサイドの一冊。フィクションだったら最高に面白いけど。

  • STAP細胞の一連の騒動の渦中にあった人の手記。これがあったのかどうかとか、誰が悪いとか、そういう判断は私は出来ないし、報道の内容も真実かどうかは話半分程度にしか読んでいない。正直そういうところに興味はありません。ただ、一研究者が晒しものにされてその道を閉ざされたであろうことを今どのように思っているのか知りたくて読んでみました。
    前半と後半のギャップの差がすごい。前半は大学、大学院、渡米、日本の研究所での活動。実験実験の日々の中で細胞のある挙動に興味を持ち、それが他の研究者の関心ごとと一致し、あれよあれよと周りにはすばらしい研究者や実験設備が整っていきます。すごく楽しい日々を過ごしていたことが伝わってきます。この感覚は研究内容もレベルも全然違いますが、私もとてもよく分かります。
    後半はものすごく切なくなってしまいます。報道の過熱から時の人に本人が望まなくてもなってしまい、それから不備が指摘されてから、今まで優しく協力的だった人が急に手のひらを返したように保身に走る様子がまざまざと描かれています。報道として面白く、ストーリーにあうように都合のいい部分だけが報道され、強引な取材や個人情報の流出、内部情報のリークなど、次々と嫌なことが著者の身の回りに起こります。共同研究ならではの怖さが感じられました。一緒に研究しているのに、どんなマウスを渡されたのか分からない、教えてもくれなかった、しかし理系の共同研究はトップダウン式なので上の人の指示を聞くしかないような雰囲気。それでいて一人だけが悪いようにされたことへの行き場のない悲しみがよく伝わる内容でした。特に報道の仕方には納得がいっていないようで、実名や番組名が出てくるところがあります。
    研究がただ好きで、国内でトップレベルの研究者に教えていただけるという環境も手にしながら、最後は博士号剥奪、そして研究者の道が閉ざされてしまったと自分で書いているところは、読んでいてツライところがありました。本が書けるくらいにまでは体調が戻ったのかなと思いましたが、ストレスで受けたダメージは相当のようで、これからどうしていきたいのかといった希望的な心境は書かれていません。もう少し時間がかかるのかもしれません。

  • STAP細胞にまつわる一連の騒動の中心となった小保方晴子さんの手記。

    STAP細胞に関しては、未だに不透明ですっきりせず、実際のところあるのかないのか、様々な分野の利権に絡むことから、都市伝説的な憶測が飛び交っている。

    本書では、多くの人の役に立つ研究をすることを夢見ていた小保方さんが、早稲田大学時代、東京女子医科大学時代、ハーバード大学時代、理化学研究所時代からSTAP細胞の発表、論文の撤回と研究者として歩んできた人生に沿って書かれている。

    率直な感想は、研究者になることを夢見て、研究が大好きで、研究者としての成長に一生懸命ぢった小保方さんが、かわいそうという言葉では表現できないほど悲惨で、どこで道を踏み外してしまったのか、なぜ彼女がこんな酷い目に合わないといけないのか、憤りを感じる内容だった。

    あくまでも小保方さんから見た今回の騒動、小保方さんの主張する真実にしかすぎないとしても、STAP細胞の発表当初から、今までの研究者には見かけない若い女性であることや、研究室に貼られたシール、割烹着姿での研究など、研究成果とは別次元の報道ばかりを先行させ、論文のミスや写真の使い回しが発覚すると、手のひらを返して、まるで魔女狩りをするかのように個人を追い詰める報道、雑誌記者等のマスコミの取材の名を借りた誹謗中傷やいじめは、酷すぎて涙が出そうになった。

    特に本書にも実名を挙げられていたNHKと毎日放送の記者は、自らが考える善悪に沿う形で記事を書き上げるためには、相手の精神的な苦痛や自由、常識や日常生活すら当然に奪ってもいいものとして取材している姿が目に浮かんだ。

    また、STAP細胞の研究は、なにも小保方さんだけが行っていたわけではなく、現在は山梨大学の若山教授の指導のもと行われていた研究で、実験に使用されるマウスの提供や、特定の手技(専門的なことでわからないが)は小保方さんにはできない手技で、その若山教授にしかできず、小保方さんは実験風景も見せてもらえることはなかったそうだ。しかも、見せなかった理由は、小保方さんに手技を教えると自分のところから離れていってしまうからという身勝手なもの。疑惑報道が始まってから、取材陣に情報をリークしたり、調査委員会とも繋がっていて小保方さんに責任を擦り付けるような情報を提供していたのも若山教授という確証があるようだった。

    読み終えてからもなお、STAP細胞に関しては、本当のところはどうなんだという思いを払拭することはできなかったが、研究者どおしの嫉妬や、自らの保身しか考えない組織、一方的な報道に左右された世論に先導される大学、一旦悪者と決めるとそれしか見えなくなる人間の愚かさ、標的となった一人の人間を執拗に攻撃し、都合のいいように情報を切り貼りして報道するマスコミなど、ドロドロでヘドがでるような世界を垣間見ることができた。

    個人的には、小保方さんやSTAP細胞の存在を信じたい気持ちが大きくなる本だった。

    最後に、小保方さんをはじめ、STAP細胞の研究に携わった、健全で一生懸命であった研究者にエールを送るとともに、自ら命を絶ってしまったとされている笹山教授のご冥福をお祈りします。

  • 2016/02/05-02/11
    ①泥舟にこれほどまで泥を塗るのはなぜかと考えてしまう。恥の上塗り。
    ②男性に対する女性の業の深さを感じる。自分をステージに立たせた後、引きずり降ろされた恨み辛みをこれでもかとてんこもりされている。
    ③近年稀に見る"怨みの書"

  • 彼女の言い分が絶対に違うとは言い切れない。
    理論は破綻していないので、これだけ読んでも真実はまだわからない。

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著者プロフィール

千葉県生まれ。早稲田大学、同大学大学院、東京女子医科大学先端生命科学研究所、ハーバード大学医学大学院、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)で研究に従事。2014年12月、理化学研究所を退職。著書に『あの日』がある。

「2018年 『小保方晴子日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小保方晴子の作品

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