あの日

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062200127

作品紹介・あらすじ

真実を歪めたのは誰だ? STAP騒動の真相、生命科学界の内幕、業火に焼かれる人間の内面を綴った衝撃の手記。

感想・レビュー・書評

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  • 一時世間を揺るがした
    事件も、忘却の彼方に
    消え去ろうとしている。

    事件そのものを知らぬ
    若者も増えてるだろう。

    仕組まれた出来レース。

    マスコミを避けようと
    すれば逃げたと言われ、

    向き合えば揚足をとり
    人権などおかまいなく
    糾弾される。

    反論しても世論に扇動
    されて事実が捻じ曲げ
    られ、

    頷けば不正を認めたと
    見做される。

    公に完璧を求める風潮。
    不道徳への過度な責苦。

    そしてなにより多勢を
    盲信する愚かしさ。

    本来是正すべき不正義
    は見て見ぬふりのまま、

    典型的な弱虫よろしく
    すでに弱りきっている
    人に容赦なく牙を剥く。

    しかも匿名で・・・・・・

    膝をついている背中に
    物陰から石礫を投げて
    憂さを晴らしてる人は、

    その醜い己の姿を自覚
    しているのだろうか。

    獲物を見つけた群衆が
    いかに残酷になるもの
    か。

    著者の前途が穏やかで
    あることを祈願します。

  • この方の最初のニュースの時
    おーーすごいねぇ~~
    最近は 綺麗な人も 科学者になるんだぁ~
    なんて 思っていたら 
    捏造?!
    ニュース見ていて 憤りを感じました。
    自分も卒論を書いたので 論文というのは
    一人では書けないというのに 
    彼女だけ バッシングされていて 不思議でした。

    だから どうして こういう経緯になったのか 解明できるのかな?
    と 思って期待して読みました。

    しかし、、必要なんだろうけど
    最初の方は 科学のお話。彼女の研究内容や 
    どんな風に 他の先生と関わってきたのかという事が書かれていました。
    科学の内容は 読んだというより 見たという 感じです。

    この本は 彼女の方からの 話なので
    反対の話も読まなくては 捏造うんぬんに 関しては なんとも言えませんが
    取材している人達の行動は ひどすぎますね。。。
    他の本でも そうでしたけど
    取材に対して きちんと対応しているのに
    ある 部分だけ 切り取って 情報や 映像を出して
    (メディアなどが)悪者と決めたら徹底的に その線の情報しか出さない。
    できれば メディアの感情を入れないで 
    中立に情報を 公開して欲しいと思いました。

    • コルベットさん
      scentさん、おはようございます。私も、取材と報道の在り方が酷いとあらためて感じました。週刊誌はともかく、テレビや雑誌は、自分たちの影響力...
      scentさん、おはようございます。私も、取材と報道の在り方が酷いとあらためて感じました。週刊誌はともかく、テレビや雑誌は、自分たちの影響力の大きさや社会的な責任をもっと自覚して、感情を入れない中立な情報公開を心掛けてほしいと思います。
      2023/12/28
  •  ざっと読んだのでメモ程度に。
     発売前、宣伝なのか同じ出版社系列のWebサイトにこの本を紹介する記事があったので読んでみた。その文体は現実離れした、小説のような雰囲気を醸し出していた。私が求めていたものとは違うと思い、買う気がなかった。しかし怖いもの見たさか読んでみることにした。
     ざっと読んでみると、私の予想は一部外れていた。各章の頭に、小説っぽい文が取って付けたかのようにちりばめられていたが、全体の内容は淡々と読み進められた。少なくとも小保方さんが語った内容をベースにしているとは思った。
     その中でも気になったのが、実験の過程で小保方さん本人はおかしいと気付いていたが周りの声に流されて進んでしまったことと、アカデミアの権威たちの手のひらの上で転がされて進んでいったことの2点である。前者は自分の意識を高く、後者は低く見積もっている。つまり、矛盾しているのである。論文の報道会見から弁護士を伴った会見まで小保方さんを見てきたが、後者の想像は容易にできても、前者の想像は全くできなかった。本人はその意識がおそらくないだろうが、上司(の中でも特に男性)の心をつかむのがとてもうまいというのは、本を読んでみても窺える。とはいえ、そうふるまいつつも、「私は気付いていました!」というのは、“いいとこどり”すぎるのでは。
     私個人の意見としては、こういう本が出版されることは腹立たしいことだと思う。しかし同時に、「確実に売れる」と思ってもいた。だから、あの『絶歌』を売り出した太田出版のような出版社ならやりかねないと思った(ブックカバーのデザインがそれを彷彿とさせることも含めて)。週刊現代などの媒体を持っているとはいっても、まさかあの講談社が出版してくるとは思わなかった。それがこの本で最も衝撃を受けたことだ。

  • 本が出版されると知った時、出版社に利用されてるようで、もうこれ以上バッシングを受けるようなことはしないほうがいいと思った。
    でも、本書を読んで考えが変わった。
    彼女にとっては書かずにいられない、真相を知ってもらいたい、絶対に記しておきたかったのだろう。

    前半は、生命科学・実験内容が主で、正直なところよくわかず読みとばしたところもある。
    後半は、時系列でどうしてこうなってしまったのかが、わかるように書かれている。
    研究者、情報リーク、理化学研究所のこと、中でもマスコミのやり方の酷さが際立っていた。
    真相は彼女の視点なので何ともいえないが、一人の女性をここまで追い込む「魔女狩り」はあってはならないと思う。
    (電子書籍 honto)

  • 2016.2.14.最初、この本が出版された時、何を馬鹿な…と思い、以前出版され物議をかもした少年Aの『絶歌』と同じ位置付けをしていた。でも、読んだ方々の印象を聞き「少なくとも言えるのは、うまくいっているときには祭り上げていた大人たちが、事が起こるとさあ〜!っと引いていったことがわかる本だ」という感想を聞き、とりあえずよんでみようと思った。読んでみて、なるほどのお(涙)〜と思った。ずっと不思議だったことが、詳しく書かれた手記によって紐解かれたように思った。一番、印象的だったのは世間にとっては小保方さんのネイチャー発表に関わる一連の出来事が最終的なことであったにもかかわらず小保方さんにとっては出発点であったことだ。一連の騒動において、命を絶たれる最後まで笹井さんが小保方さん側に立たれていたことが不思議でたまらず、小保方さん自身あんなことがあっても自らの主張を変えないことも不思議でたまらなかったが、なるほどこういうことだったのか…と深く納得した。私は、須田桃子記者のドキュメントも読んだが到底今回の騒動を納得できなかった。それがこの本を読むことでようやく解決でき、すっきりした。小保方さんが研究者として未熟であったことは疑うべくもない。しかし、本人はそれを認めており、だからこそスタップ細胞は彼女にとって始まりだったのだ。到底、ある特定の人物に責任転嫁する内容には思えなかった。うまく立ち回った人が確実にいることが大変、よくわかった。
    卒論など、~論という物を書いた事がある人だったら納得できると思う。~論を何か新発見のために書く人ってどれだけいるだろう。大多数の人は、学位、修士号、博士号を取るために書くのである。私が学生の時はパソコン自体がなかった(笑)のでコピペはできなかったが、資料丸写しの中でいかに自分の独自性を入れるかということに非常に苦労した思い出がある。博士号となればもう少し高度ではあろうが、おそらく(小保方さん以後のそれまでの他の偉い教授の論文にまつわる不祥事を見るに)コピペはある程度当たり前のものと黙認されていたのではないか。1%に満たない天才の方々以外!の学生による論文は、あくまでその先の席を得る手段として読み捨てられ、スルーされてしまっているのは間違いないと思う。割合に関しては、もちろん正確な数字はわからないが。
    この本を読む限り、小保方さんにとってスタップ細胞はあくまで理研に職を得る手段であったのだろう。論文を書きながらもおそらく小保方さんは世紀の大発見…とまでは思っていなかったと思う。しかし、それを自らの終着点としたい上司がいた(笹井さんではない)。功を焦った上司、自らを客観視できず、舞い上がってしまった研究者によってもたらされた悲劇といえるだろうなあと、この謎を自分なりに解読できたように思った。
    今は失笑と共に何度となく取り上げられる「スタップ細胞はあります!」という小保方さんの言葉と「それでも地球は回っている」という言葉が頭の中でオーバーラップする。

  • 何より凄いな〜と素直に思うのが、
    小保方氏の愛され力。
    大学院にしても、アメリカにしても、
    理研にしても、
    とにかくなんだかうまくいってるとこは
    感心した。どんな手段とってたとしても凄い。
    スタップに関しては確かに彼女一人に
    全てを押し付けたあの状況は異常だった。
    研究について知らなかった頃は
    なんだこいつ、としか思わなかったけど
    研究者と触れ合うようになった今読むと
    彼女の主張にも聞くべき点はある。
    そもそもポスドク時代の論文の責任著者が
    筆頭著者の肩を持たずに自己保身に走ったのは
    いろんな意味でひどい。
    また、そんな研究者は確かにいると言えるし。
    もちろん小保方氏もひどい。
    そもそも大学院行く時も適当だし、
    その後のもろもろ突っ込まれた多種のミスは
    完全にアホのすること。
    ただそんなもろもろを越える何かが彼女にあったのに、
    どうもこれまた怪しい別研究者の裏切りによって燃え盛った
    バッシングの異常な盛り上がりが
    彼女の未来を閉ざしてしまったのはもったいなかったんじゃないかな。
    元気になったら外国でまた博士とりなおせばいいと思うけどな〜
    森達也の本読んで思ったけど
    メディアの印象操作と、
    それに踊らされて一斉に正義を語って攻撃する庶民、
    変な世の中だよな。

  • 読み物としては、どうかと思いますが。これを読んでいて芥川龍之介の「藪の中」を思い出しました。結局、STAP細胞騒動はなんだったのかは、50年過ぎて歴史を振り返ってみたときしか解らないんでしょうね・

  • 真実は神のみぞ知るところ。
    「この人、かわいそうだな。」という感想が最初に思い浮かんだ。

    文章が上手く読みやすく、なおかつ、論文を読むかのような客観性をあえて保とうとしている節が感じられる。

    この事件の容疑者というか黒幕を暗に示している点は興味深い。



    自分もメディアの言っていることを真に受けてしまった
    人の一人だと感じた。

  • 小説よりも小説的、一方でリアリズムに満ちた作品だった。この読後感は、10年以上前に読んだアンネの日記に似ている。
    現実に起こったことなのに、小説よりも奇異で無惨で情けなく、不条理にすべてを奪い去り、見返りもなく終わる。悪い者は明らかにされず、ただ不条理な結末を受け入れるしかない。序盤には楽しい日常の日々や将来の希望が語られ、自分の関与できないところで大人や組織の思惑や私欲がうごめき巻き込まれ、耐え忍んだ上にようやく浮上できそうな希望が見えたところで徹底的に叩き落とされる。その様子や経緯が重なってくる。
    私は専ら小説が好きだった。大人になってから心動かされる小説に出会えることがほとんどなくなっていた。図らずもここまで心を動かされる作品が小説でなかったことに、衝撃を受けている。
    現実は小説よりも奇であり、それは体感するまで本当の意味で分かることはないのだと知った。

  • 過剰報道に影響されず、フラットな気持ちで読みたかった本。図書館で目にしたので、今なら読めるなと思った。
    読んでいて辛い。

    研究は問題がなくても微妙なパワーバランスで成り立っている世界だから、綻び始めたら最後、止められなかったんだろう。

    厳しい局面が続く中で、彼女を支え続けた周囲の人々のように自分は行動できるだろうか。
    真実を求めることと、感情と、仁義と、信じることと。
    それらを混同せず、どれかひとつに飲み込まれることもなく粛々と行動していく強さを、周囲の人から感じた。



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著者プロフィール

千葉県生まれ。早稲田大学、同大学大学院、東京女子医科大学先端生命科学研究所、ハーバード大学医学大学院、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)で研究に従事。2014年12月、理化学研究所を退職。著書に『あの日』がある。

「2018年 『小保方晴子日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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