住友銀行秘史

著者 :
  • 講談社
3.16
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062201308

作品紹介・あらすじ

大蔵省とマスコミに「内部告発状」を送ったのは私だ。
実力会長を退陣に追い込み、上層部を動かし、
わが住友銀行は生き延びた。
そのなかで、行内の人間関係が露になり、
誰が本物のバンカーなのかもわかってきた。
いま明らかになる「イトマン事件」の真実、闇社会の勢力との闘い、銀行内の激しい人事抗争ーー。
四半世紀の時を経て、すべてを綴った手帳を初公開する。

感想・レビュー・書評

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  • バブル絶頂期にまきおこった、住友銀行とイトマンを巡る事件に関する詳細が記されている。

    著者は元住友銀行の元取締役であり、組織内部から状況を伺い、逐一をメモとして残した。住友銀行という組織を護るただ一心に、陰に陽に行動し事件のおとしどころを探っていく姿は、感銘しかない。

    巨大組織の中とはいえ、実は組織の大小は問わず、実に人間臭いところで組織が動かされていくことが、手に取るように分かり非常に面白い。

    勤め人なら読んでおいて損はない、一冊だ。

  • 2023/12/29

  •  
    ── 國重 惇史《住友銀行秘史 2016106 講談社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4062201305
     
     Kunishige, Atsushi 19451223 山口 東京 20230404 77 /
    /楽天証券社長、同社会長、楽天銀行社長、同社会長、楽天副会長
     
     “最後のバンカー”ベストセラーの著書より面白い、著者の波乱の
    人生の知られざる最期「前妻愛人乱脈秘史」ダブル不倫・離婚訴訟・
    完治不能の難病… 20230406 デイリー新潮
     
    【写真】闘病中の國重 惇史氏(2008)と亡くなった直後の霊安室。
     
    https://news.yahoo.co.jp/articles/caca5edaa286452bf7ca4712f0cbc46118609d7a
     
    “伝説のMOF担”と呼ばれた住友銀行(現・三井住友銀行)元取締役、
    楽天副会長。“エリートバンカー”とは思えぬ、その破天荒な生きざま
    については『週刊新潮』でもかつて詳報したが、その最期は突然訪れた。
     
     東大経済学部を卒業後、住友銀行に入行。行内でも精鋭の集うMOF
    (旧大蔵省)担当を長く務め、“3000億円が消えた”とされる戦後最大
    の経済事件「イトマン事件」の際には、住友銀行とイトマン間の不透明
    なカネの流れを内部告発。「住友銀行を救った英雄」とも評された。
     
    “清濁併せ飲む”スタイルで辣腕を発揮し、住友系の証券会社社長を務
    め、楽天の同社買収を機に三木谷 浩史会長兼社長に請われて副社長に
    就任。同社の金融ビジネスを取仕切るなど“三木谷氏の右腕”として活
    躍した(全国紙経済部記者)。
     
     楽天の副会長にまで上り詰めたが、2014年に同社を辞し、教育関連の
    ベンチャー企業の取締役会長に就任。『週刊新潮』に登場したのはその
    当時、妻と2人の娘がいたが、人妻とダブル不倫に陥り、不倫相手に対
    する「DV」や「妊娠・流産」の疑惑を告発する内容だった。
     
     取材に対して「不倫っていうのは人によって定義が違うからね。僕が
    裸で(妻以外の)女性と抱き合っていたからって、それがどうしたのっ
    て話じゃない」と独特の倫理観を披露して記者を驚かせた。
     
     このスキャンダルを機に妻と離婚し、家族と暮らしていた都内の高級
    マンションも出ることになった。元妻から離婚訴訟を起こされ、多額の
    慰謝料の支払い義務まで負うことになったが、前後してベンチャー企業
    の会長職も退くことに。
     
    「以降はワンルームマンションで暮らし、夜食は吉野家の牛丼といった
    生活を送っていました。けれど悲壮感は一切なく、不思議と楽しそうだ
    ったのが國重さんらしかった」(知人の一人)
     
     数年前から歩行や会話が困難になる「進行性核上性麻痺」という完治
    の見込みが薄い難病に罹り、車椅子での生活を送るようになった。昨年
    からは食事も流動食が多くなり、目に見えて体重も減っていったという。
     
    「突然、容体が急変したそうです。ただし息を引き取る際は穏やかな様
    子だったと聞いており、波乱に満ちた人生でしたが、その幕引きは静か
    なものだったようです」
     
     生前みずから“ラストバンカー”と名乗っていた銀行マンが“得意の
    絶頂”にあった時代を知る「最後のバンカー」だったことは間違いない。
     デイリー新潮編集部
     
    (20230407)
     

  • 世間を騒がした、イトマン事件(主演 磯田一郎、助演 河村良彦 他)についての、当事者(私がマスコミに色々リークをした男です)による手記のようです。自分が見た世界なので、やや偏りがあると思いますが、それにしても生々しい、こういう議論が信用を大切にする銀行の中で行われていたのか(ある意味、小説 半沢直樹 の世界を超えてますね)という意味でも凄い本、★二つです。

  • ちょっと銀行の方でないとわからないような用語があったり、断片的なメモが続いていくスタイルなのであらすじがつかめなかったり、読むのに少し苦労した。イトマン事件についてあらかじめ概要を知っておいてから読んだ方が楽しめたかなと思う。
    著者の正義感とかポリシーとかの良し悪しは置いておいて、大銀行相手に怪文書を使って撹乱したり、裏工作をしたりと、かなり充実した体験をされた方だなと思った。
    あとは、どちらかと言うと悪役が魅力的だった。保身に走る銀行役員らより欲望のままに行動していく伊藤氏などの方が惹かれるものがあった

  • 学生時代、官庁訪問でいつくかの地検にいったときに、パンフレットや広報映像で代表的な経済事件として取り上げられていたのが、このイトマン事件でした。自分にとってはもの心つくかつかないかの「過去の話」だったわけで、現実感はあまりなかったのですが、それでも、検察が戦った「巨悪」、「社会の闇」の象徴として紹介されていたのが印象に残りました。
    さて、本書、さながらリアル半沢直樹の銀行内の権闘争が描かれるわけですが、件の主人公がときに自ら不正に加担したり、明らかに違法な「危ない橋」を渡るのに対して、本主人公は、怪文書「Letter」をだしたり、社長解任を主導したりと暗躍はするものの、一貫して自分の身はきれいで、不正をやっつけた正義漢のスタンスは変わりません。あまりに身ぎれいすぎて、むしろ本書に書かれていない(書けない)部分に何かあるんじゃあるまいかという想像が膨らみます。
    刑事事件として終わったものの、解明されない謎やカネの動きも多く、非常に興味深い事件だなと思いました。

  • メモがオーバーラップして読みにくいし、なんかコイツ好きになれん こんなんと一緒に仕事したくない

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688387

  • 当時の住銀中堅社員の目線から見たイトマン事件の記録。
    あくまでも当時の著者の立場から事件を振り返ったもの。

    ●危機を察知してからも行内は保身や派閥争いで動きが鈍い。そうこうするうちにイトマンの借金は劇的に膨れ上がる。銀行の危機察知から詐欺師たちの巻き返し、住銀のカネをしゃぶれるだけしゃぶり尽くそうとする詐欺師たち、それに操られる会長、幹部、イトマン、、。
    ●行内政治、イトマンでの多数派工作、社長の追い落とし、、財界の大物でもある磯田会長を篭絡していた詐欺師、会長や役員に直電する詐欺師、、これ恐ろしいのは事件の全貌はいまだに明らかになっていないということ。今後も明らかにはならない。数千億円が闇に消えた。
    ●謎は30年たっても謎のほぼ謎のまま。伊藤寿栄光とは何者なのか。そもそも不動産でイトマンの取引相手、それが役員クラスでスカウトされて社長と二人三脚で不動産投資に邁進する。さらにするするっと住銀の会長と昵懇の仲になり、住銀役員に電話で指示したりもする。イトマン社長の嫁が当たり前に5000万円受け取ったとか、イトマン社長は会社のために頑張っていたのか私欲が絡んでいたのか、その辺も謎。磯田会長の娘が勤務する会社での絵画取引、ここに許永中が絡むがここらも謎が多い。登場人物が何を考えてそんなことをしていたのか??というのはわからない。イトマン処理反対派の役員らもどこまでのことを知ってそうしていたかはわからない。磯田会長もどこまで何を知っていたのか知らなかったのかわからない。そういう積み重ねがイトマン事件であるバブルであったというところだろうか。

    ・磯田会長は戦前生まれのバリバリエリート。
    ・70歳すぎても住友銀行に君臨、アンタッチャブルな存在に。
    ・一人娘を通じて詐欺師が侵食。
    ・磯田会長派の役員は磯田の子飼い。高卒を磯田が引き上げた。
    ・イトマン社長も磯田の子飼い。高卒を磯田が引き上げた。
    ・イトマンには住銀が首都圏進出やら初期の不良債権処理を押しつけた貸しがあった。
    ・著者は中堅幹部候補として事件を知って処理する方向へもってこうと悪戦苦闘。
    ・著者の上司が当時は役員だった西川善文。のちに頭取として君臨。
    ・著者が住銀辞めたあとに楽天副会長やらになるのは全て西川の後ろ盾によるもの。
    ・そういえば東芝もとある社長が傍流の子飼いを自分の出世に帯同させて引き上げて社長にまでして原発で失敗してグループ解体へまっしぐら中なので似てる構造。
    ・エリートたちの世界はコネ、同期、兄弟分、子飼いなどの関係性でつくられている。案外に狭い世界。そこに地べたにいた詐欺師が入り込んだことで起きたのがイトマン事件などなどバブル期の事件。

  • 金に汚い人たちは醜い。

    払ってもいい金額:200円

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著者プロフィール

國重惇史(くにしげ・あつし)
1945年、山口県生まれ。68年、東京大学経済学部を卒業。同年、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。渋谷東口支店長、業務渉外部部付部長、本店営業第一部長、丸の内支店長を歴任。94年に同期トップで取締役就任。日本橋支店長、本店支配人東京駐在を経て、97年、住友キャピタル証券副社長。銀行員時代はMOF担を10年務めた。
その後、99年にDLJディレクトSFG証券社長になり、同社を楽天が買収したことから、2005年に楽天副社長に。楽天証券会長、イーバンク銀行(現楽天銀行)社長、同行会長を経て、14年に楽天副会長就任。同年、辞任。現在はリミックスポイント会長兼社長。

「2016年 『住友銀行秘史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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