- Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062201308
作品紹介・あらすじ
大蔵省とマスコミに「内部告発状」を送ったのは私だ。
実力会長を退陣に追い込み、上層部を動かし、
わが住友銀行は生き延びた。
そのなかで、行内の人間関係が露になり、
誰が本物のバンカーなのかもわかってきた。
いま明らかになる「イトマン事件」の真実、闇社会の勢力との闘い、銀行内の激しい人事抗争ーー。
四半世紀の時を経て、すべてを綴った手帳を初公開する。
感想・レビュー・書評
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住友銀行の取締役から、楽天証券を経て、楽天をセクハラで追い出されという波乱万丈人生。人事抗争の姿を実名とメモで明かす暴露本。読んでいて、本当にこういうモラルのない、自己正当化してしまう人物に大企業の経営を任せなくてよかったなと思ってしまう。メモを効果的に使って、ドラマティックな仕上げ方をしているが、実際のところはこんなもんではない。メモを作ったのも、やめる前提だったことさえ匂わしているが、取締役に同期トップでなったとか、自画自賛の文章が並ぶ。物書きなら、こんなことは絶対ないだろうけれど、最後までついてきてくれる人、慕ってくれる人がいないことを暴露しているようなものだ。
人事をめぐる戦いという意味で、真実があるとすれば、内部告発をマスコミにしたのは私だ。というところだろうか。なぜ告発という手に打って出たのか。イトマン事件の背後にあるのが、住友銀行の頭取とイトマンに繋がる不正であったとするなら、やはり腐っていると言わざるを得ない。なぜ取り込まれるのか、悪の道とは頭取という5万人のトップでさえも抗えない力を持っているということだ。気品にあふれと高潔であること、語学も堪能で、明晰な頭脳と判断する勇気を持っていること、ビジネスにおいても公明正大、まっすぐにやる、逃げないというメッセージが心に響くこともある。それくらい、まっすぐに立つということが難しい時代なんだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これだけのメモをよく取っていたな、というのが第一印象。
著者ご自身のバイタリティに感服。普通なら心が折れる状況でも、見失わずに貫徹した。
バブルとは、驚きの時代だったということがよくわかる。今ではありえない。
ただ、営業のやり方は参考になる。 -
メモで話が寸断され、全然頭に入ってこない。
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バブル期の大事件を実名さえさらけだして暴露。実在する土地、名画、料亭の名前までもがさらされてリアリティを感じる。住銀側から書かれたいたので
、イトマン側がどんなスキームで大金を動かし、法をくぐろうとしていたのかはあまり書かれていなかったので、モヤモヤ感が残ってしまう。 -
1990年、バブル真っ只中の日本金融界で起こったイトマン事件。本事件は経営不振のイトマンを立て直すために住友銀行から派遣された河村社長による不正経理事件だ。莫大な負債を隠すために絵画取引を利用するなど、当時としてはその意外な手段が注目された。
一躍時の悪役となったイトマンのメインバンク住友銀行はこの事件をどのように片付けたのか。著者は当時の住友銀行員でありながら、銀行を守るためにその事件を匿名で世間に暴露し、事件解決に奔走した。それから20年以上を経て、著者は当時の詳細な業務メモをもとに事件の真相を語る。
本書の多くは断片的なメモを並べているだけで、正直、読み物としてはおもしろくない。すぐれたゴーストライターを付けてほしかった。また、「住友銀行秘史」と言いながら、結局イトマン事件のことしか触れないって、どうなの。
とはいえ、住友銀行によるイトマンへの会社更生法適用失敗から、XデーならぬZデーのイトマン取締役会での社長退任動議のクライマックスは読み応えがある。 -
読んで後悔。事件のことより「自他共に認める10年に1人の逸材」だの「上司や会社のためではなくただ真実を知りたいだけ」「俺が動かなければ被害は5000億で済まなかっただろう」といった自慢フレーズが頻発。「秘史」というからには根拠や証言を示してもらいたいがそれはなく、あるのは自分のメモだけ。自己陶酔をベースに都合良い部分を激動の経済ドラマ風に書き起こしたものであり、がっかり。
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バブル絶頂期にまきおこった、住友銀行とイトマンを巡る事件に関する詳細が記されている。
著者は元住友銀行の元取締役であり、組織内部から状況を伺い、逐一をメモとして残した。住友銀行という組織を護るただ一心に、陰に陽に行動し事件のおとしどころを探っていく姿は、感銘しかない。
巨大組織の中とはいえ、実は組織の大小は問わず、実に人間臭いところで組織が動かされていくことが、手に取るように分かり非常に面白い。
勤め人なら読んでおいて損はない、一冊だ。
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2023/12/29
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世間を騒がした、イトマン事件(主演 磯田一郎、助演 河村良彦 他)についての、当事者(私がマスコミに色々リークをした男です)による手記のようです。自分が見た世界なので、やや偏りがあると思いますが、それにしても生々しい、こういう議論が信用を大切にする銀行の中で行われていたのか(ある意味、小説 半沢直樹 の世界を超えてますね)という意味でも凄い本、★二つです。