コンテクスト・オブ・ザ・デッド

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著者 : 羽田圭介
  • 講談社 (2016年11月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062203340

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コンテクスト・オブ・ザ・デッドの感想・レビュー・書評

  • もともとゾンビが好きだ。ロメロ監督のゾンビ映画もみるし、それ以外の超B級ゾンビ映画もみるし、ゲームでバイオハザードもやるし、海外ドラマのウォーキング・デッドも最新シーズンまで、みている。だから、本屋で『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』を見かけた時、すぐに買うことにした。真っ赤な表紙に真っ青な顔色の女の子の写真。アメリカ映画っぽい「DEAD」の文字。しかも作者は羽田圭介さん。
    ゾンビって映画やドラマやゲームのイメージで、小説では読んだことなかった。マンガでも最近はやってるのがあるけど、わたしは読んでない。映像なし、視覚情報なしで、どうゾンビが描かれるんだろうと思ったけど、想像以上に面白かった。
    日本人の妙に察しがいい、順応性の高い感じがよく出ていて、自分でも実際こういう行動をとるだろうな、と想像できた。銃社会じゃないけどどうするのかなと思ったら竹槍だし、しかも日本が誇る武器にまで昇華させちゃうし。「あれ、ゾンビじゃね?」ああ言いそう。
    ゾンビものだからってサバイバルや乱闘シーンに終始するわけでもなく、むしろ「小説」を巡って、内省を深める静かさがあった。ただし、一度でも小説を書きたいと思ったことのある人間にとっては、その静かな内省シーンこそが、ひりひりと痛みをもって突いてくる。ゾンビになる文脈。作中の創作論でがんがんハードルをあげておきながら、作者の羽田さんは、見事にそれを超えたんだと思う。こんな小説読んだことない、と思った。

  • 羽田ワールド全開の不思議な小説。

    交差点を渡りきり、騒ぎを覗こうと須賀が少し人をかき分けるとぽっかり空いた輪の内側へと躍り出た。そして、輪の中心にいるそれと目が合った。
    ・・・
    彼がなにであるかを理解した。
    「あれ、ゾンビじゃね?」
    (本文より)

    小説家や出版業界、編集者に対する痛烈なアンチテーゼ。
    何故ゾンビ化した人達が大量に発生する中、バスが動いてたり、コンビにが開いてたり(その人達は働いてるって事)するのか、矛盾する事だらけだけど、
    羽田くんの本。何冊か読んだけど結構きらいじゃないんだよね。

    contextとは
    (文章の)前後関係、文脈、脈絡、コンテキスト、状況、環境

  • 第一部までわりと度肝抜かれつつも面白く読めたのですが、長かったな。。。笑。
    結構皮肉がきいていて、とくにラストなんかは秀悦。
    このKも羽田さん自身がモデルという体なのかしら。(わたしは成功者Kのほうを先に読んでいます)
    そもそもゾンビとかいう設定が苦手なのですがそのなかでは面白く読めました。

  • 図書館で借りた本。
    ゾンビの話。と知らずに借りてしまって、ゾンビ苦手なので苦労しました。登場人物が多く、場面も多く変わるので、ついていくのに苦労し、大変読み終わるのに時間がかかりました。結局、ちゃんと理解しないまま、読了。苦手ジャンルには手を出してはいけないということがよくわかりました。

  • 同時期に芥川賞を受賞した本職芸人又吉クンよりやたらとテレビに出まくり最近はバス旅のレギュラーにもなってしまった本職小説家羽田圭介、奴はいったいどこに行こうとしているのか?と思ってたらちゃんと本も書いていた。
    で本作、目立ちがり屋らしいド派手な装丁でモデルにアイドルまで起用して気合と勢いは十二分にも伝わってくる反面内容はセオリー通りのお約束はキチッと守ったゾンビ小説でその辺りには彼のマジメな一面も見え隠れする。
    でもやっぱり長過ぎる、狙いも言いたいこともわかるのだがそれを伝えるのにこの長さは必要か?
    小説の文脈もバス旅の経路もコンパクトさは結構大事だぞ

  • 新たな感覚のゾンビ。ただ内容が突飛すぎる。

  • 初めの方は「えー、なんかいまいち…」と思ったんだけど、文藝界の内輪話っぽいのとかも面白いし、だんだん狙いがわかってくるとどんどん読みたくなる。面白いよー。色々考えてるんだなあ、とも思ったけど。

  • この作品は、最近のありとあらゆる言葉がコピペされてはまたコピペされていく文化を揶揄しているような気がする。私もゾンビにならないように自分のオリジナルな文脈を見つけていこうと思った。

  • わたしはゾンビでした。たぶん、あなたもゾンビです。 P.N.羽田圭介

    OPACへ ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000089601

  • いい。
    読書ってホント楽しいって再認識させてくれる。

    「あたしの想像力たるや!」
    と良い気持にさせてくれる濃い筆致・・・ゾンビ映画を観た事がないのにさ。

    そして同時に、
    自分を省みたり、
    世の中を憂いたり、
    「羽田くん、超イラついてんの?」
    「後で怒られちゃうんじゃないの?」
    「んもう、やっぱり面白い。」
    などと、ストーリー以外にも思考がぐるぐると忙しい。

    楽しい読書だったなー。

  •  文脈のゾンビ。
     ゾンビとはなんだろう。言葉とはなんだろう。物語とは何だろう。どんどんわからなくなっていく。

     たぶん、私は、この世界にそこまで愛がなかったのだろうなぁと思う。

  • わたしとは合わない。

  • ゾンビの物語であると同時に文芸界の物語でもある。

    ウォーキングデッド大好きで見ているのですが、昔からあるゾンビもののお約束、面白かったです。
    でも、この世界はなんだかちょっとのんびりしていて、あぁ確かに日本だとこんな感じになるのかも…と思いました。

    ものすごく恐ろしいことだとは思うけれど、まあ動き遅いし…と傍観する人々。
    なんとなく他人事な感じ。などなど。


    噛まれてもすぐには発症しない人。
    ゾンビにならなかった人。
    ゾンビになってしまったけれど、人間に戻った人。

    あなたは、生きているのか?と問われている感じがした。

  • 突然、街にゾンビが出現する。最初は数人だったが、徐々に増殖していく。しかし、すぐにゾンビにならず、人間の思考を保ったままの者がいたり、ゾンビにならない者や、噛まれていないのにゾンビになる者も出てくる。原因は何なのか?菌?ウイルス?研究者が発表した結論は?って感じで、途中までは面白かったんだけど、どう結末に繋げるのか不安になってきて、案の定納得行かない、弱い動機付けというか、何というか。曖昧な感じでおわっちゃって、で?だった。途中までは面白かったので星3つ。

  • ゾンビ小説x文芸・時流評論、といったところか。
    ゾンビものが特に好きなわけでも詳しいわけでもないのだが、新聞書評で興味を引かれた。

    突然、街に理由もわからずゾンビが出現する。なぜ現れるのか、どう対処すればよいのか、不条理世界が展開する中、文学界に身を置く人々を中心にした群像劇。
    時におかしく、時にぞわりと、エンタメ要素も含みながら時勢を斬る鋭さもある。
    パニック小説でもありディストピアものとしても読める。

    コンテクストとは文脈のことである。
    ゾンビものというのは、ある種、お約束のパターンがある。青白い顔をしてゆっくりと歩く。ゾンビに噛まれたらやはりゾンビになる。人としての感情は持たない。人間はただの餌になり、生のままむさぼり喰われる。時には走るゾンビが現れたり、動物のゾンビが現れたり、バリエーションもある。
    そんなゾンビだが、主体性をもって行動しているというよりも、同じパターンにはまり込んで、「何者かに操られ」ているようにも見える。
    だが、それはゾンビだけのことなのか? ブンガクだって、誰も彼も今までに誰かが書いてきたものに多少手を加え、あたかも新しいものを作り出していると思い込んでいるだけなのではないか? 作家然とした顔をしていても、実はもう「終わって」いる作家が多いのではないか?
    さらには、それは文学界だけのことなのか? ある程度、専門性を追求すると、それはその分野内のお決まりを追っているだけで、決まった枠組みの中で右往左往しているだけなのではないか。真の創造性はそこにあるのか?
    すなわち、多くの人が、「文脈」に乗って時代を漂っているだけなのではないか、ならばそれはゾンビとどれほど違うのか、というのが本作のキモである。

    鋭さはあるが俗物性もある、著者を思わせるKという作家。古典を読み込み、納得のいく作品のみを書こうとしている寡作の桃咲カヲル。片田舎で作家を夢見る南雲晶。セクハラで女性編集者に嫌われる往年の大作家。作家たちの機嫌を取りつつ、自分のしていることに疑問を抱く若い編集者。著者も含め、実在の人物のカリカチュアライズは笑わせつつも相当のブラックさだ。
    こうした人々に加え、金科玉条のごとく「区民の皆様のため」と奉仕を強いられる区役所職員、特殊能力を秘めた女子高生、深夜ラジオのカリスマ・パーソナリティもストーリーに絡む。

    文脈にしたがうということは、空気を読むことにもつながる。お約束から外れたものを排除する先には、あるいはファシズムが控えているかもしれない。
    危機的状況の中で、草食動物が群れるように、人々は「同じ」であろうとするのだが、それは果たして最善の道なのか。

    著者を一番反映していると思われる「K」は、自身の名前から取っているのだろうが、どこか、カフカが使った「K」も思い出させる。
    不条理に見えて、実は現実からそう遠くない世界がここでは描かれているのかもしれない。

    ただ、全体としてのまとまりは非常によいとは思えなかった。群像劇だが、もう少し登場人物を絞ってもよかったようにも思う。料理としての味わいがアンバランスとまではいかないが、よくこなれている部分と生煮えの部分が混在しているような印象だ。ただ意外に「生煮え」の部分にこそ、この著者の着眼点の鋭さが潜んでいるようにも思われ、何となく意識に「引っかかり」続ける著者のような気がする。

    この著者の作品はまた読むことがあるかもしれない。

  • 「コンテクスト・オブ・ザ・デッド」
    あなた、まだ、自分が生きていると思っているんですか?


    路線バスZ、始まりましたね。キャラは相変わらず立ってましたが、声も相変わらず聞き取りずらかったですが、頑張っておられました。番組レギュラー開始に合わせたような成功者Kの発売、さすがです。そんな羽田圭介によるゾンビ柄小説です。


    ゾンビと言えばパニック。xxxオブ・ザ・デッドに連なるタイトルに加え、青白い顔色にがっつりしたクマのある女子高生?の表紙、おまけに血をイメージしたかのようなレッドとなると余計そうかなと。でも、違いました。先入観は怖いですね。


    ゾンビは急に発生し、ふらふら歩き噛み付こうとする。意思はない模様。噛まれたらゾンビになる等ここら辺は、ゾンビ映画の通り。でも、パニック度はそこまで高くない。中盤以降から人間対ゾンビの戦いが高まりますが、それまでは「ああ。最近ゾンビいますよね」程度に落ち着いてます。噛み付こうとするけどふらふらしてるから避けれるなら大して気にしない人々、なんでや?となる設定です。なので、パニック系を期待して読むと萎える可能性があります。


    また、どんなにゾンビが出ようとも、物語の中心は、物書きのあれこれなので、パニック度は更に薄まってる印象です。


    編集者の須賀が、作家Kに心の中で言い放つ「あんた、まだ生きているつもりなのか?」は、随分売れてないのに自分の立ち位置を理解できず、まだ文壇の世界で生きている(しかも受賞当時を忘れられず)と思っていることへの痛烈な皮肉は、強烈です。この須賀、作家Kを始め、久しぶりに小説を発表した美人作家の桃咲カヲル、家族で北へ逃げる小説家志望の南雲晶と物書きが登場人物に多く、各々の視点から文壇が語られます。なので、ゾンビ小説よりは、文学チック。


    面白いのは、過去の文豪がゾンビとして復活することやワナビーゾンビという物書きだったひとが噛まれてないのにゾンビになるという設定。ゾンビに噛まれてしまった女子高生の希は、何故か噛めばゾンビを治せる、ただ確実性はなく失敗したらゾンビは爆死というのも普通のゾンビ設定ではないですよね。ここらへんが羽田圭介のオリジナリティなのでしょうか。ゾンビによって復活するKや最後は、受賞書評で締める辺りもパニック系ではない形で書きたかったのが伝わりました。ただ、ボリュームは400Pと若干間延び感があり、もう少しコンパクトにした方がテンポも出て良かったのではと感じました。


    という訳でパニックを期待したら肩透かしくらう可能性大と思います。だから、この世界で生き残れるのは誰なのか!とかの紹介はやめたほうが良い気がしますw。あくまで中身は、物書きの世界に対するあれこれ(皮肉もあり)ですから。

  • 羽田さん悩みながらこの本書いたのかな。
    新しいものを生み出すこと、人と違うということを恐れてはいけない。
    ゾンビになる方が楽で、でもそんな生き方が幸せなのか問いかけられてる。
    私もゾンビ化している面あるから自分に喝をいれねば。

  • 哲学的ゾンビを本当にゾンビ化してみました、みたいな本。主人公格か複数いるため、読みやすい(おそらく書きやすい?)が、臨場感がなく、わたしの好みではないです。内容に則って、あえて他の人のレビューは読まないで書いてみました

  • 作品解説(帯)
    編集者の須賀は作家と渋谷で打ち合わせ中、スクランブル交差点で女の子を襲うゾンビを目撃する。各地で変質暴動者=ゾンビの出現が相次ぐ中、火葬されたはずの文豪たちまで甦り始め……。

    デビュー10年目の極貧作家K、久しぶりに小説を発表した美人作家の桃咲カヲル、家族で北へ逃げる小説家志望の南雲晶、区の福祉事務所でゾンビ対策に追われるケースワーカーの新垣、ゾンビに噛まれてしまった女子高生の青崎希。
    この世界で生き残れるのは誰なのか!?

    「あなた、まだ自分が生きていると思っているんですか?」
    芥川賞受賞(『スクラップ・アンド・ビルド』)で話題を攫った羽田圭介が現代日本を撃つ
    ゾンビ・サバイバル問題作!

  • 前半2/3ほどはエンターテイメント小説かと思っていたが、後半からはなぜゾンビになるか、ならない奴がいるかについてが書かれる。題名にある「コンテクスト」の意味が徐々にわかってくる。
    コンテクスト=文脈、空気、流れ。群衆の一部に組み込まれる事の楽さ。正解はなんなのか、周りの人はどのような考えなのかをひどく気にする。思考の画一化。思考しないことへの警鐘。
    また、登場人物の多くは作家・作家志望であり、小説は過去の文脈に沿うものばかりで、革新的なことはもう出す手がないようだという。
    ゾンビが迫り来る姿は、内田百間の件を思い起こさせた。

  • 時代の波に乗れずに自己表現を貫く作風では食っていけない文士。売れっ子作家に寄生して甘い汁を吸う編集者。文壇の内幕を描くだけで面白そうなのに、どうしてゾンビが出てくるんだ?だってゾンビ小説だもの。それにしても、ゾンビの出現があまりに唐突で荒唐無稽でしょう。いや、そんなゾンビ小説だもの。と、脳内で葛藤と錯乱が広がりながら読み進める。終盤にようやく文壇とゾンビの繋がりが分かるのだけれど、やっぱり分かんないか。他者に同化し、自身を喪うは死者に同じってことだろうけれど、それにしても何もゾンビを持ち出さなくても。だから、これゾンビ小説なんだってば。

  • 周囲の文脈に流される➡主体性がない➡自分の人生を生きていない➡生きる屍➡ゾンビという発想だろうか。

    文脈➡文学とつながり、文学界あるあるとゾンビを組み合わせたらこうなったという感じか。

    もっと深い思索がありそうな気もするのだが。
    筒井康隆が書きそうな題材ではある。

  • 現在の日本の言論などにおける画一的なコンテクスト(この場合文脈というより、その背景かな)に染まる人間がゾンビとなり、異端は排除されるということを批判した小説なのであろう。
    ということは漱石のゾンビが出てくるのは、漱石のオリジナリティを批判しているものなのか?
    途中読み飛ばし気味なので、作者の真意を理解していないのかもしれないが・・・
    しかし話としてはいまひとつなのであった。

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コンテクスト・オブ・ザ・デッドの作品紹介

「あなた、まだ、自分が生きていると思っているんですか?」

編集者の須賀は作家と渋谷で打ち合わせ中、スクランブル交差点で女の子を襲うゾンビを目撃する。各地で変質暴動者=ゾンビの出現が相次ぐ中、火葬されたはずの文豪たちまで甦り始め……。

デビュー10年目の極貧作家K、久しぶりに小説を発表した美人作家の桃咲カヲル、家族で北へ逃げる小説家志望の南雲晶、区の福祉事務所でゾンビ対策に追われるケースワーカーの新垣、ゾンビに噛まれてしまった女子高生の青崎希。

この世界で生き残れるのは誰なのか!? 芥川賞受賞で話題を攫った羽田圭介が現代日本を撃つゾンビ・サバイバル問題作!

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