さよならの力 大人の流儀7

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 326
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062205382

作品紹介・あらすじ

私は二十歳代と三十歳代に別離を経験した。
一人は弟であり、もう一人は前妻であった。
なぜ彼、彼女がこんな目にと思った。
その動揺は、なぜ自分だけが? という感情になった。
ところがそういうものと向き合っていると、
やがて別離を経験した人にしか見えないものが見えて来る。
それは彼等が生きていた時間へのいつくしみであり、
生き抜くしかないという自分への叱咤かもしれない。(まえがきより)

週刊現代誌上の連載『それがどうした』掲載のエッセイに加え、本書のために、4編の書き下ろしを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2017年初版。最近、馴染みのある有名人の方々・先輩・同級生・後輩を見送りました。「さよなら」と言う言葉の重みを感じるこの頃です。生きていくことが大事な人を見送ることだと理屈ではわかっているつもりですが、こればかりは心の準備が難しいことだと実感しています。弟との別れ・前妻との別れ。青年期や中年で、そのことに折り合いをつけることは辛い経験だったろうなあと思います。ただ、悲しむばかりではなく亡くした方の輝かしい時や美しい時を思うことが、心を癒すことなのかなあと思いました。

  • 愛犬ノボとアイス、そして「家人」と書く奥様。伊集院家の温かさをあらためて確認しました。

    「さよならに力があるとすれば、誰かへのいつくしみがあるからではないか。」

    「人生は、その人だけのものに見えて、実はその人だけのものではない。
    どんな結果であったかより、どう生きたかが人生の肝心であり、人生そのものと私は考えている。」

  • 新成人の流儀の章がお気に入りです!

    「先駆者になる」…この言葉の意味をしっかりと心にしまい生きて仕事しないとね!

    ぜひ〜

  • 新成人、新社会人に贈る言葉が刺さりますね。

  • その動揺は、なぜ自分だけが? という感情になった。 ところがそういうものと向き合っていると、 やがて別離を経験した人にしか見えないものが見えて来る。 それは彼等が生きていた時間へのいつくしみであり、 生き抜くしかない!という自分への叱咤かもしれない。(まえがきより) 週刊現代誌上の連載『それがどうした』掲載のエッセイに加え、本書のために、4編の書き下ろしを収録
    内容)去りゆくものに微笑みを。切ない思いも悲しみも、やがては消える。季節は移ろい、そして新しい人とまた出逢う⁉️

  • 単に歳を重ねるだけでは、こうは書けないなぁ。これが作家の力か。ただ、どんな人でもそんな悲しいさよならを繰り返していまをなんとか生きている。そんな大事なことに伊集院節で気づかせてくれる。

  • 毎度の事ながら、ノボの話は笑えるし、じいんと来る。お母様の話にはしんみりとなる。毎度のパターンだけど、これが良い。

  • 酸いも甘いも経験した伊集院静さんならではの淡々としながら哀しみの感じられる良い本でした

  • 「大人の流儀」シリーズの最新刊。
    今回は別れ、離別・死別などの話題が多い。
    大切な人との別れば突然でもわかっていても辛いもの。
    残された者は、そこからまだ人生が続くので、何を考え、思い
    その後の人生を過ごすかは人それぞれ考えないといけない

  • 図書館より。

    さらりと、読了。
    伊集院静先生のエッセイは読みやすく、美の旅人とか好きで読んでいたので。今回読むのに珍しくWikipediaで検索していて知ったことがエッセイにちらほら出ていて、結果として調べて良かったな、と。知らなかったら???だったと思う。
    私的に特別収録がずしんとくる。
    自分が二十歳のとき、知っていれば良かったんだが。

  • ザ・大人。こんな風になりたい、が、すごすぎて無理だ…

  • 2017年、28冊目です。

  • 伊集院静さんの大人の流儀シリーズを読むのは初めて
    なぜか、このシリーズだけは読んでみたくなった
    ああ、そうだなぁ、そうなのかと納得しながらも
    ひとつの考え方、生き方として読み終えた

  • 一部分、これをツイッターでやったら
    大炎上騒ぎになるような
    文章が見受けられるのでご注意を。
    (ある件に関してだけどあれは親が悪いよね。
    ダメ親でも敬えなんてバカ語れ)

    やはり伴侶動物を飼うと
    どうしても、別れは付きまといます。
    うちも若い愛する猫を亡くしたので
    痛いほど気持ちはわかります。

    でも、もう返ってこないですからね。
    癒してくれるのはときなんですよ。
    でも、うちの身内はまだ癒されていませんね。
    (身内の猫といっても過言ではなかったから)

    だけれども、新成人へのメッセージは
    確かに、と思うことなのよね。
    楽することが美点と思われるけど
    本当に成長しないのよ。
    それじゃね。

  • 夏目雅子が大好きで手に入れたわけですが…。予想以上に内容が沁みました。アラフォー以上、あるいは大切な人との別れを経験した人にはオススメです。

  • 20170312 さよならの力、なのでやむを得ないのだけど、別れが全編に渡っていてなんとなくいつもの厳しさより悲しさを感じた。

  • 良かった!

  • 毎回のことながらスラスラと読ませて頂きました。
    いろいろな形の別れがあるり、悲しく切ない思いにさせられることがある。
    けれど、別れは人に力を与えてくれもする。
    忘れてはいけないはずのことなのに忘れがちなことを思い出させてくれるこのシリーズは、それがそのまま大人の流儀の一つに思える。

    日本は必ず戦場になる…という話があるエピソードには少し衝撃を受けた。
    これで世界を見て回る理由が一つ増えた。
    戦わないのなら、逃げる場所を見つけなければならないからだ。
    その時のために、顎足はなんとかできるようにしておきたい。

  • シリーズ7冊目を読みました。今回は特に、伊集院さんの愛犬に対する想いが綴られており、この夏、愛犬が急逝した私は心に沁みました。

    「苦しみ、哀しみを体験した人達の身体の中には、別離した人々が、いつまでも生きていて、その人の生の力になっています。だからこそ懸命に生きねばならないのです。私は今、さよならが与えてくれた力を信じています。」

  • 伊集院さんの作品はこちらが初めてです。

    故 夏目雅子さんとの別れ

    愛犬との別れなどは、

    涙を流しながら

    読み進めました。

    自分にも近い将来必ず悲しい別れが訪れます。

    普段、その事を考えるだけで

    涙が溢れて来ます。

    別れはどの人にとっても辛く悲しいもの。

    悲しむ時間の長さは人それぞれだけれど、

    時が経てば悲しみは癒される。

    別れた人はいなくなってしまったのではなく

    ずっと自分の中で生き続け

    いつも優しく見守っていてくれる

    その事が生きる力となり

    また前を向いて歩いていける。

    伊集院さんの経験から生まれた言葉が

    強く優しく、背中を押してくれるように感じました。

  • 大人の流儀の第7弾。相変わらずこの人の小説は読んだことがなく、このシリーズだけを読んでいる。しかも、このシリーズも取り立てて好きというわけではないものの、全部読んでいる。今回は別れをテーマにしているようだが、相変わらず夏目雅子と弟との別れの話が多く、既視感は否めない。唯一更新されたのは、飼い犬の死だ。毎回説教くさいし、似たようなことが書いてあるのに、なぜか読んでしまう。しかし、夏目雅子との別れも、桃井かおりとの三角関係の話を聞くと、どこまで美談なのかよくわからなくなる。まぁ、でもたまにいいことが書いてあるので、それ探し目的か。

  • さよならに力?と思ったけど読んでなるほど、と。
    女の私には理解しにくい部分もあったけど、男の人は好きだろうなぁ。さよならからしか学べないことって絶対にあるから。

  • やっぱり、伊集院さん、好きだなぁ。
    大人の男性そのもの。
    60過ぎても90過ぎた母親の前ではただの息子。

    身近の人の別れというと、十代のときの父親だが、あのときは離れて暮らしてることもあって、実感するには時間が必要だったし、悲しむ時間もなかった。

    配偶者と弟、という最も身近な人との別れは想像すらできない。

  • ◆さよならは生きる力を与えてくれる◆
    ピンクの装丁で目を引くこの本は伊集院静の大人の流儀シリーズ第7弾のエッセイです。著者の前妻や弟を若くして失い、その悲しみとどうやって向き合って生きてきたのか、こみ上げる切なさをこらえつつ、どうやって一歩を踏み出して生きているのか、生きる力を与えてくれる1冊です。巻末に「新社会人の流儀」として若い人向けに書かれたメッセージが織り込まれています。これから社会人になる皆さんが社会に出て生きるヒントがもらえる作品です。

  • 伊集院静も少し丸くなってきたのか、いいころ合いと読んだのか、やたらと、亡き妻夏目雅子と海難事故で亡くした弟の話が多い。逆に、やっと書けるところまで来れたということか。なかなか、興味深い。

  • 大人の流儀シリーズ7集。本当の別れをしたことがない自分にとってそのときがきたらもう一度読みたい本になるだろう。悲しんだり不憫に思ったりすることは当然だがその先はある。成人に向けた言葉も息子に読ませたい言葉だ。

  • 亡くなった人を思い出した。別れがあるからまた新たな出会いや生きる力になっていくのだなと改めて思った。

  • メディアなし リクエスト

    なぜ彼、彼女がこんな目にと思った。
    その動揺は、なぜ自分だけが? という感情になった。
    ところがそういうものと向き合っていると、
    やがて別離を経験した人にしか見えないものが見えて来る。
    それは彼等が生きていた時間へのいつくしみであり、
    生き抜くしかないという自分への叱咤かもしれない。 

    前書きどおり。
    悲しむだけでなく、悲しさから見えてくるものがある。納得のいく文章でした。
    身近な人を失った経験があるので、そのときに読めたら、あんなに苦しまず、荷物をおろせたかもしれないと感じた。この文章は、その経験をした人ならではだと感じ、嬉しかった。
    いい本です。読み終えて、すぐもう一度、二回目を読んだ。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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