- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062205771
感想・レビュー・書評
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民俗学を専攻する大学院生羽野千夏は、「口頭伝承」を研究するため認知症グループホームに通うことに。そこには様々な老人がいたが、千夏が特に関心を寄せたのは最高齢のルリ子。彼女がつぶやいた「おろんくち」という言葉を頼りに、高校生の立原大地とともに、過去の記憶、そして現代の問題解決へと突き進むが・・・
前半はいま一つであったが、後半スピードに乗るとともに、老人達のキャラクターも面白くなり、楽しく読めた。ただ、千夏がどうしても“法医昆虫学捜査官シリーズ”の赤堀とダブってしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
認知症になっても〈消えない記憶〉。それを研究するため、主人公が向かった認知症グループホームは、曲者ぞろいで……。
マイナスな面から始まるので、前半はやや気が重い。おどおどした主人公が吹っ切れ、展開がスピーディになってからが面白い。
後半は明るいようで、意外と重たい問題を含んでおり、ぞくっとする。 -
民俗学の口頭伝承という目の付け所はおもしろいけれど。。。
すこーし、先が見えちゃうところがイマイチかな。
これ、シリーズになるのかしら。
コリン・ホルト・ソーヤーの老人探偵団を思い出した。
そういえば、あれまだ読んでいなかったっけ。 -
かなり最後のほうになるまで、
「おろんくち」の謎がどう着地するのか
見えてこないままなので、残ページを心配しながら
「謎が解けるのかしら」とはらはら読み進められます
最後はあっと驚く事件が解決され
老人と若者が協力して事件を解決するストーリーが爽快でした -
勧められて初めて読んだ作家さんでした。
個性豊かな老人たちと民俗学を研究する女性、そして影のある少年。
亡くなった母が入所していた施設にも、虚ろな老人たちがいたこと、衰えていく母、介護士たちの多忙。見てきたとおりの現実が描かれている。
千夏の様なただじっくりと話を聞いてくれる人がいたら良いのに…と感じた。
風の里と老人たち、チーフやミントがこのまま平和に暮らしていけると良いな。
千夏の研究や大地の成長も気になるな。 -
民俗学の口頭伝承のためにグループホームで調査することになった千夏。老人たちと千夏の掛け合いがフフッとさせられて楽しくて、老人たちの尊厳というか生きる力を見出す作品なのかなと思っていたら、後半…ホラー?と思うような展開になり「おおっ⁉」ってビックリ。毒母親から心を蝕まれてしまった大地君も希望へ一歩踏み出せそうだし、結末はスカッとする感じで終わって読後感も良しでした。
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民俗学研究という馴染みのないものだったけど、興味深く読めました。高齢者施設や不登校、犯罪など現代の色々な問題がわかりやすく読めること、登場する人たちが前向きに明るくなっていくところが良かったです。
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口頭伝承を研究している千夏と、高校生大地の「おろんくち」を探るミステリ。どちらかというとおろんくちの謎よりも、老人ホームや認知症患者の抱える問題が印象的だった。全てマニュアルに沿った対処もどうかと思うし、介護士の苦労も実際は本当に大変なのだろうと思う。
大地が大学生になってからとかの2人の活躍の続編を希望! -
最後でもったいない終わり方した。
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認知症の老人が集まったグループホームで、民俗学の口頭伝承の研究をする千夏。老婆が口にした謎の言葉を追い求めるうちに、とんでもない真実に行きついてしまうミステリ。
認知症の老人たちのコミカルな会話が笑いを誘います。だけどそれはボケてるから、ってものじゃなく。認知症であってもそれなりの理屈はきちんとあっての面白さ。そして研究を進めるうちに、老人たちもまた生き生きとしてくるのがなんとも楽しくって。カウンセラーの松山との対立には抱腹絶倒です。
一方で謎の言葉「おろんくち」にまつわるあれやこれやが浮かび上がってくる展開は実にサスペンスフル。いい意味でじわじわと嫌な雰囲気が高まります。ただ、このおおもとの物語があまりはっきりしなかったのは少し残念かな。
そしてなんとも意外な真相。まさかそこに行きつくとは! ぐいぐい物語に引っ張られ、そうかあれが伏線だったのかあ、ってのも完全に忘れていました。読後感はとてもすっきり。