伴走者

著者 :
  • 講談社
3.85
  • (19)
  • (31)
  • (31)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 361
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209540

作品紹介・あらすじ

【伴走者(ばんそうしゃ)】=視覚障害のある選手が安心して全力を出せるように、選手の目の代わりとなって周囲の状況や方向を伝えたり、ペース配分やタイム管理をしたり、伴走(ガイド)をする存在。 資金はない。趣味ではない。福祉でもない。障害者スポーツの世界にあるのは、ひたすら真っ直ぐな「本気」だけ。選手を勝たせるためなら手段は選ばない。伴走者の熱くてひたむきな戦いを描く、新しいスポーツ小説!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • パラスポーツの中でも視覚障害者には、ともに走る伴走者が必要だ。
    夏・マラソン編、冬・スキー編。
    どちらも、自分から望んでではなく、請われて伴走者となった経緯が、ちょっと複雑な心境を感じさせて良かった。
    夏編はレースや勝負の駆け引きなどがメインで、冬編は選手と伴走者の心の綾を描いている。
    今までよりも、興味を持って観戦できそうな気がします。

  • 見たことはあるけれど全く関心がなかった
    障がい者スポーツを支える「伴走者」
    一コマ一コマが胸を打つ
    単なるスポーツ小説ではなく
    人と人との結びつき、自分への厳しさ、相手への想い
    読んでよかった
    そう思わせてくれた

    ≪ 伴走者 人の目になり 心解く ≫

  • 伴走者から見た、全盲の人のマラソンとスキーの世界。知らない事を知ることはいかに楽しい体験であるかを思い知らせてくれる、素晴らしい小説だった。続編強く希望

  • オリンピックと同じ年に開催されているので4年に一度は目にしている「パラリンピック」。
    でもあまりにもそのひとつひとつの競技に対して無知であったと改めて。
    「伴走者」というのは自分自身がトップレベルのアスリートでなければならない。よく考えたらそりゃそうなのだけど、ここまでその力を求められていたとは。
    夏と冬、マラソンとスキー。マラソンは紐でつながった伴走者を見たことがあったけど、スキーは初めて知った。こんなすごい競技があったとは、と驚き、思わず映像を検索してしまったほど。視覚障碍者が時速100キロ近いスピードで滑り降りて来る…晴眼者でも怖いのに…いや、無理無理。
    すごいなぁ、と思って読んでいたけど、でも本当に大切なのは、彼ら彼女らにとってその見えない状態が当たり前で、それを私たちが勝手に「大変だ」と思い込んでいるということ。そのことに気付かせてくれたこの小説を東京オリンピックの前に、ぜひ一人でも多くの人に読んでもらいたいと思う。

  • ブラインドスポーツにおいて、アスリートと共に支え合う伴走者。障害の扱い方への戸惑い、捨てられない自分の夢、共に走る意味。伴走する立場における苦悩や快感が感じられる、疾走感のある作品。

    「目の見えないものにスポーツができるなどとは最初から誰も思わないのだ。」物語を読み進めていると、この一文にドキリとする。
    晴眼者は、目の見えない人を「支える」、いわば「強者」の立場に見える。しかし、物語を通して、気付かされることはとても多い。「関係はいつでも簡単に逆転する」のだ。

    物語としては「夏・マラソン編」も好きだが、「冬・スキー編」は響く言葉が多かった。弱さを見せて、相手に頼ろうとしなければ、相手からも信頼されない。これは、伴走者に限らず、人との付き合いの中で大切にしたい。

  • パラオリンピックマラソンとスキーアルペンの伴走者との話し。この二人みたいにオリンピック選手は障害者でも強いんだろうな。でも恵まれ過ぎだ。 2018.4.6

  • 「【伴走者(ばんそうしゃ)】=視覚障害のある選手が安心して全力を出せるように、選手の目の代わりとなって周囲の状況や方向を伝えたり、ペース配分やタイム管理をしたり、伴走(ガイド)をする存在。 資金はない。趣味ではない。福祉でもない。障害者スポーツの世界にあるのは、ひたすら真っ直ぐな「本気」だけ。選手を勝たせるためなら手段は選ばない。伴走者の熱くてひたむきな戦いを描く、新しいスポーツ小説!」

    「夏・マラソン偏」
    「冬・スキー偏」の2つの話が収録されている。

    「マラソンは「苦しさとの戦い」だが、視覚障害者にはこれに「恐怖との戦い」が加わる。だが内田は言う。「長距離を走っていると、恐怖がふっと消える瞬間があるんだよ。」「走っている間だけ、俺は自由になれるような気がするんだ。」走りながら2人は1つになる。たがいが、たがいの伴走者となる。」
    (『いつか君に出会ってほしい本』田村文著の紹介より)

  • パラスポーツや伴走者について、今まであまり意識してこなかった分、作品を通して新しい世界を知ることができました。
    目が見えないから弱者で、目が見えるから強者なのか。立場は状況次第で逆転するんだと思います。

    「弱さのない人は強くなれないんですよ」(p197)
    【冬・スキー編】
    晴ちゃんのセリフがすごく響きました。

  • ビブリオバトルで紹介されていて、個人的に1番気になった本。
    視覚障害者をめぐる「伴走」の物語。

    「目が見えないってだけで、なにもできないと思われる」という強烈な一文が頭から離れない。
    マラソン編とスキー編があったけど、わたしはマラソンの方が好き。

    障害者スポーツを見る目が変わった。
    次のパラリンピック、たのしみだなあ。
    わたしには想像力が足りていないなあ。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50106021

全44件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家、広告プランナー。1971年、神戸市生まれ。たいていのことは苦手。ゲーム、レコード、デザイン、広告、演劇、イベント、放送などさまざまな業界・職種を経た後、現在は執筆活動を中心に、広告やテレビ番組の企画・制作・演出などを手掛けている。主な著書に『伴走者』、『どこでもない場所』、『ぼくらは嘘でつながっている。』『すべては一度きり』『たった二分の楽園』など。近年、同人活動もはじめ『異人と同人』『雨は五分後にやんで』などを展開中。座右の銘は「棚からぼた餅」。

「2023年 『浅生鴨短篇小説集 三万年後に朝食を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

浅生鴨の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×