- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062210737
作品紹介・あらすじ
人生のすべてを祖母と母の介護に捧げてきた勝村瞳子は、四十歳目前にして未来が見えない。妻の束縛ルールと執拗なDVに悩む丹羽顕は、母に認知症の疑いがあることを知り、愕然となる。心療内科で出会った2人は次第に心を通わせていく。だが・・・・・・。「――妻を、殺してしまいました」「・・・・・・すぐに行くから、待っていてください」 自首しようとする顕を止めて、遺体を隠そうと言い出す瞳子。果たして殺人の隠蔽は成功するのか? 交錯する思惑と嘘。エスカレートする母と娘の愛憎。予想外の結末が待ち受けるノンストップ・サスペンス!
感想・レビュー・書評
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なんて救いのない物語なんだろう。
主人公の瞳子は、母の介護と店の仕事に縛り付けられ、小さいころから何の楽しみもない生活をていた。そして、瞳子自身、自分の居場所を守るために必死でその役割を果たしていた。
そんな瞳子が病院である男性と出会う。それが顕だ。顕は、妻のDVに耐え続けている男性。自分を唯一理解してくれる顕に瞳子は心惹かれていく。顕もまた、妻にはない瞳子の優しさに惹かれていく。
ある日、母親への暴言に耐えられなくなった顕は、つい妻を殴りつけ、殺してしまう。瞳子に電話をし、救いを求める。そして2人は妻の死体を埋めに行き、いつバレるかと不安な生活を送っていく・・・・。
ミステリなどを読んでいると、人を殺したりするシーンはよく出てくるが、この物語は、本当に日常にありえそうで、読んでいて恐ろしくなった。そして、瞳子の境遇を思うと、こんなことがあっていいのかと苦しくてしょうがなかった。
唯一瞳子の理解者として顕が現れるが、顕は自己保身のために瞳子に嘘をつく。『噓も方便』『知らぬが仏』とはよく言ったもので、瞳子はより顕を守ろうという意識が強くなっていく。全てを知っている読者は顕のそういう汚いところが許せなくなってしまう。でも、同時にそんな人間の弱さも理解できてしまう。
読んでいる時は、瞳子や顕が置かれている状況や、なんで言い返したりしないんだろうと、モヤモヤしっぱなしだったが、実際にニュースで似たような事件を見ると、案外こういう人たちは多いのではないかと改めてゾッとした。 -
苦しいけど続きが気になり
一気読みしました。 -
祖母と母の介護をしながら40歳目前となった瞳子。
妻からのDVが続く中、母に認知症の疑いがあると知った顕。
首に鎖を巻かれたような境遇の2人が、大きな過ちを犯してしまう。
う~ん。
どの登場人物も好きになれない。
瞳子が抱える介護問題はかなり切実だが、介護される側の瞳子の祖母、母、介護に無関心の瞳子の父と兄など、どうにも救いのなさに気分が悪くなった。
顕には、魅力を感じなかった。
DV妻があそこまで激しい暴力を奮っていたことも理解できなかったし、それを抑えることが出来ない顕にも、う~んという感じ。
こんな感想を持ってしまった私自身は幸せボケなのかもしれないと反省します。 -
介護要員としての扱いしか受けず姑憎さで母から憎まれて育った女性と、妻のヒステリーに晒されている男性の話。
二人ともに家族からお互いへ共依存先を変えただけの虚しい恋愛で、もう少し何か生き方がないのかとイラついてしまった。
そんな苛立ちを思えるのも私が自由で恵まれているからなのでしょう。 -
読んでいて胸が痛くなる作品でした。介護は家族の協力がなければ無理なのに、その大変さから目を背け娘一人に押し付ける。娘の人生をどう思っているのか、本当読んでいて腹がたった。行き場のない生活の中で出会った男性もまた妻からのDVを受けていた。息苦しい生活の中で二人はお互いを守ろうとするのだけど…。表題の「首の鎖」というのがとても深い意味のあるものでした。
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タイトル通り、「家族」と言う名の鎖に繋がれた人々の物語です。
主人公は人生の全てを祖母と母の介護に捧げてきた40歳の勝村瞳子(かつむらとうこ)
心療内科で妻の束縛と執拗なDVに悩む丹羽顕(にわけん)と出会いそこから物語は大きく展開して行きます。
瞳子の気持ちを理解しているふりをして肉体関係を求める神田、瞳子の未来を案じる事もせずただ介護人員として扱う父親、姑から受けた仕打ちを娘にぶつける母親。
血が繋がっているとは思えないエゴの吹き溜まりの様な家族の中、必死に頑張る瞳子の姿が辛かったです。
介護問題、認知症、DV、いつどこで起こってもおかしくない出来事に殺人が加わりラスト1行まで目が離せませんでした。
一気読み出来る家族サスペンス。