風の万里 黎明の空〈上〉十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062551755

作品紹介・あらすじ

慶国に、玉座に就きながらも、王たる己に逡巡し、忸怩たる思いに苦悩する陽子がいた。芳国に、王と王后である父母を目前で殺され、公主の位を剥奪されて哭く祥瓊がいた。そして、才国に、蓬莱で親に捨てられ、虚海に落ちたところを拾われて後、仙のもとで苦業を強いられ、蔑まれて涙する鈴がいた。負うにはあまりある苦難の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ少女たち。その果てしない人生の門が、いま開かれる。

感想・レビュー・書評

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  • 4.1
    鈴と祥瓊が最初はイラッときましたが、少しずつ変わっていくのが面白い。その二人を読んでると陽子がかなりしっかりしてる感じがする笑
    下巻に続きます。

  • 再び中嶋陽子さん(*^-^*)
    最初が陽子さんでしたからね、これが一番楽しみだ。
    陽子さんのその後、気になって仕方ない。

    大木鈴、祥瓊という二人の女性と邂逅し、
    物語はクライマックスへ。。。

    この二人の女性が、どう物語に絡んでくるのか
    ヒヤヒヤしながら読み進めて行った。
    何となく二人とも、どことなく棘があり剣呑な雰囲気を醸している。。。

    下巻へ続く。

  • 天命により慶の国、景王となった陽子は民の実情を知るために街へ出た。目前で両親を殺され芳国公主の座を奪われた祥瓊は、父王の非道を知り自らを恥じていた。蓬莱から才国に流されてきた鈴は華軒に轢き殺された友・清秀の仇討を誓った。それぞれの苦難を抱いて三少女はやがて運命の邂逅の時を迎える―。
    「BOOK」データベース より

    学ぶところのたくさんある内容.自分の不幸は自分がつくりだしていることが往々にしてある.

  • 突然放り込まれた人生の流転。
    現在の自分の境遇を受け入れられない3人の娘たち。
    自分はダメな存在だ・・・。
    どうしてこんな目に合うの?
    だが、それぞれがそれぞれの出会いによって
    少しずつ変容していく。
    そして、彼女たちはある地点へ向かって歩んでいく。
    彼女たちが下巻でどうなるのかが楽しみです。

  • たんなる ファンタジーを越えた物語だと思う

    自分(人間)の中にある
    ねたみ そねみ 人をうらやましがってしまう心
    なげやりな気持ちに
    気付かされてしまう

    いや
    それでも
    やっぱり 生きていくのだ

    読みながら
    自問自答してしまう
    そんな一冊ですね

  • 人間らしさがたくさん詰まった話だと思う。自分の胸に手を当てて考えさせられる場面が多い。早く次読まな!

  • 本当に辛いなら、苦しい状況から逃げ出そうとする。逃げ出そうとしてないのは、不幸に浸っているだけ。

  • 再読。景王となったものの王としての自信が持てない陽子。海客として才国で現状に不満ばかりを抱いている鈴。元芳国公女としてのプライドを捨てきれない祥瓊。異なる立場と環境にいたはずの3人の少女たちが、図らずも同じように現状を変えるための旅路のなかで、いつしか絡み合うように運命の輪が交錯していく。上巻はそれぞれの我儘や優柔不断、無責任、責任転嫁の応酬に苛々させられるが、ひたすら耐え忍ぶのみ。すべては下巻のため。十二国記はこの物語のためにあるといっても過言ではない。人は変われるのだと教えてくれるはず。

  • 再読。三人の立場の違う娘たち、陽子と鈴と祥瓊の話。誰もが三人のうちの誰かの中に自分を見るんじゃないかな。
    初読の時は自分は鈴に似ているのかなと思っていたけど、今回は祥瓊の部分も結構あるかもと思ってみたり。

    読んでいて結構つらい部分もある。
    そしてこのシリーズの前後篇は、割と場面展開は後編なので、前編は辛いまま終わることが多い。
    けど、後半に転機があると思えるから読み進められる。
    でもやっぱり陽子は好きだ。

    この本のあとがきで、前作の延の主従の話が番外編扱いってあってちょっと驚き。
    本編と番外編の違いを考えると、やっぱり陽子が来てからの十二国の物語ってことなのかな。

  • 自分を憐れんで不幸自慢をしてしまうこと。自分のしてきた事を顧みずに他者を妬んでしまうこと。誰でも大なり小なりそういう気持ちに覚えがあると思う。特に少女という年頃であれば尚の事。そんな2人の気持ちと、色んな人に出会って変化していく彼女たちの成長がすごいと思う。自分だったら、同じ立場だった時にどう考える事が出来るだろうか。
    そして王としてまったく何もできない事に苦悩する陽子。彼女のもどかしい気持ちに感化されてしまって、上巻を読み終えただけでは少しモヤモヤしてしまって、すぐに下巻が読みたくなる作品。

  • 大好きな十二国記だけれど。
    陽子が国王を務める慶国が主な舞台だから本編なんだけれど。
    それでも、この「風の万里黎明の空」編はずっと苦手だった。
    分厚さで言えば「図南の翼」だって同じぐらいなのにも関わらず、再読の頻度は間違いなく後者のが高い。
    それがどうしてなのか、今回の再読でハッキリした。

    鈴や祥瓊の考え方にとにかく辟易するのだ。
    何でも人の所為にし、「私だけが不幸だ」と、人のことを嫉む。
    人の話には耳を傾けないのに、誰かに甘え縋ることしか考えておらず、自分でどうにかしようなどと思いつくこともない。
    私、こういう自分の不遇を呪うばかりの人ってニガテなんだ。

    逆に、采王黄姑や、供王珠晶の言葉には何度も頷く。
    どちらも、100年前後の治世を敷いている善き王なだけに、人として正しい姿だと好感を覚える。
    「幸せかどうかはその人の心が決める」
    「辛いから物を盗んでいい道理はない。同じ労働をしている全うな人たちにこそ慈悲を持ちなさい」
    特に供王の言葉や態度は一見傲慢にも見えるけれども、物事の分別はちゃんと弁えていて筋が通っている。だから見ていて腹が立たない。むしろ胸がすくのだ。

    正しい心の持ちようをこのシリーズは教えてくれる。
    ライトノベルのレーベルからの出版にしては重い物語だけれど、十代の多感な時期にこの物語と出会えたならば、本当に財産になるだろうなと思う。
    私が出会ったのは残念ながら10代ではなかったけれど、それでもこのシリーズは間違いなく私の人生のバイブルだ。

  • ★十二国記シリーズ 第4弾★
    <br>慶国に、玉座に就きながらも、王たる己に逡巡し、忸怩たる思いに苦悩する陽子がいた。
    <br>芳国に、王と王后である父母を目前で殺され、公主の位を剥奪されて哭く祥瓊がいた。
    <br>そして才国に、蓬莱で親に捨てられ、虚海に落ちたところを拾われて後、仙のもとで苦業を強いられ、蔑まれて涙する鈴がいた。
    <br>負うにはあまりある苦難の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ少女たち。
    <br>「月の影 影の海」の続編

  • 陽子が前向きになってきていてよかった。

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    風の万里 黎明の空(上)


    十二国記 エピソード4(上)
    講談社X文庫 ホワイトハート


    著者:小野不由美(おの ふゆみ)
    発行所:株式会社講談社

    イラスト:山田章博

    1994年8月5日 初版発行
    2004年3月17日 第34刷発行

  • 3人の主人公のお話。
    1人は慶国の国王:陽子
    1人は蓬莱生まれの鈴
    1人は芳国の元公主:祥瓊
    3人のバラバラの人生が縁を結んでいく物語。

    陽子は慶王になり国を治めるのに葛藤する。誰の言うことを聞いたら良いのか、この判断は正しいのか、責任は積み重なるがどれも自身の意思ではない。いつも自分に自信がなく、良い国とは何かを自問自答するが堂々巡り。
    そんな中「私は今玉座にいることが苦しい」と景麒に言えた陽子マジで褒めてあげたい。苦しい事を苦しいと他人に言えるのは凄い事。
    そして慶の村へ勉強に出る。

    鈴は同じ蓬莱出身の陽子に会うため旅をする。
    きっと蓬莱出身の陽子をわかってあげられるのは同郷の自分だけと思い。
    その道中、少年:清秀と出逢う。
    蓬莱から流されてきた自分が1番不幸と思う鈴に、家族も帰る家も失くした清秀が言う。
    「辛いことがあると偉いのか?辛いことがあって、辛抱してると偉いのか?おれなら辛くないようにするけどな」「誰かが誰かより辛いなんて、うそだ。誰だって同じくらい辛いんだ」「本当に苦しかったらさ、人間ってのはそこから抜け出すために必死になるんだよ。それをする気になれないってことはさ、ねぇちゃん、実は抜け出したいと思うほど苦しくなかったんだよ」
    正し過ぎて辛い…

    そして祥瓊は、暴君になってしまった父芳王を殺され、母も殺される。
    情けで命を助けられた祥瓊は供国の下僕となる。そこで昔の煌びやかだった自身と、今のボロボロな自身の差を思う。
    父が殺されなければ、今でも自分は綺麗に着飾っていられたのに…そしてきっと今頃そうやって着飾っているであろう自分と同じ年頃の慶王を憎むようになる。
    【ーーー奪い取ってやりたい。
    父母を殺し、祥瓊をこの惨めな境遇に落としこんだあの憎い男ーー月渓が許されるのなら、祥瓊だって許されていいはずだ】
    なんで?なんで?会ったこともない陽子を急に目の敵にするんだ??
    でもきっと人間の嫉妬心って突拍子もないんだろうなぁ。他人の上辺の幸せだけ見て、全て手に入れているかと思う。そこまでの苦労も今の悩みもそんな事は全て無視して。
    そして同じような罪を犯した人がいると、自分がすることも正当化してしまう。人間あるある過ぎる。

    (上)はまだまだ3人がバラバラなので、情景もコロコロ変わって、私的に追いつくのが大変だったけど、この(上)の3人の経緯があってこその(下)だと思うと読み応えは大大大アリ。
    最初との心境や意味がガラッと変わっていったりするし、成長も見られる。
    苦難の渦中ってきっと心境がコロコロ変わって善と悪や前と後を見つける、そー言うもんなんだろうな。
    あ、(上)の終盤にイケ鼠も出てくる。

  • 自分の境遇を悩む3人の少女たちの話。王になった少女、その王に憧れつつ自分を哀れむだけの少女、過去の栄光にすがりながら王になった少女を憎む少女、この3人が今後どのように絡むのか?
    それによってどのように成長するのか楽しみです。

  • あとがきによると本編の3作目らしい
    延王の話は番外編だとか

    陽子さんと泰麒の話が本筋ってことね

    それにしても、陽子さんの国政はハードモードだなぁ
    判断を間違えると即謀反が起こるような戦国シミュレーションか?
    もしくは、どんな選択をしても女の子たちの好感度が下がる恋愛シミュレーションみたいな?

    そして、陽子さん以外のメインキャラ、鈴と祥瓊

    鈴は海客として苦労していて、同じ境遇の景王によりそってあげたい
    祥瓊は自分目線で理不尽な不幸にあっているのに、ただ選ばれただけの景王を羨むと

    うーん、どっちも陽子さんのためにはならない人物に思えるんだがね
    下巻でどうからんでくるのやら

  • 相変わらず雰囲気が重い暗い(褒め言葉)
    下巻でこの負のエネルギーが逆転するのを楽しみに読みました。

    今回の主要人物は3人
    祥瓊・・・元公主。上巻読んだ限りだと世間知らずな箱入りお嬢様。公主の地位にいるのが当たり前で、公主の役目なども知らず教えられてないんだから仕方がない。私は何もしていないって感じのタイプ。
    紆余曲折あって楽俊と旅をすることで少しずつ世界を知り、自分が無知でいた事がどれほどの罪深い事だったか痛感していく。

    鈴・・・海客の女の子。自分は世界で一番不幸だと思っているタイプ。周りに勝手な期待を抱き、当てが外れると何でこんなに不幸な私に誰も親切にしてくれないんだろうと嘆き続けている。海客繋がりで陽子に自分の不幸を認めてもう為に慶国に赴く途中で年下の清秀に自分の間違った価値観に気付く。

    陽子・・・景王。国を立て直そうにもこちらの世界を知らなさ過ぎて周りの関係者と不仲な状態。世界の成り立ち・常識を知る為に市井で遊学を決意。

    陽子はともかく、祥瓊と鈴は典型的なメンヘラ感が凄い笑
    果たして下巻でどのように展開されて行くのか楽しみ。

  • 再読

  • 十二国記シリーズは各国の栄枯盛衰を描きながら、様々な立場の登場人物を通して「今自分が抱えている価値観」に気づかされ、更にこれからの自分の在り方を考えさせられてしまうからクセになるのかもと3人の少女の感情に触れながら思った。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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