風の万里 黎明の空〈上〉十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
- 講談社 (1994年8月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062551755
作品紹介・あらすじ
慶国に、玉座に就きながらも、王たる己に逡巡し、忸怩たる思いに苦悩する陽子がいた。芳国に、王と王后である父母を目前で殺され、公主の位を剥奪されて哭く祥瓊がいた。そして、才国に、蓬莱で親に捨てられ、虚海に落ちたところを拾われて後、仙のもとで苦業を強いられ、蔑まれて涙する鈴がいた。負うにはあまりある苦難の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ少女たち。その果てしない人生の門が、いま開かれる。
感想・レビュー・書評
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再び中嶋陽子さん(*^-^*)
最初が陽子さんでしたからね、これが一番楽しみだ。
陽子さんのその後、気になって仕方ない。
大木鈴、祥瓊という二人の女性と邂逅し、
物語はクライマックスへ。。。
この二人の女性が、どう物語に絡んでくるのか
ヒヤヒヤしながら読み進めて行った。
何となく二人とも、どことなく棘があり剣呑な雰囲気を醸している。。。
下巻へ続く。 -
突然放り込まれた人生の流転。
現在の自分の境遇を受け入れられない3人の娘たち。
自分はダメな存在だ・・・。
どうしてこんな目に合うの?
だが、それぞれがそれぞれの出会いによって
少しずつ変容していく。
そして、彼女たちはある地点へ向かって歩んでいく。
彼女たちが下巻でどうなるのかが楽しみです。 -
たんなる ファンタジーを越えた物語だと思う
自分(人間)の中にある
ねたみ そねみ 人をうらやましがってしまう心
なげやりな気持ちに
気付かされてしまう
いや
それでも
やっぱり 生きていくのだ
読みながら
自問自答してしまう
そんな一冊ですね -
人間らしさがたくさん詰まった話だと思う。自分の胸に手を当てて考えさせられる場面が多い。早く次読まな!
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本当に辛いなら、苦しい状況から逃げ出そうとする。逃げ出そうとしてないのは、不幸に浸っているだけ。
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再読。景王となったものの王としての自信が持てない陽子。海客として才国で現状に不満ばかりを抱いている鈴。元芳国公女としてのプライドを捨てきれない祥瓊。異なる立場と環境にいたはずの3人の少女たちが、図らずも同じように現状を変えるための旅路のなかで、いつしか絡み合うように運命の輪が交錯していく。上巻はそれぞれの我儘や優柔不断、無責任、責任転嫁の応酬に苛々させられるが、ひたすら耐え忍ぶのみ。すべては下巻のため。十二国記はこの物語のためにあるといっても過言ではない。人は変われるのだと教えてくれるはず。
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再読。三人の立場の違う娘たち、陽子と鈴と祥瓊の話。誰もが三人のうちの誰かの中に自分を見るんじゃないかな。
初読の時は自分は鈴に似ているのかなと思っていたけど、今回は祥瓊の部分も結構あるかもと思ってみたり。
読んでいて結構つらい部分もある。
そしてこのシリーズの前後篇は、割と場面展開は後編なので、前編は辛いまま終わることが多い。
けど、後半に転機があると思えるから読み進められる。
でもやっぱり陽子は好きだ。
この本のあとがきで、前作の延の主従の話が番外編扱いってあってちょっと驚き。
本編と番外編の違いを考えると、やっぱり陽子が来てからの十二国の物語ってことなのかな。 -
大好きな十二国記だけれど。
陽子が国王を務める慶国が主な舞台だから本編なんだけれど。
それでも、この「風の万里黎明の空」編はずっと苦手だった。
分厚さで言えば「図南の翼」だって同じぐらいなのにも関わらず、再読の頻度は間違いなく後者のが高い。
それがどうしてなのか、今回の再読でハッキリした。
鈴や祥瓊の考え方にとにかく辟易するのだ。
何でも人の所為にし、「私だけが不幸だ」と、人のことを嫉む。
人の話には耳を傾けないのに、誰かに甘え縋ることしか考えておらず、自分でどうにかしようなどと思いつくこともない。
私、こういう自分の不遇を呪うばかりの人ってニガテなんだ。
逆に、采王黄姑や、供王珠晶の言葉には何度も頷く。
どちらも、100年前後の治世を敷いている善き王なだけに、人として正しい姿だと好感を覚える。
「幸せかどうかはその人の心が決める」
「辛いから物を盗んでいい道理はない。同じ労働をしている全うな人たちにこそ慈悲を持ちなさい」
特に供王の言葉や態度は一見傲慢にも見えるけれども、物事の分別はちゃんと弁えていて筋が通っている。だから見ていて腹が立たない。むしろ胸がすくのだ。
正しい心の持ちようをこのシリーズは教えてくれる。
ライトノベルのレーベルからの出版にしては重い物語だけれど、十代の多感な時期にこの物語と出会えたならば、本当に財産になるだろうなと思う。
私が出会ったのは残念ながら10代ではなかったけれど、それでもこのシリーズは間違いなく私の人生のバイブルだ。 -
★十二国記シリーズ 第4弾★
<br>慶国に、玉座に就きながらも、王たる己に逡巡し、忸怩たる思いに苦悩する陽子がいた。
<br>芳国に、王と王后である父母を目前で殺され、公主の位を剥奪されて哭く祥瓊がいた。
<br>そして才国に、蓬莱で親に捨てられ、虚海に落ちたところを拾われて後、仙のもとで苦業を強いられ、蔑まれて涙する鈴がいた。
<br>負うにはあまりある苦難の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ少女たち。
<br>「月の影 影の海」の続編 -
陽子が前向きになってきていてよかった。
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あとがきによると本編の3作目らしい
延王の話は番外編だとか
陽子さんと泰麒の話が本筋ってことね
それにしても、陽子さんの国政はハードモードだなぁ
判断を間違えると即謀反が起こるような戦国シミュレーションか?
もしくは、どんな選択をしても女の子たちの好感度が下がる恋愛シミュレーションみたいな?
そして、陽子さん以外のメインキャラ、鈴と祥瓊
鈴は海客として苦労していて、同じ境遇の景王によりそってあげたい
祥瓊は自分目線で理不尽な不幸にあっているのに、ただ選ばれただけの景王を羨むと
うーん、どっちも陽子さんのためにはならない人物に思えるんだがね
下巻でどうからんでくるのやら -
相変わらず雰囲気が重い暗い(褒め言葉)
下巻でこの負のエネルギーが逆転するのを楽しみに読みました。
今回の主要人物は3人
祥瓊・・・元公主。上巻読んだ限りだと世間知らずな箱入りお嬢様。公主の地位にいるのが当たり前で、公主の役目なども知らず教えられてないんだから仕方がない。私は何もしていないって感じのタイプ。
紆余曲折あって楽俊と旅をすることで少しずつ世界を知り、自分が無知でいた事がどれほどの罪深い事だったか痛感していく。
鈴・・・海客の女の子。自分は世界で一番不幸だと思っているタイプ。周りに勝手な期待を抱き、当てが外れると何でこんなに不幸な私に誰も親切にしてくれないんだろうと嘆き続けている。海客繋がりで陽子に自分の不幸を認めてもう為に慶国に赴く途中で年下の清秀に自分の間違った価値観に気付く。
陽子・・・景王。国を立て直そうにもこちらの世界を知らなさ過ぎて周りの関係者と不仲な状態。世界の成り立ち・常識を知る為に市井で遊学を決意。
陽子はともかく、祥瓊と鈴は典型的なメンヘラ感が凄い笑
果たして下巻でどのように展開されて行くのか楽しみ。 -
再読
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十二国記シリーズは各国の栄枯盛衰を描きながら、様々な立場の登場人物を通して「今自分が抱えている価値観」に気づかされ、更にこれからの自分の在り方を考えさせられてしまうからクセになるのかもと3人の少女の感情に触れながら思った。