- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062552295
作品紹介・あらすじ
恭国は、先王が斃れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。首都連檣に住む珠晶は、豪商の父をもち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。しかし、その暮らしぶりとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女は、王を選ぶ麒麟に天意を諮るため、ついに蓬山をめざす。珠晶、12歳の決断。「恭国を統べるのは、あたししかいない」。
感想・レビュー・書評
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所変わって、恭国の十二歳のお嬢さんのお話。
ひたすら蓬山を目指す話だが、小さいのにこの子は凄い。
賢さも凄いが、行動力がある。
この作者さんは様々な人格の登場人物を自在に操っている。
生き生きとした若い行動力が最初から最後まで実に清々しい。
自分には持っていないものをたくさん持った子で、
またまた読書に没頭してしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
4.4
長かったけど、面白くて数日で読みました。
予備情報を入れず読み始めて、今まで殆ど出てこなかった話だなと思いながら読み進めていきました。
描写が細かく、こちらの世界の話ではないので知らない単語がたくさん登場してきちんと理解し想像しながら読むのはそれなりに時間がかかりましたが、中盤以降単語も大体理解してきてからは読むペースが上がりとても楽しく読めました。
今まで黄海の話はちらちらとは出るものの、今回はほぼ黄海の話だけで理解が深まりました。
ここまで続けて読んできて、改めて魔性の子から読み直してみたいなと思っています。
でも何年か空けてから読んだ方が面白いんだろうなとは思うので、しばらくは我慢してまずは次に進みます。 -
殊晶の言葉は少女のかしましさもありながら、でもまっすぐで物事の根幹を指していて、今でも心に残っている言葉がいくつもあります。
終盤で、王の責務が果たせるのか?と問いかけられた珠晶が「そんなこと、あたしにできるはず、ないじゃない!」と反発するところが好きです。
ではなぜ昇山するのか?と問うと、「義務だと思ったからよ!」と答える。
なにもせずに諦めて受け入れるんじゃなくて、自分の責務を果たそうとするところがとても好ましいです。
風の万里の台詞に彼女の生き方が現れています。「私が恵まれた暮らしをしてるのは、重い責任を担ってるから」
この言葉は、人生の価値観が変わるくらい、感銘を受けました。
十二国は本当に素晴らしい。人生の教訓です。 -
シリーズで一番面白かった。前向きで一生懸命な主人公と、脇を支える二人が魅力的。
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読み返し。
十二国記は、(メインの)みなが強さを持っていてすごく好きなのだけれど、殊晶の強さは本当にすごい。
12歳で義務だから、と家を飛び出してしまうなんて滅多にできることではない。
ましてや、誰かを理解しようとしたり、行動の意味を考えたり、大人だってそうやって思考をめぐらす人はほとんどいない。それをやってのけるからこそ、王に選ばれたのだろうな。 -
新潮文庫発売記念で再読。あ〜やっぱり新しいシリーズで揃えて買いたくなるなぁ。それはさておき、十二国記において景王陽子を巡る一連の物語が一つの本流であるとするならば、それに勝るとも劣らないもう一人の主役は間違いなく本書において僅か十二歳にして登極すべく蓬山を目指して旅立った珠晶であることに間違いない。年齢なりの幼さもあり、ばかなこともするけれども、自らの過ちと愚かさを認めることができる。目の前に現れた麒麟を叱り飛ばすのもいかにも珠晶らしくて清々しい。更夜の登場も嬉しい限り。最高の一冊です。
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【勝手に再読祭り】「恭国を統べるのは、あたししかいない!!」と12歳の若さで昇山する少女の物語。シリーズの中で一番好きです。
12歳とは思えないほど頭もよく利発的であるが、やはりまだまだ幼く子供っぽい考え方をしてしまう珠晶。
しかし昇山を通してたくさんのことを学ぶことで、彼女は成長していきます。
黄海のことをよく知っている剛氏らが他の者たちに助言をして助け合えば良いのにと思う珠晶に、ではこちらが持っているものを相手が持っていなければどうする?悪戯に答えだけ言っても意味がないと主張する剛氏。
子どもだから思う純粋な助け合いと大人だから分かる現実の厳しさ。
大人だから、子供だからと枠にはめていては理解することもできないと同時に理解を拒絶している。知ったふりをしていることは知らないことに等しく、知ろうとすることが大切なのだということを学ばされました。
「やるべきことをやってから嘆けば」という珠晶の言葉にグサッときましたね。
結局私も「どうして誰も王になろうとしないんだ、王は現れないんだ、って怒っておいて、自分は王になれるはずがない、そもそも蓬山に行けるはずがない。」といっている大人たちと同じだな~と思うと虚しくなりますね。珠晶に怒られて当然だわ。
子どものときに読むと珠晶の子ども目線で読めるけど、大人になって読むと大人目線の理屈で読めて二度お得です。そしてどちらにも「私も頑張らなきゃ」と心に響くものがあると思います。 -
十二国記シリーズ8
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十二国記のなかで、一番好きなお話
珠晶は、子供らしい直情さと向こう見ずなところがあっていろんなことを間違えるけれど、ちゃんとその後、考えて反省をする。
自分が悪かったところをきちんと「悪かった」と認められるところは私たち大人こそも見習うべきだと思う。 -
十二国記シリーズファンの知人に勧められて、初チャレンジの作家。
十二国という独特な世界観とシステムの中、十二国のひとつ恭国に新たな王が誕生する迄の物語。
主人公である12歳少女の不完全な正義感と自信、若さ故の無鉄砲な行動力。恵まれた身分に生まれた我が儘さと視野視座が、旅の中で様々な気づきにより成長していきます。
ただ答えを求めるのではなく、理由や判断にいたるプロセスを考え想像することが大切。この少女の傾聴力は、全ての資質を輝かせためのトリガーということでしょうか。 -
恭国の話。
珠晶は12歳。お嬢さんで生きてきながら、大人が言うことが正しいとは判断せず自分なりに正しいと思うことをどんどんやっていく子。
人に言うには自分が行動してから、という信念がすごい。
頑丘たち黄朱の暗黙のルールを人でなしと怒っちゃうような素直な子どもの面もありながら、考えて意味を見出すところは聡明です。シリーズ内でちょっとずつ登場人物が重なってくるから、相関図が欲しくなった。
黄海が舞台で妖魔がどんどん出てくる。妖魔がどんなに恐ろしいかイメージが追いつかなくて挿絵欲しくなりました。 -
「風の万里 黎明の空」で登場した珠晶のお話
珠晶の物言いやら考えやら行動やらが実にラノベちっくで、そっち系を読み慣れた人にとっては安心感があるのではなかろうか?
あと、珠晶の強運っぷりも実にラノベ
今どきの長いタイトルなら「『王がいないなら私がなるしなかいじゃない』と、お嬢様が家出して昇山してみた件」
そして内容は「黄海の歩き方」閑散期バージョン
もしくは「昇山のススメ」とかそんなところだろうか
都会の裕福な環境で育った子と黄海という過酷で祖国を持たない人の文化や考え方の違い
王がいないから災害が頻発するし多くの人が困るというのは確かだけど
王がいなくても生きていこうと思えばいけるわけで、「国」の存在意義を考えさせられる
頑丘が言う、王が必要ならずっと閉じ込めておいて何もさせ無ければ有益な事もできないけど無益な事もできないという意見は、この世界にハマりつつある読者にとっては衝撃
でも遠甫が陽子さんに、国政は主に官がする事で王の役割は存在するだけで十分に役立っているみたいな事言ってたしな
延王の言ってた事もそうだし、結構な真理を突いている意見なのかもね
しかも最後に描かれている奏国の意思決定システムが正にこれで、王は実質的な決定権を持っていないと言うね
それで600年も国が続いているのだとしたら、結構な真理を突いている意見なんだろうなぁ
それにしても、この世界の王の選定システムにさらなる疑問が増えたな
27年前に王が亡くなって、20年前に麒麟が王の選定ができるようになった
しかしその時に珠晶はまだ生まれていないし、生まれても麒麟も迎えに来なかった
その間に国内のめぼしい人は昇山済み
つまりは王となるべき人が不在の期間が確実に存在するんだが、いいのか?
生まれた時に来いというのも無茶な話で、赤子のまま王になれるはずもない
ただ、何もできない王というのも上の理論で言うと最高の王なんじゃないか?とも思うけどね
それにしても、王の資質と王気を発するのは別という事ね
珠晶は元々王の資質を持っていたけど、麒麟に選ばれるには王気を発する必要があった
昇山の途中で王気を発したのが見えたので供麒が迎えに来たって事でいいのかな?
そうすると、陽子さんは景麒が迎えに来た時点で王気を発していた事になるけど、陽子さんはアノ酷い経験をしたからこそ王としての資格を身につけたと思うんだがなぁ
増々わからんなぁ
ってか、犬狼真君の存在がとても嬉しい
仙の格が高いのとか、里木の入手方法とかのやりとりを妄想すると、何だか微笑ましい気持ちになる
どこかの国のためではなく、妖魔と生きる人達のための存在でありたいという道を選んだんだろうなぁと妄想してしまう -
風の万里にちょこっと出てきた、供王の昇山までのお話
若干12歳にして王になるべく昇山を目指す珠晶。
豪商の娘として周りより裕福な暮らしをしてきた彼女だが、決して傲りや傲慢さで思い立ったわけではない。
「それが国が傾く中で裕福に生まれた者としての義務」との責任感からの行動である。(こんな12歳がいてたまるか笑)
「出来ることをやらずに文句だけをいうのは卑怯者だ」ってセリフはドキッとくるものがあった。
また、知的な頭脳や責任感から、情報弱者に助けず経験を独占する剛氏達の行動に反感を持ったりと、このあたりは素直に子供らしい一面も持っていて悩むとことか微笑ましい。
ファンタジー小説ではあるけれども、生きていくにあたっての行動理念とか信念と言ったものに学ぶことが多いストーリーでした。
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十二国記シリーズ。恭国のお話。
気丈な12歳の少女珠晶が王になるべく蓬山を目指す。その想いを押して測りながら読み進めるのだけれど、後半、それが言葉で語られた場面には涙。
「これってもしかして…?」って気になる人物が次々出てくるので、登場人物が分かる順で読み進めると楽しい! -
大好きな十二国記シリーズの中でも図南の翼は最高に面白い!この話読む前は、供王が良い王なのは分かるけどちょっとキツすぎてアレだな...と思ってたけど、これ読んで良い意味でイメージが変わった!はじめから王の器というよりは、素質を持ってた珠晶が蓬山を目指していく途中、人が死んだり選択を迫られたりする中でどんどん王の器に近づいてる感じがした。最後の平手打ちのシーン清々しくて大好き(笑)
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十二国記シリーズでいちばん好きな作品。
珠晶のキッパリハッキリした性格は好きになれないけれど、言う事は筋が通っていて気持ちが良い。
一回手放してしまったけれど、また揃えた作品。
シリーズの最初からリメイクして再アニメ化してほしい。
18年振りに再読。
12歳の少女が黄海を旅する冒険譚。
珠晶がたびたびピンチになり、どうやって切り抜けるのかドキドキワクワクする。でもやっぱり気の強い珠晶とは友達にはなれないと思う。 -
「十二国記」シリーズがいよいよ再開ということで、
久しぶりに読むが、やっぱり良いですね~。
何回も読んでいるのに、またしても続きが気になって
寝不足になる毎日でした。
珠晶が、置いてかれた人々のいる
危険な場所に戻ってくるシーンなんて、
いつでもジーンとくる場面なのですよ♪ -
シリーズの中で一番のお気に入り(^^)
珠晶のファンです こういう気合の入った子大好き(´◡`๑) -
再読。
読み返しても、珠晶が珠晶でなんか嬉しかった(^_^)
強気の姿勢の中でも、子供らしい戸惑いと、賢さの達観と自分の考えに偏りがちな甘さと。
そんなさまざまが角度によって違う光を放つ宝石のような印象。
最後の最後に吐いた本音は、本当に珠晶らしい(^_^)
対する頑丘のキャラもすごくらしくて好ましかった。
こうした王の治世を見る度に、いつかは滅びる王朝だということが何か信じられないけど、飽いてしまう、倦んでしまうということは、そういうことなんだろうな
だからこそ、生きているものなのだろうし。
そう考えるとそうなることが出来ない麒麟という生き物は、かなり辛いのではなかろうか。
昇山の最初から最後を見て、それでもまだいい方だと知れば、王になるために昇山するものがあれほどいることの方が驚きです。
それだけ国が荒れるということなのだろうけど…。
その事実だけですごいと思える。
珠晶の言うように一概には責められないなぁ。 -
今まで読んだシリーズの中で一番好き。今後の展開も気になる。どっかでまたでてくるかな。
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12歳の女の子。
珠晶が昇山し供王になるまでのお話。
冒険メインで昇山にはどんな危険がつきまとうのか黄朱とは、黄海の秘密など今までとは違う面を知ることができる。
わくわく面白かった。
人は嘆くばかりで自分から行動を起こそうとしない。
貧しい、恵まれない人に遠慮しながらの生活は嫌。と
みんなが満足いく生活ができれば珠晶は気がねなく贅沢三昧できると、小さな珠晶が率先して動くのに心を動かされた。
わがままな子供に見えるが、筋がしっかり通った人を思いやれる優しい子だ。
なにより人を理解しようと努力をする。これが一番重要なことじゃないかと思う。
供王になった珠晶がどう国を立て直していくか見てみたい。
犬狼真君(天仙)は更夜と名乗った。六太の友達の更夜なのか?と嬉しくなった。 -
荒れ始めた国で、王になるべく、12歳の少女が厳しい道を進もうとするんだけど……この少女の理屈がなかなかに筋が通っていて(最後の本音も含めて)、でもやっぱり幼い部分は幼くて…そのへんの描き方がとてもうまいと思った。
十二国記シリーズで一番楽しく読めたかも。-
本棚をレビューからのぞかせて頂きました(^。^)
好きな感じがにているな…(^O^☆♪と思いました。
…新しい本と出会いたい時参考にさせて...本棚をレビューからのぞかせて頂きました(^。^)
好きな感じがにているな…(^O^☆♪と思いました。
…新しい本と出会いたい時参考にさせて下さい(^人^)2012/06/30
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こんなに魅力的な主人公は初めて見た。
小野不由美先生の十二国記シリーズの番外編
最初は単に無鉄砲なだけのお嬢様に見えますが、彼女の信念の軸を恐ろしく強い。旅の中で少しずつ見せる彼女の考えには大人の我々ですら関心してしまいます。そして、自分が12のちっぽけな少女で有ることも忘れない。身の程はわきまえる。
多くの人と運、何もかもを巻き込んで動くその強さは正しく王の器。彼女が王でなくて誰が王といえよう。そのカリスマ性は本当に尊い。
本当に、空前絶後のキャラクターです。どうすればこれほどまでに魅力的なキャラクターが生まれるのでしょう。奇跡