黄昏の岸 暁の天(そら)〈下〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062555500

作品紹介・あらすじ

鳴蝕。山が震え、大地が揺れ世界が歪み、泰麒は、十の歳まで過ごした蓬莢にいた。帰りたい-。しかし、その術を知らない。泰麒が異界でひとり懊悩する頃、戴国には謀反によって偽王が立ち、日ごと荒れていた。その行く末を案じ、泰台輔と同じ胎果である誼の陽子を頼り、慶国を目指した李斎は思う。麒麟がいなければ、真の王はあり得ない、と。そしていま、雁国をはじめとする、諸国の王と麒麟が、戴国のために立ち上がる。

感想・レビュー・書評

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  • 十二国のシリーズで一番怖いことが書いてあるように思う。
    ずっと曖昧に、それこそ日本神話の天照大神や大国主命くらいの存在に思っていた(それにしては神の奇跡が日常に溢れているんだけれど、日常に密着しすぎていてそういう自然現象のような気持ちに)天の存在が色濃く、また無機質なために生々しい存在感で記されていて、条理とは、十二国とは、と考えてしまった。そこに生きる陽子はどんな不安を抱くのか。そしてここまで読んで過去に天を試すといった人々の疑心と腐心が少しわかった気がした。

    泰麒を探すために協力を築く国々。二手に分かれて蓬莱と崑崙を捜索するが、蓬莱でまがまがしい妖気を感じ取る。それはかつて泰麒の使役した饕餮の気配ではないかと。しかしそのそばに麒麟の気配はなく、呪詛のような膨れ上がった穢れが捜索の足を迷わせる。やっとのことで救出した泰麒は麒麟としての獣性をほとんど失っていたのだった。

    序章の上下巻だったのだな、と。これを15年まえに読んでいたらどんな気持ちでここまで待っただろう。とちょっとぞっとした。でも、ついに続巻が出る!!!!
    発売日は今から休みを入れているのでとても安心。
    ただただ待ち遠しい。
    飛び立つ二つの頼りない二つの影が無事戴へたどり着けたことを祈る。

  • 基本的に戴国の話だが、舞台が慶なので話に入りやすい。
    あらゆる登場人物を巻き込んでの大騒動。
    これまでのシリーズの中では、一番大きな話になるのではないだろうか。

    しかし、これだけのシリーズで何を読んでも面白いと思わせるのは凄い。
    どの本も引き込まれ方が半端ない。

    会社の方にお借りした続きの話があと2冊・・・。
    冊数が減っていくことが寂しくて仕方ない。
    続きが刊行されないだろうか・・・。私が読み終わるより早く・・・。
    一刻も早く・・・。

  • 「……中嶋、陽子です」
    「高里です」

    李斎の回想メインだった上巻から、泰麒捜索編の下巻へ。
    麒麟4人と王3人という贅沢すぎる布陣で、オールスターズ感あるところが好き。
    世界設定の秘密にも踏み込んでいくあたりも当時はドキドキして読んだな、と。
    月影、風の万里、と来て今回の陽子の成長具合がものすごいなーと嬉しくなる。と同時に、月影序盤読み返して、なぜこんなに武人っぽく成長してしまったのかと首をかしげるところでもある。
    はじめっから大人しくて人間出来てる感じの泰麒と対称なのも面白い。


    2001年5月15日 第1刷発行、か・・・。
    ここから18年も待ったのか。途中一冊あるにしても。
    丕緒の鳥のときはずいぶん雰囲気変わったなーと思ったな。
    今日出る(台風で買いに行けない)新刊はどうだろうか。
    たったいま最後の一文を読んだそのままの印象で読み始められるだろうか。
    どちらでもがっかりすることはないだろうと思うけど、主上の他の本を屍鬼以来読んでないので予想が付かない。
    いずれにしても18年も経てば当初考えていた結末と同じにはならないだろうな。
    新刊4冊読んだら、他の本も読もう。

  • 面白かった。良かった。

    お馴染みの彼らに初登場も加え、まさに十二国記オールスターズ。
    それぞれ登場人物のキャラが立ってて、しかもみんなとても魅力的。


    ストーリーにおいては後半、三度ほど胸が詰まる思いをした。

    ムネツマ1.
    尚隆が蓬山に向かう李斎に言うセリフ。
    「行ってくるがいい。ほかならぬ戴のことだ、その手で天意を掴んでこい」

    ムネツマ2.
    玉葉が泰麒を蓬莱から連れ戻す筋道を示す場面。

    ムネツマ3.
    戴に戻る泰麒と李斎を送り出す六太。

    みんなカッコよすぎ(涙)。

  • 次作の番外編で長らく止まっている
    気になる ものすごい気になる

    続きはまだかと今も待ち続けている

    ものすごいじらしプレイです..

    • m9tomoさん
      私にこのシリーズを薦めてくれた人も、同じ様に嘆いていました。
      同著者の同人誌?には、文庫版未収録の短編が掲載されているらしいですね。
      私にこのシリーズを薦めてくれた人も、同じ様に嘆いていました。
      同著者の同人誌?には、文庫版未収録の短編が掲載されているらしいですね。
      2011/11/24
    • times10さん
      コメントありがとうございます
      19年ぶりに待望の新刊が怒涛の2ヶ月連続で2冊ずつ刊行されましたね!
      昔のように一気読みはできなくなりましたが...
      コメントありがとうございます
      19年ぶりに待望の新刊が怒涛の2ヶ月連続で2冊ずつ刊行されましたね!
      昔のように一気読みはできなくなりましたが少しずつじっくり読み込んでいきたいです
      2019/11/26
  • ようやく下巻に着手したわりには一気に読み切った。
    さすが小野主上。読ませる力が凄くてサクサク読んでしまった。

    泰麒を蓬莱から連れ戻せたのは良かったけど、既に麒麟ではなくなってた。
    角折られちゃったもんな………。
    それでも成獣してるから、やっぱ黒麒は麒麟の中でも特別なんだな。

    高里として蓬莱で年齢も重ねたこともあって、泰麒が戴へ戻るって言って、反対した李斎を説得したところは成長を感じた。
    内面が本当に大人になった。

    驍宗の痕跡が氾王から齎され、そっちも希望が出てきたし、何とかなるかな…。

  • 読み進めながら
    何度も
    立ち止まって
    自問自答してみたり
    沈思黙考してみたり
    瞑想してみたり
    それは それは
    いろんな読み方をさせてもらえる
    ところが
    このシリーズのお楽しみ

    素敵な時間を
    持たせてもらえました

  • まだまだ続きそうな話で先が気になる!!

    戴国も救われた訳でもなく
    困難が待ち構えている終わり方で
    モヤモヤが残るので星3つ。
    この先、どうやって戴国が建て直すか。
    また天とは…。
    いつもの十二国記みたいな爽快な結末を期待します。

    この本を読んだら是非新潮文庫の『魔性の子』を読んで頂きたい。
    蓬莱視点でこの本の事が書かれてて
    より楽しめます。

    陽子さんが尚隆をけしかける所は容赦無くて笑ってしまったなぁ(笑)
    尚隆可哀想…尻にひかれてる…あんなに格好良いのに

  • ああ、読み終わってしまった……
    読み終わったけれど、未だ夜明けは遠い戴国。

    泰麒不在の7年の(蓬莱へ戻っている)間に、泰麒はだいぶ大人になったらしい。自分の考えを、きちんと冷静に告げられるほどに。

    新潮社から装いも新たに続刊が発行されるようだけれども、それもまだまだ先のことになりそう。
    うぅむ、しばらくはこの悶々した気持ちを抱えて過ごさなくちゃならないな(苦笑

  • 2023/12/4読了

  • 月の影、風の万里に続く陽子が主人公の三作目。
    とはいうものの、その他が全てここに繋がっていて、十二国記というのは、全てで十二国記シリーズなんだなと改めて認識し直した。

    戴の主従のことが明らかになり、さらに陽子と同年代の胎果の麒麟だとわかる。そして、十二国のの世界に考え方に馴染みきってないから、あるいは陽子だからかはわからないが……隣人が困っているならば助けようとという普通に至るであろう思考でその他の国を巻き込んだ戴麒大捜索を開始する。

    テンポよくどうなるの?と気になって読む手を止めることができなかった。

  • ネタバレになるので詳しくは書けませんが、王様は…?

    でもひとまず、良かった!
    十二国の結束が素敵です。

    やはり、蓬莱出身の陽子ちゃんのおかげかな。

  • 登極から半年。 泰王と泰麒は忽然と姿を消した。 王と麒麟を失くし、妖魔が蔓延り荒れる戴国を救う為、将軍李斎は景王陽子に助けを求める。 李斎の思いに涙が出る。 物語終盤の陽子と浩瀚、陽子と六太の会話がとても印象深い。 そしてここから新刊へと続きます。

  • 各国が協力して一国を救おうとする前例のないミッションが胸熱
    そして今回も含めてまったく国内の状況がわからない舜
    多分、柳と同じで何か起こってるんだろうなぁとは思うけどね

    魔性の子の裏事情が色々と判明

    サンシとゴウランが暴れすぎじゃね?と思ってたけど、本来ではない力だったのね
    あと、延王が迎えに来てた事情も仙に召し上げるためとはね…
    そう言えば大師にという言葉に違和感を感じてたんだよね

    そして陽子さんの活躍
    十二国の世界では国家間の関わりは輸出入と少しの祭事の出席くらいで政治的にはほとんど関わりがないと
    自国の民のための王であって、他国のために動くのは本来の仕事ではない
    特に他国の民に対しては難民を拒否するほどではないけど救済の制度の必要性を感じていないようだ
    そこに現代の感覚を持った陽子が交じると新たな価値観が生まれるんだなぁ
    ま、既存の常識に照らし合わせれば意味不明なんだろうけどね
    天帝の意向というものがあるのだとすると、陽子の存在意義は新たな風を入れるというところにあるのかもね

    そんな陽子だけど、王という立場に対して若干の諦めも見えた
    おとなしく殺されようとするんじゃないよ、もー

    ってか、それに対する浩瀚の正論っぷりが正しくてロジハラめいてるな
    「侮辱ですか?」とまで言わせた陽子も陽子だけどさ
    王も下臣とか民の意見を聞き入れる方法があればいいんだろうけど、陽子さんはまだそんな事に手を付けられる段階でもないしなぁ
    まだまだ難しい状況ですなぁ

    まぁ、戴国の置かれた現状よりはマシなんだけどね

  • 上巻では物語の前提となる背景だけでほぼ終わってしまい、下巻でかなりのうごきごあった。
    ファンタジーの話ではあるが、天の摂理の下りなど、善し悪しの客観性の余地のない"そう決められているから、そうである"みたいな純然たる事実の存在ってのは、この世界にもあって(日本で言うと憲法や法律)それに反しない方法(法律の抜け道)を探しながら泰麒を救うまでの工程はまさに現代社会そっくりだと思った。

    物語後半の陽子が謀反を企てた内宰の陳述に同情しかけ、浩瀚がバッサリと断ち切るシーン(結局は為人)、泰麒と李斎が戴に戻る決意をするシーンなどがとても良い。

    そして話が終わってなくないか?と思ったら最新作がこの続きなんですね。買わなきゃ(使命感)

  • 18年振りに再読。
    この巻の内容だけなぜだか全く記憶になかった。
    泰麒大捜索編。
    浩瀚が名言を残した。浩瀚が冢宰で慶も安泰。
    これでやっと新刊が読める!

  • 十二国記シリーズ。

    一気に下巻まで読んでしまった。だのにホッとできるほどの救いはなく。
    現状を変えていくのは奇跡ではなく、一歩一歩の己の行動だけということを噛み締める。一足飛びに変わることは、ない。

  • <期>
    昨年末(2019)に始まった僕の「十二国記」全巻巡りは、この本でとりあえずおしまい。
    先の最新刊『白銀の墟 玄の月』の発売までには,その前の巻(本書の事です)が出てから、なんと18年も掛かったらしい。次ももしそのくらい掛かってしまったら、僕自身が生きているかどうかが、まず微妙だなあ^_^。
    小野不由美さん、次は何とかもう少し短いインターバルで出してくださいませ(^ ^)。

  • 天とは。祖国とは。
    桂桂が花を持ってきたシーンで、李斎と一緒に涙ぐむ。
    魔性の子の裏で。
    ここで18年待つのは本当に苦行だなぁと改めて…

  • 面白かった。一気に読んでしまった。
    泰麒を取り戻すために、各国の麒麟が蓬莱で探し回ったり、十二国記の様々な国が協力する。

    李斎が碧霞玄君だけでなく、存在すら不明だった「天」の西王母にすら食ってかかるのには驚いた。戴の運命に翻弄された民の声なのだろう。萎縮しないのが強い。

    陽子と高里が話している描写で、万感の思いというか、「魔性の子」からここまでシリーズ長かったよね!と思った。

    後半の浩かんの理路整然と陽子を諭すところ、完全に論破していくので読んでいて気持ちよかった。

  • 再読。

    …のはずがほぼ覚えていなかった。
    やはり重い。
    戴国というお国柄なのだろうか?
    戴王も非常に傑物というお話だが、爽やかさが…
    出来る人間は物事に動じないってそういう事なのか?

    そして、西王母の超絶感に神様って怖いと再確認。

    隻腕の将軍李斎と麒麟でなくなってしまった戴麒、無事に驍宗殿と再会できるんだろうか。

    最新刊までもう少し。

  • やっぱり読んでなかった!ほんと最新作読んでから読むと色々感慨深いな

  • 勢ぞろいする王や麒麟たち、風の万里の後の慶の王宮、祥瓊の女子力などお楽しみ要素がありつつも、結構容赦なくしんどい話で十二国記世界の仕組みに迫る。
    個人的には、天には天の摂理がある、というのは納得できる話で、そんなにひどいとは思わないのだよな。天には力がある、でも濫用を防ぐためにそれを私情で動かすことは自ら禁じていて、あらかじめ決めたルールに則って采配する。ルールに穴があっても、ほいほいとそれを破ることは許されない。そうして、大筋で世界を良い方向へ導こうとしている。
    その辺は作中で陽子も「もしも実在するなら、必ず過ちを犯すだろう」と言っている。それを過ちと呼んでいいものか、私は少し疑問ではあるが。だって、全てを救うことは、きっと何者にもできないだろうから。そこで、「人は自らを救うしかない」わけですが。
    この話に、一体どう決着をつけるのだろう。

    けっこう桓魋が好きなんですよね…朴訥としたようでいて、意外と喋るしいつもやさしいよなあ。人を言いくるめるのがうまい(笑)

  • 再読。
    『魔性の子』を十二国記サイドから語りなおしたもの。
    『魔性の子』を読んだすぐ後に読んだので、興味深かった。
    が、この状態で、続編を十何年も待たされたんだよねぇ…
    やっと、続きが読める!

  • 読み終わってこの状態で10年以上次の話が進んでいないのは読者としてかなり辛い状態だっただろうなと思う。
      黒麒麟がずっと辛い状態で過ごしていた事が少ない描写で感じることが出来た。 
      帰ってきたからといってハッピーエンドでもないし、事態はもっと辛いことになっていると思う。

      ただ、6年という期間で青年になった麒麟の成長ぶりを次巻で確認したい。
    陽子は毎回悩みながら少しだけ前に進んでいて何時も応援したくなる。

  • 2019/10/12

  • 泰麒はどうなるんだろう。戴はどうなるんだろう。

  • 2019.02 再読
    分かっていたとはいえ、読むの辛い。これから戴はどうなるんだ、っていうところで10年以上待たされていたファン…続きが読めるってすごく幸せなことだなあ。結局、ここから魔性の子に行くよ〜!読み終わったら、新潮文庫で集め直そうかなと。

  • 再読
    上巻からつづき
    ファンタジー小説において「こちら」でない舞台設定にしなければならない理由づけは
    作品にとって必要ではない
    そこでどう振る舞うかから感を抱かせるために
    現実の有り様を投影する必要もない
    けれど小説は細部の修辞装飾が景色全貌の全部なのだから
    一点毎の採色は重要でなくとも
    その積み重ね振る舞いに向きはなければならない
    それが出来上がってどうなのかはもちろん最後にわかるが
    途中部分だけみて感心したって当然でもある

  • 景王陽子は諸国の王と麒麟に呼びかけ、ようやくのこと蓬莱に流された泰麒を探し出して連れ戻した。しかし泰麒は角を無くしていた。それは麒麟ではなくなっていることを示す。この世界の条理の一端が解き明かされる。神の世界にもできることとできないことがあるようである。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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