霊はあるか―科学の視点から (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
3.06
  • (1)
  • (6)
  • (21)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 118
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062573825

作品紹介・あらすじ

宇宙の物質の究極構造から、生命の起源まで解明されつつある今日でも「霊」の存在を信じる人は少なくない。その背後には、「人は死んだら魂はどうなるのか」という素朴かつ根源的な疑問が残っているからであろう。だが、そこにさまざまなインチキがつけこむ余地もある。そもそも「霊」とはいかなるものなのか?宗教界では「霊」をどう捉えているのか?科学的に「霊」を扱うには、どう考えればよいのか?科学者が自らの輪廻転生観を示しながら、この難問に迫る野心作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 科学的に霊の存在を考えるという内容。
    無いものを無いと証明することは、かなり難しい。著者の結論として、物理的、科学的にも存在しないと語っている。
    事件として扱われる霊に惑わされる人たち、だまされるという表現が当てはまる。仏教宗派に「霊について」アンケート調査を行った結果報告(霊魂は不滅か、祟りはあるか?霊感商法について)
    第3章、霊を科学的に検証する。物質として存在するか、心霊写真と呼ばれるものについては、操作の技法を表示している。若者の見解から見えてくる、霊を信ずるに至る要因として、近親者からの影響、メディアの影響は大きい。心理学的要因から実在すると考えることは多い。マイナス&プラセボ効果、3た式思考。
    輪廻転生についても科学的な説明を試みている。生体がなくなっても元素となって環境に入る。
    第6章、例に惑わされずに生きる。水子の霊は、「優生保護法」以降である。が、現代では最もポピュラーな事象である。

    こっくりさん
    1884日本に入る、円了(妖怪博士)が解明。

  • う〜ん、ブルーバックスに「霊はあるか」なんてタイトルの本があるんだな。内容は真面目な批判本だ。カール・セーガンに「人はなぜ似非科学にだまされるのか」という本があったな。霊ではなく、科学の仮面をかぶった似非科学、疑似科学というものもある。科学的思考の重要性を改めて感じた。

  • 幽霊が実在するとした場合にどうなるかのくだりが大真面目過ぎて、面白かった。

  • 簡潔に言うと、物質的な霊はいない。
    居るのは自分の脳が思い込んで作り出す幻影。

    想像していたのと同じだったかな。

    科学的に霊を解明しようと説明するP138辺りは滑稽で笑えた。

    一つ気になったのは、人は死んだら無になるのではなく
    「火葬されて煙になって大自然の輪廻に加わり、摂理に参加している」
    と言うこと。


    しかし著者も言う様に、科学者と言うのは何十万人といて、その数だけ科学で解明出来ていないことがある。

    だから100%霊が居ないと言い切れると言ったら、今後はまだ分からないのかもしれない。

  • 明治の千里眼事件ってこういうことだったのかと、改めて得心した。心霊現象や超能力を科学で解明し、否定しても、人はそれを求めるというのが面白いし、最も興味あるところ。人はなぜ不思議を求めるのか、というところまで科学のメスで切り込んで欲しかった。

  • 特に仏教者の方々にアンケートした部分が面白い。
    いろんな考えがあるなあ。極めてロジカルなものから、「こいつら、何も考えてないのでは?」と思える回答まで幅広い。

    僕は基本的には著者の意見に賛成だし、悪質なオカルト思想はどんどん追及していくべき他と思う。
    でも著者のような反論って、どこまで効果があるのかなあ、と疑問にも思うんだよね。

    「物理学の概念から考えて、霊がこうするにはこういう必要があるが、それはありえない」
    という論の型なんだけど、霊を心底信じる人は、「いや、何かよくわからないけれど、霊は物理法則の外側にあるものなのでそのような反論は意味がありません」と再反論可能だ。
    まあこれはトンデモな「再反論」ではあるんだけど、互いの溝は絶対に埋まらないんじゃないかなあ。

    だからと言って僕に妙案があるわけじゃないんだけど、科学者の側が何をどのように伝えるのかって、結構難しい問題だな、と改めて認識する。

  • 霊について、日本仏教界としての統一見解は無いという。宗派によってかなり大きな隔たりがある。霊に対する、統一的な「定義」な無い状態が、「霊は祟る」などという詐欺商法を闊歩させる土壌となっている。
    霊があるとすれば、そのエネルギーの源は何なのか?
    それを説明する必要がある。

  • ★人は死んでも魂は残ると信じたい


    霊体験はあるか?

    はい、あります。今までに火の玉=人魂を12回見たことがあり、あとで確認すると近くの家の人が亡くなる前日か後だったりします。高さは5、6メートルの時もあり、現れてはすぐ消えるものも小一時間ゆらゆらと漂っているものもありました。

    母は母で、今までに数えること7度も両親や親戚の人や友だちが亡くなる前に枕元に立ち現れたのを見たことがあります。そのうち4回私も立会ったことがあるというか、夜中に声を上げて大騒ぎするので何かと思っていくと、誰々さんがいま部屋の隅に青い燐光とともに現れて、悲しそうな顔をしたり笑ったりしたというのです。私が行ったときにはもう消えているらしくもちろん私には見えません。夢じゃないの?と言うと、確かに実際に目の前にいるのを見たといいはります。翌日電話があって、10年以上も音信不通だった友人が亡くなったとか、お正月に元気な顔を見てからまだ4カ月もたっていない叔父さんが昨夜身罷ったという事実を知らされます。

    つまり、人の姿が見える母と火の玉しか見えない私と違いはありますが、この実体験によって霊の存在を否定するわけにはいかない立場にいます。

    この本は、心霊写真や人魂や丑の刻参りや金縛りとか心霊治療などへの謎解きが、科学的にわかり易く書かれています。最終的には霊がある確証はないと結論付けていますが、けっして科学は万能ではないのであって、霊を信じるようとする意識や価値観まで否定せずに、いま出来る範囲で科学的に証明・解明しようとする科学者の立場が明確にされています。

    今や霊といえば悪徳霊感商法ですが、心霊詐欺商法被害を免れるための十項目の点検基準が明示されています。
    1 自発的信教意志か強制された行為か
    2 金銭を支払った側に被害感があるか
    3 除霊をしないと助からない等の霊障脅迫があったかどうか
    4 除霊等の治療行為で告げられた医学的効果があったか
    5 病院には行くな患者の自由な行動を制約する言動があったか
    6 効果がない場合、貢ぎ不足を理由に金銭の増額を要求したかどうか
    7 治療行為で詐欺的行為を働いていないか
    8 支払金額が社会常識で不当に高くないか
    9 霊能者が現代医学を無視した非科学的な独善に陥っていないか
    10 未必の故意がなかったか
    罪になる事実を積極的ではないが、不利益を認識しながら危険を承知する心理状態になかったか


    レビュー登録日 2010年07月24日
    推敲(更新)日 2012年10月02日

  •  仏教界への霊の存在や、インチキ商法へのインタビューの具体的な回答をそのまま記載していたものが多かった。まとめるのは大変だったと思う。

  •  著者の主張にはおおむね同意。
     ただ、第三章の書き方は少し過剰な感じで、読み進めるのが面倒くさいと思ってしまった。
     そして自分は霊の存在なんて全く信じていないが、霊が存在するとしてどのような状況でそれがあり得るか、ということを面白おかしく書いたものが読みたかったのだと気付いた。疑似科学を実現したフィクションになってしまうが。
     とはいえ、期待しなかった部分が興味深く読めたのは収穫だった。第二章で仏教の宗派ごとに、霊魂についてのアンケートの回答を載せているのだが、その回答が良い。宗派ごとに答えがばらばらにはなってしまうが、その霊魂についての考え方の違いが面白い。
     生きている人間のための宗教、という考え方に納得。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1940年生まれ。東京大学理科1類に入学。1962年、工学部原子力工学科第1期生、続いて、大学院修士・博士課程を修了して1969年工学博士。同年、東京大学医学部放射線健康管理学教室(文部教官助手)となり、1986年、立命館大学経済学部教授、88年、国際関係学部教授。1992年、立命館大学国際平和ミュージアムの設立とともに館長代理(館長は、故・加藤周一氏)、1995年より館長、2008年より名誉館長。2006年4月より、立命館大学特命教授・名誉教授。2011年3月に退職し、4月、Anzai Science & Peace Office(略称:ASAP)を創設、科学教育および平和創造に関する多様な活動に取り組む新たな体制をスタート。専門は、放射線防護学、平和学。
著書に、『放射線技師のための数学』『放射線技師のための物理学』(放射線取扱技術研修会)、『日本の原子力発電』(新日本出版社)、『原発と環境』(ダイヤモンド社)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『地球非核宣言』(水曜社)、『中性子爆弾と核放射線』(連合出版)、『クイズ反核・平和』『科学と非科学の間』『放射能そこが知りたい』『原発そこが知りたい』(かもがわ出版)、『「がん当たりくじ」の話─国境なき放射能汚染』(有斐閣)、『語り伝えるヒロシマ・ナガサキ』全5巻(新日本出版社、第7回学校図書館出版賞)、『語り伝える沖縄』全5巻(同、第9回学校図書館出版賞)、『語り伝える空襲』全5巻(同、第11回学校図書館出版賞)、『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞社)、『霊はあるか』(講談社)、『だます心 だまされる心』(岩波書店)、『だましの心理学』(PHP研究所)、『放射線と放射能』(ナツメ社)、『日本から発信する平和学』(法律文化社、池尾靖志氏と共編著)など多数。

「2011年 『家族で語る食卓の放射能汚染』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安斎育郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×