ゲノムサイエンス―ゲノム解読から生命システムの解明へ (ブルーバックス)
- 講談社 (2007年5月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062575546
作品紹介・あらすじ
ヒトゲノムの完全解読に成功したゲノム科学は、生命システムの解明という壮大な目標を掲げて新たなるステージに進みつつある。ゲノム解読によって、何がわかり、どんな課題が残されたのか?日本のゲノム研究を牽引してきた第一人者がヒトゲノム計画を総括するとともに、1000ドルゲノムプロジェクト、メタゲノム解析などの、新しいゲノム科学の未来を展望する。
感想・レビュー・書評
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名前は知っているが全体像がわかりにくい「ヒトゲノム」について、丹念に解説した本。
2部にわかれており、1部(1~4章)では、生化学から分子生物学の流れから、私企業と解析競争の中で、国際チームがヒトゲノムを解析しているところは非常に面白い。
2部は、ヒトゲノムの利用や今後についての話になるが、生物学の基礎知識がないためか分かりづらかった。基本的な知識がある人であれば、きっと楽しいだろうなと思ったので、興味がある人は読んでみては。 -
読み始めてからだいぶ時間たったけど、思い立って最近読了。自分の講義を文章に起こしたというだけあって、深い部分と基礎の部分のバランスが今一つと思うけど、講義内容としては興味深かったんだろうな、って感じ。
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[ 内容 ]
ヒトゲノムの完全解読に成功したゲノム科学は、生命システムの解明という壮大な目標を掲げて新たなるステージに進みつつある。
ゲノム解読によって、何がわかり、どんな課題が残されたのか?
日本のゲノム研究を牽引してきた第一人者がヒトゲノム計画を総括するとともに、1000ドルゲノムプロジェクト、メタゲノム解析などの、新しいゲノム科学の未来を展望する。
[ 目次 ]
第1部 二重らせんからヒトゲノム完全解読まで(ゲノムサイエンスの夜明け ヒトゲノム計画始動する そして、ヒトゲノム完全解読へ 浮かび上がってきたヒトゲノムの姿)
第2部 ポストシーケンスの時代(疾患遺伝子を追いつめる 転写制御の秘密に迫る ヒトの進化をたどる ヒトゲノムを超えて)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
前半は分子生物学のイントロのようでやや退屈だが、中盤以降俄然面白くなる。ヒトゲノム計画が完了して生物学が帰納的なものから演繹的なものになった、という意見はそのとおりかも。木村資生の中立説というのは、中立的な変異が集団の中に固定していく速度が一定であるということで、これを理論的な裏付けとして分子時計の概念が成り立っている。染色体では一年あたり3塩基ほどの変異が蓄積されてゆくが、これは30億塩基対の中ではごくごく一部であるため、もっと変異が蓄積しやすいミトコンドリア(エラー修正機構がないためゲノムの10倍のスピードで変わってゆく)がよく用いられる。変異には、塩基配列が置換されても同じアミノ酸をコードする同義置換(進化的には中立)なものがあり、この変異速度をKsとする。アミノ酸配列に変化を起こすような変化をKaとする。Ka/Ksが1であれば変異は中立となり、1未満であれば変異することに対して制約が、1を超えれば積極的な変異であるということになる。■1000ドルゲノム時代になれば、新生児は自分の全ゲノム配列とその使い方(マニュアル)が入ったDVDとともに自宅に帰ることになるだろう。まるで新しいコンピュータを買った時のように(NYTimes)