高校数学でわかるボルツマンの原理―熱力学と統計力学を理解しよう (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062576208

作品紹介・あらすじ

熱力学と統計力学は、重要な物理学の分野です。しかし「ちゃんと理解していない分野」の代表でもあります。定義は簡単だけれど、もうひとつよく解からないエントロピー。統計力学からエントロピーを導いたボルツマンの原理。どことなく違和感を感じていた熱力学と統計力学を、納得して理解できるように解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 熱力学について考えない日常生活が長いと、ついつい熱とは何であるかを忘れがちになる。
    毛皮のコートや羽毛布団では物質を温めることはできないし、
    統計と確率抜きに温度とは何であるかを語ることはできない。

    本書はボイル・シャルルの法則やカルノーサイクルなどを基礎に、エントロピーや熱力学の第2法則などを丁寧に解説しつつ、
    熱と統計の関連性をボース・アインシュタイン分布やフェルミ・ディラック分布を材料に紐解く。
    熱力学の教科書を書いたらこんな感じになるだろうというオーソドックスな構成であり、
    復習するには役立つが、数学の部分は省略がちで初学者には向いていないし、余談も雑で面白みに欠ける。

    悪い本ではないのだが、これ一冊で熱力学を腑に落ちるまで理解できる人は稀だろう。
    むしろ本書は十分に理解した後で読む概要本として、詳解本を探したい。

  • おもしろかった。数学力を高めてからまた読み返したい

  • 大事な定数。

  • まだ読んでいる途中だが、わかりやすくて良い。マクスウェル・ボルツマン分布が丁寧に導出されていて良かった。

  • 全部読んだ(2016/08/26)
    自分は物理はよく知らないのだが、とてもよい入門書だと思う。

    前半は熱力学、後半は統計力学の説明となっている。高校数学知識だけではきついかもしれないが、簡単な微分積分と高校レベルの物理(力学)の知識で読み進めることができる。薄い本だが内容は非常に濃く説明は丁寧でわかりやすい。また式変形が丁寧なのでついていけないことはないだろう。

    おそらく単純化のための仮定がいくつかある。また、中心極限定理の部分では、性質の説明はわかりやすかったが定理そのものの説明にはなっていないところは気になる。

    特に後半の統計力学の部分は少し駆け足になっているし、(もちろん入門書であるので)ページ数からしても内容は不足気味だが、全体を通して、統計力学という学問の面白さや偉大な物理学者たちの成果のすごさを感じ取るには十分な内容だと思う。

  • 高校数学で大学の学部レベルの物理を解説してくれるこのシリーズは、とても記述がわかりやすく、今回も最後まで読み通せました。しかし、カルノーサイクルのあたりでちょっと他に気を取られてしまい、理解が浅いまま進めてしまったため、消化不良な感じが否めませんでした。しかし、それはこちらの個人的な問題であり、クリアでわかりやすいという特徴に変わりはありません。

  • なんとなくエントロピーという言葉が気になっていてよくわからなかったのとポパーさんが自伝でボルツマンの原理は美しいと仰っていたので、数学はよくわからないのだが怖いもの見たさで読んでみた。

    偏微分や対数の積分やイタリックのe(自然対数の底)なんかも出てきて往生したけど、文系の想像力でもなんとか補えるぐらいに要領のいい説明でなんとなくわかったような気にはなれるような気がした。

    とは言ううもののやはりキッチリとはわからない。
    有名なエントロピー増大の法則は、熱いものは冷める。とか不可逆的である。とかいう意味なのかなぁと思った。

    Mahalo

  • 具体例を挙げたり数学の丁寧な解説を加えながら、易しく丁寧に熱力学と統計力学を説明していく。計算の省略がある処は実際に計算してみると良いと思う。本書の内容は主に、1章は理想気体の状態方程式、2章はカルノーサイクル(第1法則が登場)、3章はエントロピー(第2法則が登場)、4章は気体分子運動論、5章はボルツマン分布、フェルミ・ディラック分布、ボース・アインシュタイン分布、6章はボルツマンの原理。1~3章は熱力学、4~6章は統計力学。

  • 「PV=nRT が出てきて懐かし〜!」と思いながら読み始めた。

    アボガドロ数の解説の段落に
      酸素欠乏環境に入る → 呼吸中枢からあくび指令が出る → あくびによって酸素以外を取り込みさらに酸素欠乏に陥いる → 酸欠死
    って連鎖の解説があるのにビックリ。
    そっかぁ、窒素事故とか一酸化中毒等の事故現場には無闇に飛び込むと二次災害になるのねぇ。

    定積比熱と定圧比熱と気体定数の間の関係性の数式展開は読んでてちょっと感動した。 (^.^;;;)
    しかし、高校の時に状態方程式習った時は「ふ〜ん」で済ませてたのは勿体無いことした。
    多分ここら辺も習ってたんだろうなぁ...(って、歳行ってからぢゃないと気がつかんことかも

    また、エントロピー、気体分子運動論って面白いし、ボース・アインシュタイン凝縮の一例に液体ヘリウムの超流動があるのは知らなかった。

    そして、本書のタイトル「ボルツマンの原理」は「統計力学の場合の数」と「熱力学のエントロピー」の関係式であり、ボルツマンの原理を求める章での説明に「自由エネルギーの統計力学的表現」って表現が出てきて、数式変形によってその説明がなされるのは感動的。
    物理っておもしろい。

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著者プロフィール

1960年徳島県生まれ。1985年大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。理学博士。富士通研究所研究員、マックスプランク固体研究所客員研究員などを経て、1997年早稲田大学理工学部(現在は先進理工学部)助教授、2002年より同大学教授。ブルーバックスに『高校数学でわかるマクスウェル方程式』『高校数学でわかるシュレディンガー方程式』『高校数学でわかるフーリエ変換』など「高校数学でわかるシリーズ」が10タイトルあり、多くの読者に支持されている。

「2019年 『高校数学でわかる複素関数 微分からコーシー積分、留数定理まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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