質量はどのように生まれるのか―素粒子物理最大のミステリーに迫る (ブルーバックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062576802

作品紹介・あらすじ

素粒子の質量を作りだすといわれるヒッグス粒子。それが見つかれば、物質の質量の2パーセントは理解される。では残り98パーセントはどこからくるのか?そもそもヒッグス粒子とは何なのか?その鍵は真空にある。素粒子物理最大の謎に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 解った気にもなれんかった。

  • 何より語り口が魅力。読みながら抱いたイメージは縫い針。避けては通れない強敵、相対性理論と量子力学を横目に見つつ進めていく筆致がよけいに、とりあえず縫っていけばできあがる洋服を思わせた。

  • 素粒子の質量を作りだすヒッグス粒子が見つかれば、物質の質量の2パーセントは理解される。では、残り98パーセントはどこからくるのか?

  • 「なんで空は青いのだろうか?」と疑問をもって自ら調べるような人でも、「なんで綿菓子はボールより軽いのだろうか?」とは調べない。誰もが重さについてわかっている気になっていて、質量が重力を持っていることなんて教わらなければ気付くはずもないだろう。
    なぜ地球は縄もなく月を引っ張れるのか、どうやって自分の体重はわずかながらも地球を引っ張っているのか。質量がどのようにして生まれるのかが分かれば、その答えに近づけるかと思い本書を手にとったが、ますますわからなくなった。もう何度こうして素粒子物理学の壁に阻まれたことだろうか。

    クォークまではなんとか理解できた気になった次の瞬間に、『質量ゼロだったクォークが、真空中の凝縮体にぶつかることで質量を持つことになる。』と置き去りにされ、さらにそれをわからない量子色力学で説明されて、知っていたはずだった"真空"の概念さえもわからなくされる。そしてその説明にしても、定義をしっかり語られず、説明しきる前に次の話題に流れていくので、素人が読む解説本としての出来は良くない。

    素粒子物理学に明るくない自分がなんとか読み解けた部分としては、光速と質量とエネルギーの関係性については以前より一歩進めた気はするし、『素粒子は波であり粒子である』という事をわかっていたつもりなのに、ついイメージする際は粒子の形で考えていたということには気付けた。
    わかった気になったりまたわからなくなったりして楽しめるのもこの分野以外にないだろう。趣味として、惑わされながら学んでいきたい。

  • 数式を使わないでの説明は理解するのがやはり難しかった。結局主題の質量はどのようにして生まれるのかは煙に巻かれたような気がする。ただこの最先端の課題で科学者らが何をしようとしているのかは少しわかった気がする。

  • 12年夏のヒっグス(と思われる)粒子発見で興奮して、ヒッグス機構を調べようと苦戦している時に手に入れた本。質量について、全体像が見えてくる本。南部陽一郎が偉大だということも分かった。クォークの質量が生まれるメカニズム、計算シミュレーションでの質量スペクトル検証など、全く知らなかったことを分かりやすく説明してくれる。肝心のヒッグス機構だが、最後の章に簡単に説明されているが、少し物足りない。もの凄く苦労して分かるように書いてあると思う。それでも読み返しても納得できない部分もあるが、それはこれから調べていく燃料となる。

  •  発行当時、スイスでの超大型の粒子加速器「LHC」の稼動が話題になっていたためか(偶発的にブラックホールが発生する可能性もある、などと騒がれました)、帯や背表紙では「ヒッグス粒子」が宣伝文句として用いられていますが、本書の要旨は題名どおり物質(素粒子)が質量を持つに至った原因を、ノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎氏の理論を主軸としながら解説することにあり、ヒッグス粒子やヒッグス場についての言及は多くありません。

     非専門家向け解説書にしては比較的数式が容赦なく使われており、ド文系の私はそういった部分は表面だけなぞって深追いしませんでした。

     ちなみに、パウリの排他律の解説(p170)で、筆者が「私も…いくら読んでもわかった気がしなかったものだ。白状しておくと、今になっても本当にちゃんと理解できたかどうか怪しいかも知れない」と記してくれたのは大変励みになりました。専門家ですらそうなんだと思うと、とたんに難解な部分を斜め読みするのが苦でなくなりました。

     面白かったのはまさに粒子の質量獲得を解説した第3章から第6章にかけて(というか、それ以降、特に9~10章はあまり理解できませんでした)。以下、理解したと(自分では)思っていることのメモ。

    ・電子などの粒子はそれ自体磁場を生み出していることから、自転(スピン)していると考えられる。このスピンには右回りと左回りがある。
    ・この右回りと左回りのスピンをもつ粒子は、その素粒子が光速で運動しているのでない限り区別できない(カイラル対称性)。
    ・しかし、中性子・陽子・電子・ニュートリノに作用する「弱い力」はなぜか左巻き粒子のみ区別して作用する(パリティ対称性の破れ)。
    ・ということは、粒子は元来光速で運動できた(=質量を持っていなかった)のだが、何らかの理由で質量を持つに至ったと考えられる。
    ・そこで真空を考える。真空は何もない空間ではなく、エネルギーが最低レベルに落ち込んだ状態。そこでは、粒子がペアを作って空間をぎっしり埋め尽くしながら全体として均質な最低エネルギー状態を生み出すことがある(ボース・アインシュタイン凝縮)。
    ・そこに光速で(=質量を持たない)粒子が飛び込むと、粒子ペアにぶつかり次々に連鎖反応を起こし、結果として光速より速度が落ちた状態になる(=質量を獲得する)。

  • ヒッグス粒子が見つかったのが記憶に新しいですが、質量の起源について書かれた本です。

    ヒッグス粒子起源の質量は全体の2%でしかないのに、研究者が血眼になってヒッグス粒子を探していた理由も書かれていて、そこが一番興味深かった。

  • 「神の粒子」ヒッグス粒子って何なのさ、ということで何冊か読んでいたのだが、やっと詳しく書いてある本に出会えて、へーそうだったのかと思いつつ読めた。

    曰く、ゲージ対称性を破る張本人、ということで、まあ、なんとなく、そういうことだったのか、と理解はできたが、その正体については、まだ新しい粒子だか理論だかがありそうで、まだ続くんかいと思わざるを得なかった。

    300ページとそこそこボリュームはありながら、素粒子物理の幕開けから2010年の近況まで超特急で飛ばしてる感はあったが、ブルーバックスらしく?危険なところには踏み込まないで助けられた面も多々あり、なかなか良いバランスの本だなと思った。

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