山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門 (ブルーバックス)
- 講談社 (2012年1月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062577564
作品紹介・あらすじ
あたりまえのように「そこにある」山は、いつ、どのようにしてできたのか-。あなたはこの問いに正しく答えられますか?実は「山ができる理由」は古来から、地質学者たちの大きな論争のテーマでした。山の成因には、地球科学のエッセンスがぎっしりと詰まっているのです。本書を読めば、なにげなく踏んでいる大地の見え方が変わってくることでしょう。
感想・レビュー・書評
-
◯山がどうしてできるのか、というタイトルそのままに、山の生成に関しての説明がメインなのだが、今まで読んできた地学の本と比較しても、新しい知識が入ってくる感じではない。
◯ただ、プレートテクトニクスがかなり新しいもの理論であり、著者ですら大学時代に入ってきた概念という点は大変興味深く、また、プルームテクトニクスが名古屋大学発というのも面白い。地学という学問の新しさやこれからを感じさせる。
◯同じ著者の本でいえば、まだフォッサマグナの方が面白いが、自分にとっては復習とはなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本は「山」を題材にしているが,この本を読めば地球科学の基本が理解できるように仕上がっている.読み物としても,地球科学や海洋科学の入門書としても最適であろう.
それにしても本書を読んで実感したことは,「山」と一口に言ってもかくも多様な成因があるのか,ということである.私は地球科学を専門に勉強してきたが,あらためて,「山」の多様性に気づかされた.そして,「山」を理解できれば地球科学を理解できることにも気づかされた.
「山」と言えば,富士山に代表される火山を思い浮かべるのが日本人だろう.しかし,それだけではない,プレート同士の衝突によってできる「山」や密度の低い岩体が浮かび上がってできる「山」,生物がつくる「山」など,様々な山の成因がある.
本書ではそれぞれの成因ごとに「山」のでき方を解説している.そして,それぞれの章が連動しながら,全体として地球の活動が理解できるように編まれている.それは「章立て」に顕著に表れている.この本の章は,一章,二章ではなく,「準備運動」からはじまり,「一合目」「二合目」と進んでいき,最後に「十合目」に達する.まるで山登りのように「山」を理解できるのだ.そして,実は「あとがき」にすらもう一つの「山」の成因に言及しており「山」尽くしの一冊になっている.
さらに特筆すべきことがある.本書では,単に「山」の成因や地球の活動を解説しているのではなく,プレートテクトニクスをはじめとした理論が生まれた背景や研究史も披露している.また,随所に藤岡先生らしいうんちくが挟み込まれており,読んでいて楽しい.
私は藤岡先生と10年ほど前から日本海溝での調査航海などでお世話になっている.本書にも登場する蛇紋岩でできた早池峰山には一緒に登りもしたので,そのときの様子が頭に浮かび,個人的にもさらに楽しい一冊であった.
藤岡先生のこれまでの著作には,(たぶん)すべて目を通しているつもりだが,その中でも本書が最も良いと思う.
本書の図版(線画)はすべて新しく描き起こされているようで,きれいで統一感もある.もう少し図の説明が詳しく書かれていると,より一層わかりやすくなるのだろう.
次回作のためにさらにリクエストしておくと,ぜひ,藤岡先生の口調そのままの本を読んでみたいと思う.「ドヒャー」とか「So what?」とかを文字で見てみたい.まあ,これは個人的な欲求である. -
1078
江戸時代に富士山を描いた安藤広重や谷文晁 らは、富士山の両側の 稜線 がなす角度を 85 度くらいの、直角よりやや小さい鋭角で表現しています。しかし近代に入ってから太宰治は「富嶽百景」という小説で、実際は鈍角で、およそ117~124度であると書いています。数学者にとっても富士山の稜線は関心の的で、その曲線を一つの方程式で表すことに熱中した人は少なくなかったようです。
日本列島は四方を海に囲まれていますが、どこにいても必ず山が見えます。だから私たちは「山がそこにある」ことを空気のように当たり前に考えています。しかし、山があることは決して当たり前のことではありません。この世界には山がまったくない広大な平地もあり、実物の山を見ないまま一生を終える人も少なくないのです。もしそんな場所に住む人が山と出会ったらどれだけ驚くか、想像に難くありません。それは熱帯に住む人が雪を見たとき、山の中に住む人が大海原を見たときに勝るとも劣らない感動でしょう。そして次には、必ずこう思うでしょう。 「なぜ大地がこんなに高く隆起したのだろう。
1年間、四季折々の変化のみならず、山は100年、1000年……100万年というオーダーで見れば劇的に変化しています。その動きをとらえなくては、山を見ることになりません。 山について考えることは学問では地球科学という分野の仕事になりますが、このように対象を空間的・時間的に視点を変えて見ることは、地球科学に限らず、あらゆる自然科学に求められる基本的な姿勢です。
しかし、その景観に「美しい」「心和む」「厳しい」「荒涼とした」といった印象の違いをもたらすのは、景観の中心をなす山ではないでしょうか。 日本の国土全体を地形別に見ると、山地 55%、火山地6%、丘陵 11%、山麓・火山麓4%、台地 11%、低地 13%です。火山地や山麓などを含めると「山」と称される土地は全体の 65%にもなります。このように山なくしては考えられない日本の景観は、明治 27 年に志賀重昂 が著した『日本風景論』によって、初めてまとまった形で世の中に紹介されました。志賀は日本の風景がこれほどまでに美しいのは、日本の山々が多様な種類の岩石からできていて、それぞれが美しい景観をなしているからであろうと述べています。
実はダーウィン自身、その生涯に地質学に関する本を3冊書いています。ダーウィンは生物学者じゃないのか? と思われるでしょうが、彼は若い頃には博物学を修めていました。逆に『種の起源』や『人類の起源』が生まれたのは、彼に地質学あるいは博物学に関する深い 造詣 があったからで、それがなければこれらの著作、というより進化論という考え方そのものが生まれてこなかったと思われます。ダーウィンが書いた最初の地質学の本は『サンゴ礁の構造と分布』でした。2冊目は「火山島の地質学的な観察」の話で、「ビーグル号」で訪れたガラパゴス島を中心にケープ・ベルデ島やアセンション島の火山の形態や地形、火山岩の記載をしています。最後は「南米の地質」についての本です。これは現在でも十分に価値のある内容です。
彼が1944年に世に出した有名な地球科学の教科書『一般地質学』(Principles of physical geology)には、マントルが対流する可能性が示され、さらにはウェーゲナーの大陸移動説が紹介されています。
いま地球上にある大陸は、超大陸が分裂と集合を繰り返し、地球の表面を何周も巡って現在の位置にモザイクの1つのピースとしてはめ込まれた寄木細工です。日本列島も、より規模が小さな寄木細工です。
日本の国歌である「君が代」には「さざれ石」という言葉が出てきます。さざれ石とは 礫岩、つまり岩や石のかけらが寄せ集まった岩のことです(図 10‐3)。日本列島は大きく見れば一つの礫岩なので(図 10‐4)、この歌は日本のことをよく表現しているといえます。そしてその考え方は大陸、ひいては地球のスケールにまで広げても同じなのではないかと思われます。大陸も、地球も、より大きな規模で見れば分裂と集合を繰り返す寄せ集めの「さざれ石」にすぎないのです。 -
3.5
2023.07.09 -
【図書館の電子書籍はこちらから→】 https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000028836
-
詳しいが難しい。
-
ふむ
-
山ができた理由がわかりやすく記載されている。
いろいろあるけど、他の本よりはわかりやすいというだけで、めちゃめちゃ簡単というわけでは無い。
知らない単語なども多いので、ゆっくり読み進めていく必要があるが、読み進めていけばだんだんと楽しくなっていく。 -
プレートテクトニクスとプルームテクトニクスで山ができる理由が説明できる。
-
[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
この本のタイトルは山であるが、この本ではプレートに関してから話を始めるので山の誕生から知ることができ、エレベストや富士山の誕生は中々に面白かった。
また、地球が赤道上が最も長いから地球の中心から山の高さを考えるとエベレストよりもエクアドルのチンボラソ山の方が高くなるということは面白かった。
最後に地学の発展には様々な説が誕生し、否定されてきたことも面白かったよ。