食欲の科学 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577892

作品紹介・あらすじ

脳は体重を一定に保つべく、食欲を巧妙にコントロールしている。しかし、ヒトはときに自分の食欲を制御することができなくなってしまう。食欲を「魔物」に変えるのもまた、脳なのだ。脳内で食欲がつくり出されるしくみを脳生理学のトップランナーが解き明かし、「ヒトの食欲」のメカニズムに迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ファスティングを始めて1年。きっかけは、昨年9月に盲腸の切除手術でちょっとした縫合ミスがあり、炎症したのがきっかけで3週間入院し、体重が10kg減少したことから。それを健康に維持して、入院前についていた贅肉を付けないように軽い筋トレと食事制限から始めた。
     16時間ダイエットは慣れても常に空腹を感じる。
    この空腹がサーチュインという酵素の活性化を促しているサインだということ。
     こういう経験が、この本にあるような生体学の理論と組み合わさると理解が定着し、自分の体と会話するのによく役立つ。流行や一部の人の話しに飲み込まれることなく納得して試みていることを継続できる。

  • メインである脳生理学の話は、私にはややこしくて、しばしば脱落しました。でも乱暴に言えば「意志で食欲をコントロール出来ていると思っているならそれは気のせい」というショッキングな結論に納得できたので、それでOKかなと。
    しかし、こんなにややこしいと感じるのに苦しくなく読み進められたのは不思議といえば不思議。
    それを通っての後半は身近な話になり、とても興味深く読めました。別腹のしくみなど「なるほど!」と解って嬉しくなってしまった。
    美味しいものを、味わいながらゆっくり楽しく食べよう。目新しくもない提案ですが、それがいかに根本的で現代において大切なことなのか、改めて知りました。

  • 櫻井先生といえば、「オレキシン」という覚醒の維持に関わる神経ペプチド(ナルコレプシーという睡眠障害にも関係する)の研究者として有名な方である。私は前著「睡眠の科学」で先生のことを知り、本書も読むことにした。
    睡眠から食行動の研究者に転向されたのかと思ったが、そうではなかった。オレキシンという物質は食欲にも大きく影響を与えおり、そもそも摂食行動を亢進させる物質として最初に発見されたのであった。素人的には「睡眠・覚醒」と「摂食行動」を分けて考えてしまいがちであるが、オレキシン作動性ニューロンを介して密接に繋がっていることが改めてわかった。
    また、このニューロンは「行動選択」や「動機付け」に関わる『報酬系』にもアクセスすることができるらしい。人間にとって1番の「報酬」は食べ物という示唆は腑に落ちた。
    日常的に食事をした後に眠くなったり、逆に食べないと覚醒してイライラしたりすることは誰しも経験するが、本書を読んでその理由が科学的に理解できた。

  • 食欲を精密にコントロールする脳は、ときに食欲を「魔物」に変える。絶妙で皮肉な食欲のメカニズムをわかりやすく解き明かす!

  • 体重を一定に保つ機能があることが驚きだった。細胞に関する説明が頭に入ってこなかったので、何回も読み直す必要があると思った。

  • 内容はタイトルの通りで、色んなホルモン等についての解説がなされるのだけど、食欲が生じるメカニズムはとても複雑で現代科学をもってしても部分的にしか説明ができないことがよく分かる本。笑
    ・体重の恒常性は精密なメカニズム
    ・女性が生殖活動を維持するには、最低でも12%程度の体脂肪が必要
    ・水分を摂ることにより胃が進展すると、食欲を高めるグレリンの分泌が減るので、食欲を抑制することが可能
    ・野生動物は空腹になると餌を探す行動をするために覚醒レベルを上げ、意識をクリアにする。餌を探す行為は危険なので

  • 仕事がら、生活習慣病の治療に関するあれこれが多いため、その原因の1つである肥満をもたらす”食欲”に関する科学的な研究をクイックに把握したいと思いセレクトした講談社ブルーバックスシリーズの1冊。

    様々な欲望の中でも”食欲”に関して、ここまで膨大な研究労力が費やされていた(もちろん、まだそのすべてが解明できているわけではないにせよ)という点に率直に驚いたのが率直な感想。
    食欲に関連するホルモンであるレプチンを発見するまでの40年にも渡る先行研究の軌跡や、脳の働きを分析することで食欲発生のメカニズムに働きかける研究など、長年の科学研究の成果をコンパクトに知ることができた。

  • Kindleとauブックパス重複orz

  • おそらく自分の勉強不足も大きく関連していると思うが、かなりの科学に関する専門用語が多く一筋縄では読めなかった。時間をかけて読んでいけば、所々図解などもあるので脳の働きと人間の食欲について体系的な理解を得ることが可能だと思う。
    現在の食欲に関する通説に対し、それを根本から覆すような論はこの本の中では多くは見られなかったので食欲と脳に関して大枠で学びたいと言うよりは、専門的なところまで深く知りたいと言う知的好奇心のある方にオススメ。

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著者プロフィール

1964年東京生まれ。医師、医学博士。筑波大学医学医療系/国際統合睡眠医科学研究機構・教授。1998年、覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見。睡眠・覚醒機構や摂食行動の制御機構、情動の制御機構解明の研究に携わる。
受賞歴:第11回つくば奨励賞、第14回安藤百福賞大賞、第65回中日文化賞、平成二十五年度文部科学大臣表彰科学技術賞、第2回塩野賞、第32回つくば賞。
おもな著書:『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」』『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』『睡眠障害のなぞを解く「眠りのしくみ」から「眠るスキル」まで』(以上、講談社)、『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』(山と渓谷社)、 『〈眠り〉をめぐるミステリー 睡眠の不思議から脳を読み解く』(NHK出版)など。

「2022年 『睡眠の大研究 しくみと役割をさぐろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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