天体衝突 (ブルーバックス)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578622

作品紹介・あらすじ

1万度を超える蒸気雲、マグニチュード11以上の地震、300mの津波、酸性雨、そして「衝突の冬」が恐竜を滅ぼした。
 6550万年前、直径10~15kmの小惑星が、地表に対して約30度で、南南東の方向から地球に衝突した。衝突速度は秒速約20kmと推定されている。衝突地点周辺では時速1000kmを超える暴風が吹き、衝突の瞬間に発生する蒸気雲は1万度を超えた。この衝撃によって引き起こされた地震はマグニチュード11以上と推定され、300mに達する津波が起こった。巻き上げられた塵が太陽光を遮り、「衝撃の冬」が始まった。

 地球と生命。どちらも、日々起こる小さな変化の、長い間の積み重ねによって進化してきたと考えられてきた。これまでは、その方が「科学的」に思われたからだ。しかし、現実はまったく違っていた。
 地球と生命は、「天体衝突」という突発的な大事件によって、劇的に変化してきたことが分かったのだ。 恐竜の絶滅も、地球が何度も経験してきた天体衝突による大絶滅の一つに過ぎない。
 そして、今後も大きな天体衝突が、十分起こりうると考えられている。

感想・レビュー・書評

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  • 斉一説から激変説へ科学の視点が変わったという。
    個人的に目からうろこが落ちる思い。

  • 恐竜絶滅は斉一説から惑星衝突へ

  • 地球や生命の進化史は、天体衝突の研究で斉一説から激変説へ大きくシフトした。6550万年前の小惑星の衝突によって、哺乳類の時代が始まった。

  • 隕石衝突とは一体どのような現象で,これまで地球と生命の歴史に何をもたらしてきたか。そして科学はその謎をどのように解き明かしてきたのか。本書は豊富なデータに基づいてこれらの問いに答えつつ,斉一説→激変説という地球史・生命史のパラダイム転換についても論じている。科学に少しでも興味のある人なら,刺激的な読書になるはずだ。
    13年2月,ロシアのチェリャビンスクに落ちた隕石は,多くの映像とデータを残した。記憶に新しいこの事象を皮切りに,ツングースカ大爆発やクレーターの科学など興味深い話が続く。クレーターの成因は天体の衝突だという説が確証されたのが比較的最近(アポロ計画)というのは意外だった。以前は,隕石が斜めに入射するのにクレーターが円になるのは辻褄が合わないと考えられていたという。今では隕石衝突は爆発現象であることが分かっており,完全に説明がつくようになっている。このあたりの物理についても細かく解説されていて,納得感が高かった。

  • 地球の歴史の考え方がここ50年で大きく変化したことを詳細に解説している好著だ.小生がこの激変説をある教授から実際に聞いて興味をもったのは、1990年の半ばだったと記憶している.従って、第6章から第8章で述べられた科学者たちの活動は非常に読んできて面白かった.ただ、天体衝突が実際におこる確率は小さいにせよ、危機感は持っておく必要があると思っている.

  • 実は昨年ロシアであった天体衝突をそれほど一大事だとは思っていなかった。テレビをあまり見ないので、どれくらい取り上げられていたのかも知らない。しかし、本書を読んで、よくよく考えてみると、これは相当ショッキングな事件だったと言えるだろう。この本を読んでいる最中は、ついつい空を見上げたりして、ちょっと気楽に日々を過ごせなくなっていた。もっとも、読み終わるとまた日常にもどっているのだけれど。それから、恐竜絶滅が巨大隕石の衝突が原因だなどと普通に毎年授業で言っていたが、どうやらこの説が確定したのは本当につい最近のことのようだ。ということは自分が小中学生のころにはそんなことは教わっていなかったはず。いつの段階で、自分はそのことを知ったのか。本を読んでか、テレビで見てか、今となっては定かではない。まあ、この説がひっくり返るということはもうなさそうなので、ウソをつき続けてきたということにはならなさそうでホッとした。それにしても、空に太陽よりも明るい天体が見えるとか、見たい気もするけれど、よく考えると恐ろしい。交通事故にあう方がよほど率は高いのだろうけれど。

  • チェリャビンスク隕石の章はよくまとまっていて読みやすい。その後の叙述は、説明が専門的に過ぎたりして目が滑る部分がある。激変説は割と一般に受け入れられていると思うのだが。

  • ★2014年7月5日読了『天体衝突』松井孝典著 評価B+
    2010年にようやく決着した現代の神学的論争である6550万年前の恐竜をはじめとする生物の絶滅は、直径10KM程の小天体の衝突により引き起こされた突発的な環境変化によるものだった。という天体衝突の論争とその論拠、そしてこれまでの歴史的経緯を解説した本である。
    今になって考えれば、至極当然と思える学説も、それらを否定し続けた斉一説(地球や生物の進化は長い時間をかけて、ゆっくりと変化するという漸進説)が長い間有力とされていたことさえ不思議と思えてしまう。

    科学におけるパラダイムシフトとはいまだ起こりえるものであり、だからこそ世間の常識というのは、疑わなければいけないと思わざるを得ません。

    それにしても、2013年2月のロシア・チェリャビンスクの隕石事件(大きさ20M)を見ても、映画のように、いつ大隕石が落下して、地球環境が激変してもおかしくはない。

    中南米ユカタン半島のチチュルブ・クレーターは、恐竜絶滅を引き起こした天体衝突の証拠と考えられており、1KMサイズの隕石落下なら、100万年に1度、100Mサイズなら、1000年に一度。50M サイズなら100年に一度の確率だそうである。
    著者は、特別読者の不安を煽ることもなく、淡々と学者としての見解を述べており、だからどうこうしようということもなく、冷静に長い宇宙時間の中での、たった一瞬の地球上の生物の営みを分析している。それゆえに、余計に説得力があり、事実として受け入れるしかない卑小な存在である人類を考えさせられる。

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著者プロフィール

1946年静岡県生まれ。
1972年東京大学博士課程修了。
複雑理工学、地球惑星科学専攻。
現在、東京大学大学院教授。
著書 『宇宙人としての生き方』
『お父さんと行く地球大冒険』(以上岩波書店)
『惑星科学入門』(講談社)
『一万年目の「人間圏」』(ワック)
『地球・宇宙・そして人間』(徳間書店)
『宇宙誌』(徳間書店)など多数。
テレビ出演・雑誌等で活躍中。

「2005年 『「人間圏」の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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