- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062578936
作品紹介・あらすじ
「逆問題」とは、「結果から原因を推定する」数学の一分野のことです。古典物理学で説明不可能な現象が顕在化し、その限界が意識され始めた19世紀末ごろから、観測結果に基づいて現象の原因を決定するという、逆問題の研究が始まり、大きな数学の研究分野に成長した。
これに対して、「与えられた原因から起こり得るべき結果を予想する」のが、通常の問題で「順問題」と言います。
例えば、静かな水面に石を投げ入れるとき、その石の質量や形状、速度などの情報から水面に生じる波紋の様子を予測するのが「順問題」で、逆に、水面に生じた波紋のデータから投げ入れた石の質量や形状、速度を割り出す問題が「逆問題」です。
この「逆問題」の考え方は、応用数学の中で、現在最も注目され利用されている分野です。X線の断層撮影(CT)や非破壊検査、不鮮明な画像の復元、地震波による地質構造の解析などは、すべて「逆問題」の応用分野です。このように、「逆問題」は数学者にとっての最もホットな分野というだけでなく、工学研究者や学生にとってもたいへん重要な考え方です。
本書では、「プランクのエネルギー量子の発見」「恐竜絶滅の謎」「海洋循環」などの興味深い実例を取り上げて、「逆問題」の考え方解説します。
感想・レビュー・書評
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通常の問題(順問題)は、原因から何らかの法則に基づいて結果を推測するのに対し、逆問題は、現象の原因を観測結果から推測する。本書は、まず逆問題がどのようなものであるかを述べ、実際に、科学史の中で逆問題的な考え方がどのように用いられたかを紹介している。
個人的には6章、7章がとても興味深かった。連立1次方程式は、観測誤差など初期値に対する鋭敏性を示すが、現実には「真の値」がある筈だという考え方からすれば、そのように解の値が大きく変化してしまうというのは困った状況である。そこでどうするのか。キーワードだけメモしておくと、最小2乗解、特異値分解、チホノフ正則化解など。
あまり本筋とは関係のない話(雑談)がちょいちょい入るが、よく言えば大学の講義っぽい、悪く言えば鬱陶しい?
1 逆問題とはなにか
2 史上最大の逆問題
3 振動の逆問題
4 プランクのエネルギー量子発見
5 海洋循環逆問題
6 逆問題としての連立1次方程式
7 逆問題のジレンマ
8 量子散乱の逆問題詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
19世紀末あたりになってようやく、結果から原因を探る逆問題の発想がでてきたのは興味深い。先人たちの発想を丁寧に説明する良書。
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なんか難しい
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なんだか読みにくい。具体的な事例を用いての解説なのだが。その事例の知識がないと辛い。入門書として概要を知りたかったが自分には合わず。
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読み物として非常に面白かった。
ブルーバックスの中でもヘビーな部類なのは間違いないので、気軽にサクッと読める感じではなかったが。。
自分の研究テーマが逆問題的であることを改めて認識でき、先人たちの努力が窺い知れる良書。
しばらくしたらまた読みたい -
扱ってるトピック自体は興味深いんだが、そこかしこに散りばめられている言葉遊びが読んでてイライラする。 導入の第一章で挫折した。
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C0241
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「逆問題」とは、「結果から原因を推定する」数学の一分野。「恐竜絶滅の謎」「海洋循環」などの興味深い実例から、「逆問題」の考え方を解説。
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5次元空間に6次元の平面を置くことになってしまうのでは?
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物理の話。何が逆問題なのかよくわからかなかった。