夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か 世界をリードする日本の科学技術 (ブルーバックス)

制作 : 光化学協会 
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579803

感想・レビュー・書評

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  • 実用化に成功すれば、半永久的にクリーンエネルギーが得られる夢の技術である「人工光合成」につき、その理論と実現に向けた現在の状況等をわかりやすく記した本。
    とはいっても、バリバリ文系の私にはまだまだ難しく感じた。
    現時点では日本がかろうじて実用化の実現に先んじているようだが、一日も早く実用化レベルにこぎつけて、人工光合成については日本がパイオニアとなり、世界のエネルギー問題解決の貢献者となるよう、切に祈る次第。

  • ブクログ献本企画でいただきました。
    「人工光合成」という言葉に何のイメージもわかなかったズブの素人ですが、
    植物の光合成のように、大気中の二酸化炭素と水に太陽光を当てて酸素と炭水化物ができたら、環境問題とエネルギー問題を一気に解決する、それは確かに「夢の新エネルギー」ですよね!とワクワクしながら読み始めました。

    高校で生物を選択せず、人工光合成どころか植物の光合成の仕組みも覚束なくて挫折しそうになりながらもなんとか読了しました。

    私が思っていたのと違って、植物が出す酸素は二酸化炭素由来ではなくて水から電子を引き抜いて出来たものであること。
    植物の中には太陽光というとても弱いエネルギーをうまく集めて水から電子を引き抜く複雑で良く出来た仕組みがあること。(光アンテナ)
    上記の複雑さ故に、人工でその仕組をそのまま真似するのは大変難しいこと。(光子束密度問題)

    人工光合成へは3つの技術的アプローチがある。
    生物学的アプローチーーバイオテクノロジーで改良したシアノバクテリアを利用する
    色素分子・金属錯体触媒によるアプローチーー植物の光アンテナをお手本にする
    半導体触媒によるアプローチーーこれ難しくてあまり理解出来てないのですが、どうも一番有望らしい

    個人的には終章の「人工光合成の展開における重要な視点」がとても素敵で、私のように難しくてよくわからない人もここだけは読むことをおすすめします。
    人工光合成の実用化は2050年を目標年と定めているそうなので、長生きしてぜひ見届けてみたいと思いました。

  • 人口光合成という言葉は知っていてが単純に植物のプロセスを人工的に行うものだと思っていたが違っていた。

    生物学からからのアプローチの他にも色素分子触媒、金属錯体触媒や半導体光触媒と言ったアプローチが研究されていることをしれた。また、それぞれのメカニズムや課題など説明されていて概念は分かりやすかった。(化学式は把握できないが、例えで説明されていてる。)

    また、人口光合成を使っても投入エネルギーでカーボンプラスになったら意味がないと書かれていて、当たり前の事かも知れないが、手段を目的化しないためにも持っておくべき大事な視点だなと思った。

  • 光触媒を用いた人工光合成は太陽エネルギーと水から取出した水素と工場等からの副産物である二酸化炭素を原料とし、最終的にプラスチック原料を造り出すという壮大なストーリーに感動した。植物の光合成における明反応と暗反応の仕組みと類似しており興味深い。

  • (多分高校の授業でやったはずの)酸化と還元の定義から始まり、自然の植物が行なっている光合成の仕組みから、人工光合成の起点となる光触媒の理論まで、端折ることなく丁寧に解説されている。

    面白いのは人工光合成で得られる、燃焼させても水しか発生させない理想のエネルギー源であるはずの水素が、単純に化石燃料の代替物とは見られていないこと。すでに化石燃料が普及した現代では、水素利用のためのインフラ再投資に莫大な費用がかかるため、まずはエチレンやプロピレンなどの化学原料の生成に利用するのが現実的だという。考えてみればエネルギー源はあらゆる産業のプラットフォームなので安ければ安いほど良く、エネルギー供給それ自体をビジネスにした場合採算が取れないのは当たり前だ。かてて加えて、人工光合成の太陽エネルギーからの変換効率は未だ数%。ゼロコスト社会の到来をややユーフォリックに予言する本が売れているが、科学技術の進歩がいくら急だとはいえ、現実にはフリーエネルギー社会が実現するのはかなり先のことになりそうだ。

    本書を読んで勇気付けられるのは、この分野での日本の基礎・技術研究の貢献の度合いが相当に高いということ。是非このままの位置をキープしてもらいたいと思う。

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