日常生活のなかの禅 (講談社選書メチエ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062582117

感想・レビュー・書評

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  •  南直哉さんって、なんか誰かに似ていると思っていましたが、大西巨人さんに似ているような気がします。

     とても先鋭で、理屈ぽくって、ものすごい量の思索を積み上げる。けれども、いざ「兵隊になれ」といわれれば、その膨大な思索をかんたんに投げ捨てる。そんな感じがしております。

     南さんは釈迦(ゴータマ・シッダルタ)さんと道元禅師が似ているとおっしゃるが、私はそれには違和感を覚えております。
    道元禅師かなりひねくれてるというか、めんどくさい男というイメージです。
    まあまだ正法眼蔵を途中までしかよんでいませんのですが。

    p145で喝破してあるとおり、ゴータマ・シッダルタさんの教説は、「大切に慈しまれ、養育された」者の考え方だ
    と私も思います。

    仏教の長い歴史のなかで、これってポイントではなかろうかっと私は思ってます。

    仏教とは離れますが;

    私は親のようにならない [改訂版]:嗜癖問題とその子どもたちへの影響
    著者 : クラウディア・ブラック 斎藤学
    にかいてあったと思うのですけど、たとえ親御さんから十分な愛情をもらえなくても、なにかしら身近な他人(親戚近所の方先生とか)に愛情深く接してもらえた経験のある人は、だいぶ生きる苦しみが緩和されるそうなので。その辺がヒントになるのではと感じています。

  • 自己とは何かを仏教的な解釈で論じていく。
    答えなき問いである「生きる意味」を問い続けることが禅的な生き方である、としている。
    信仰や信心は神仏の存在を考えることではなく、「生きるべきだ」という根拠なき決断こそが本領だと。

    著者の他の著書と同様に、展開によどみがないため、理解しやすい。

  • 曹洞宗の僧侶である著者が、ラディカルな生き方の教えとしての禅の意義について論じている本です。

    タイトルは「日常生活のなかの禅」となっていますが、著者は生活そのものについての問いを深めることなく、禅を実用的に生かそうとする心構えを批判しています。「私が思うに、焦点をあてるべきは、「宗教」である以前に、「信じる」行為である。それは自分にとって、どのような行為なのか。それは必要なのか、どうして必要なのか。こうした反省もなく、「信じる」こと抜きで宗教を役に立てようというのは、能書きだけ読んで薬を飲んだことにするのと同じで、所詮無意味だろう」と著者はいいます。

    そのうえで著者は、欲望とはなにか、自己とはなにかという問いを、道元をはじめとする禅の祖師たちのことばを解説しつつ掘り下げ、生活そのものを禅の実践とするような生き方を論じています。

    すこし引っかかったのは、鈴木大拙の思想について、悟りを特殊な経験と解釈する立場だと著者はいい、それを批判している点です。大拙の禅理解が実証的な仏教学の観点からは問題を含んでいることはたしかでしょうが、禅の心境的解釈を批判していたのも大拙であり、著者自身の説く禅の立場とそれほどへだたりがあるようには思えませんでした。

  • 南直哉師の初期論考を連読。『禅問答』は対話形式でしたが、こちらはモノローグでの仏教と曹洞宗の理解を深める内容で、時期が違っても同じく論じる一貫性に感服します。

  • ずいぶん放置してるなぁ。再開したいけど、他の本に割り込まれてしまう。
    --
    読了。仏教ということではなく読んだらいいと思います。

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著者プロフィール

1958年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、大手百貨店に勤務。1984年、曹洞宗で出家得度、同年、大本山永平寺に入山。以後、約20年の修行生活を送る。2003年に下山。現在、福井県霊泉寺住職、青森県恐山菩提寺院代。著書に、『語る禅僧』(ちくま文庫)、『日常生活のなかの禅』(講談社選書メチエ)、『「問い」から始まる仏教――私を探る自己との対話』(佼成出版社)、『老師と少年』(新潮文庫)、『『正法眼蔵』を読む――存在するとはどういうことか』(講談社選書メチエ)、『出家の覚悟――日本を救う仏教からのアプローチ』(スマラサーラ氏との共著、サンガ選書)、『人は死ぬから生きられる――脳科学者と禅僧の問答』(茂木健一郎氏との共著、新潮新書)など多数。

「2023年 『賭ける仏教 出家の本懐を問う6つの対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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