人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ)

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著者 : 中沢新一
  • 講談社 (2002年1月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062582315

人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ)の感想・レビュー・書評

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  • 面白い・・・二日で読んでしまった。

    ただし、注意しなければいけない。実際に存在する神話を題材としているが、学説というわけではない。学術的な裏付けのあるハナシではないのである。レヴィ=ストロースや南方熊楠などの研究に基づいてはいるが、この話は中沢新一という思想家の、あくまで一つの、世界の捉え方であると、それだけを心の片隅に置いて読み進めれば問題はない。

    僕自身、これまであれこれと考えてきた「人間の根源は何か」とい問いに答えてくれそうな気がして、中沢新一を読み始めたのである。このシリーズはまだ4冊続くが、読み終わるころにはきっと、自分の中に新しい地平が開けていそうに思う。

    なお、芸術人類学研究所のHPの「芸術人類学とは」という文章だけでも読んでおくと、中沢新一の言わんとするところがより良く分かるだろう。

  • 「人類最古の哲学」である神話のお話。
    世界のなりたち、その中の自然、人間。それらの本質に関する抽象的思考を哲学とした場合、数万年前からの旧石器時代から哲学はあり、根本的な思考法やその道具立ては変わってない、というカウンターパンチは利いた。

    動物や植物など自然界に関する広範な博物学的知識をもってして、その感触や視覚や行動特性などの感覚を項として論理的に世界を構築する「感覚の論理」。
    神話を作っているものはこの分子的構造で、現代の自然科学の原子的構造とは違うけれど、作り方自体は同じなのだと。

    世界中に拡散するシンデレラの物語を題材に、その分子的項が一部変形すると全体がその論理に沿って変化する仕方を、世界中のバリエーションをもとに検証する。
    旧石器時代になぜしいたげられた汚らしい女の子が報われる話が出てきたのかは言及されないから、イマイチこの題材が何を意図して選ばれてるのかわからないけど、単に世界中にバリエーションがあるからってだけなのかしら。
    こういう、莫大な知識に基づく華麗な論理は好きだ。
    神話好きが高じたロマンティシズムのきらいもなくはないが、中沢新一は要するに頭が良くて、言語センスがすごい。

  • 中沢新一 「カイエソバージュ1」神話のもつ哲学性についての講義録。哲学性とは 宇宙、自然、人間存在の本質を問うこと。神話=人類最古の哲学という命題のため、シンデレラを主な素材として扱っている。わかりやすい

    結論「神話は 人間に 自分にふさわしい つつましい場所を 宇宙の中で与えようとした哲学」

    神話は どのよう人生や宇宙の位置を思考させたか
    →神話は 感覚的で具体的な対立軸を用いる
    →熱い/冷たい など対立する感覚事実を 論理の操作に利用して、人生や宇宙の意味を哲学的に思考
    →対立するものの仲介役が重要

    神話の役割
    *失われた つながりを回復する
    *不均衡な関係の対称性を戻す
    *現実の世界では両立不可能なもの共生

    日本文化と神話的思考
    *日本のバーチャル文化=神話的思考の様式だけを温存(神話の哲学的な内容が捨てられた様式のみ)

  • 大昔にニューアカなどといわれていたときに何冊か読んだことのある中沢新一であるが、最近どうしているのかな、とふと思い、本を検索してみれば、すごくご活躍のご様子。

    ということで、ここ数年の著書で、評判のようである本書を読んでみる。

    講義録であるため、すごく分かりやすいし、講演録とは違って、一つのテーマをさまざまな角度から丁寧に論じていて、面白い。こういうスタイルの本は、もっとあっても良いと思う。

    内容的には、文化人類学入門というか、神話学入門というところかな。シンデレラやかぐや姫など、だれでも知っている話をもとに、その物語の様々な国のヴァージョンを比較していくことで、神話の構造、そしてその哲学を浮上させていく。

    という方法論は、いうまでもなくレヴィ=ストロースのものだが、中沢氏がレヴィ=ストロースに対して、かくもストレートなシンパシーを持っていることには、少し驚いた。共感を抱きながらも、もう少し複雑な関係ではないか、と勝手に想像していたので。。。

    昔、レヴィ=ストロースをはじめとする文化人類学に興味をもっていろいろ読んでいた事があったのだけど、久しぶりにそのときの知的な高揚感を体験させていただいた。

    にも関わらず、満足度が星5つでないのは、この講義録はあと4冊あって、全部そろえると8000円くらいしてしまうこと。1冊200ページくらいの分量だったら、少し本を大きくして2分冊にするとか、新書版にするとか、して、もう少し、お求めやすい価格にしてほしいと思った。

  • 中沢新一による「カイエ・ソバージュ」、最初の一冊。文化人類学の基礎である神話研究のレポート。公演を書籍化したものなので、語り口調で非常に読みやすかった。純粋な理論的立場から考えると一見トンデモ理論に見えてしまう神話研究ですが、人間の潜在意識の糸を手繰り寄せながら、人間と文化を紡ぎ出そうとしています。理性を絶対視した啓蒙主義の限界から、人間の思考の無意識の側面を理論家していったものが文化人類学であり、現在の社会学の基礎にもなっている。こういうものは人間の活動の上澄なのか、骨組みなのかと考えてしまう。完全にしっくり来ているわけではないが、知ることの必要性は感じる。

    17.3.24

  • 中沢新一の大学での講義録カイエ・ソバージュ第一巻。受講生誰もが咀嚼できるよう丁寧に易しく講義する姿勢がいい。まあ、この巻は神話学入門のための序章で、巻を重ねるごとに難解度を増すのだろう。世界各地に分布するシンデレラ物語のバリエーションを例に、奥底に秘められた神話哲学を暴き出す流れは刺激的で大いに引き込まれた。未知の領域を切り開くというより、元来人間に備わっている無意識の感覚を刺激し覚醒を促してくる。しかもソフトな語り口で。実際に受講していたらぽぉ~っとして半分も頭に入らなかったかも。なんてことも思ったり。

  • 中沢新一の著書は読み始めてからもう20年近くなるが、どの著書も「よくわかった」というものはなかった。というか、「よくわからん」わけで、それが良いのだろうと思いつつ、わからんなりにおいしいところはその都度いただきつつで今日に至っている。このカイエ・ソバージュシリーズは学生にたいする講義の内容がそのまま本になったものだし、少しは入門的で分かりやすいのかなと期待して買って読んだ。その結果、…ま、言わんとすることはわかった。でも、カチッとおさまったり、スパッと切れたり、スッと腑に落ちたりということはやはりないんだな、これが。そういう持ち味なんだな。全てを割り切り、全てを分かった気になる今の世の中が捕獲できず、取り残してきたものを相手にしようとするとこうなるものなのかね。

  • 人類最古の哲学は「神話」である。
    シンデレラは、もっともポピュラーなペロー版、「本当は怖い」のグリム版、最古の中国版を経て、本来の神話がネイティブアメリカンによって再生される。さらにオイディプス神話ともつながるという、壮大なSFを読んでいるよう。
    そして最後に神話を様式だけ、情報として消化することに対して警告を放つ。
    都市、情報空間の中だけでジブリ映画のような神話様式を消費する私たちは自然と断絶し、自然からの恩恵を受けられなくなるのだ。
    かぐや姫の子安貝から「燕石」の普遍的な意味。
    ピタゴラス派の掟から「ソラ豆」のもつ二元性。

  • 神話は、具体的な世界との関わりの中で生まれれる。

    この本の中で紹介されるいくつかの神話を読んだとき、たしかな感動があった。
    なぜ僕は今、神話に感動するのか。
    きっと、僕が、具体的な世界に目覚めはじめているからだろう。
    これまで浸ってきた、観念の世界から脱出しつつある。

    神話と宗教の違いが、この本では語られる。
    神話は具体的な世界をもとに生まれる。対して宗教は観念の世界である。

    ああ、今まで自分がやっていたことは、宗教だったのかもしれない、と思った。

    また、著者は現在流行しているアニメやゲームの物語は、神話的であるが、神話とは異なるものであるという。
    アニメやゲームの物語は、神話の「様式」であり、そこには「内容」がない、と。
    「内容」とは、具体的な世界のことである。物質の世界。自然。

    大量の物語を消費する僕たちの空虚さの正体が、少し見えた気がした。

  • 一般   164ナ 806615391

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宇宙、自然、人間存在の本質を問う、はじまりの哲学=神話。神話を司る「感覚の論理」とは?人類的分布をするシンデレラ物語に隠された秘密とは?宗教と神話のちがいとは?現実の力を再発見する知の冒険。

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