合理的とはどういうことか (講談社選書メチエ)

  • 24人登録
  • 2.17評価
    • (0)
    • (0)
    • (2)
    • (3)
    • (1)
  • 4レビュー
著者 : 岡部勉
  • 講談社 (2007年5月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062583886

合理的とはどういうことか (講談社選書メチエ)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 115.3||O37

  • 人間だけが不合理

  • 意志の弱さ(アクラシア)による行為は選択された行為ではない

  • 著者は「あとがき」で、本書を書くにあたって「価値の実在をめぐる現代の議論を、誰にでも分かるようにできるだけ整理しようということ」を一番最初に考えたと述べている。入門書として読めるように工夫を凝らしていることは認められるが、表面的な議論に終始しているような気がする。

    道徳的実在論の立場を採る著者が展開する議論の中で、注目すべき箇所は2点ある。一つは、ときに大胆な想像力を働かせながら人間性の起源について考察しながら、私たち人間がどの時点で自然的地盤を超え出て規範的合理性の能力を獲得するに至ったのかを見極めている点であり、もう一つは、自然主義的な認知主義者に対する批判をおこなっている点である。

    第一の論点については、比較的おもしろく読むことができた。著者はP・グライスが晩年におこなった倫理学的思索に依拠しつつ、自然的な合理性の能力と、規範的な合理性の能力を区別する。第一の能力は、自然的存在としての生物にそなわる能力であり、とくに自然発生的な小集団社会を構成する類人猿には、同一種の他のメンバーをあざむく能力さえ持つと考えられている。これに対して第二の能力は、理由に基づいて推論する能力である。こうした能力を人類が獲得したのは、自然発生的な社会を超え出て、自発的に集団同士の連帯と協力がおこなわれるようになった時点なのではないかと著者は推測している。こうした議論の細部をさらに詰めてゆくことが、けっきょくはこの問題の解決につながってゆくというのも、一つの立場ではあるだろうが、著者自身はそうした立場から距離を置いている。

    第二の論点については、著者の議論は認知主義者に対する十全な批判になっていないような気がする。たぶん認知主義者の議論のポイントは、私たちが「理性」という単一の能力だと思い込んでいるものは、じつは具体的な状況に対処するための個別的なスキルの寄せ集めなのかもしれない、ということなのだと思う。そうであるならば、私たちの生き方や考え方について、その合理性が丸ごと問題となるような場面があるのだと言い立てたところで、認知主義者には、大ざっぱな言葉を使用しているために真の問題の所在を見失っているようにしか見えないのではないだろうか。

全4件中 1 - 4件を表示

岡部勉の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジョージ・A・ア...
ヘミングウェイ
野矢 茂樹
國分 功一郎
三島 由紀夫
ウィトゲンシュタ...
有効な右矢印 無効な右矢印

合理的とはどういうことか (講談社選書メチエ)はこんな本です

合理的とはどういうことか (講談社選書メチエ)のKindle版

ツイートする