ギリシア文明とはなにか (講談社選書メチエ)

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著者 : 手嶋兼輔
  • 講談社 (2010年8月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062584791

ギリシア文明とはなにか (講談社選書メチエ)の感想・レビュー・書評

  • ギリシャ文明のことを知っているようで知らない。
    なにか適当な入門書がないかな?・・・と思っている人には絶対オススメの書です。

    ギリシャの発祥からローマによる属州化までが書かれているのであるが、現代のギリシャにも興味が繋がるように書かれている。

    コレだけ少ないページ数(232ページ)で短くまとめるのは余程知識が豊富でなければ出来ないことじゃないだろうか。

    単なる羅列に終わりがちだけれど、流れとしてきちっと整理されていて無駄がない。

    いかにも学者風ではなく、個人の興味、あるいは疑問点を中心にトピックを選んでいるのだが、その選ぶセンスがとても良い。

    しかも、自分の理解したところの裏付けとして、的確な史料を参照している。

    余程読み込んでいなければ出来ない作業である。

    文章もとても読みやすく、著者に対する親近感が得られる。

  • ともすれば西欧文明の源流とされがちなギリシア文明について、そうではなくオリエント・ギリシアからなる「東地中海文化圏」の一文明であったという史観をベースに、ギリシア⇔オリエント、ギリシア⇔ローマの関係性を中心としながらその特性を解き明かしてゆく。

    所謂「古典期」のギリシア文明は、その発祥からアイデンティティを確立するまでの重要な時期は、つねにオリエント、特に古くはエジプト、後にペルシアとの関係性を抜きに語ることはできないということがよく分かる。
    まさに東地中海を囲む一帯との関係性において発祥し、成熟し、そして残っていった文明圏なのだという主張は筋が通っているように思える。

    また、ペルシア戦争以前、ペルシア戦争以後、アレクサンドロス東征以後、ヘレニズム期・・・と、ギリシア人のオリエントに対する関係性や立場認識が徐々に徐々に変遷していく様も、手にとるように解き明かされていく面白さもある。

    そして最後は「後輩」たるローマに政治的には制圧されるものの、地下水脈のように「東地中海文化圏」は生き続けていく・・・と締めて終わるのだが、ちょっとこの最終章の主張は論拠が弱く、面白みに欠けるのが残念。

    前著に比べて、良い意味で「歴史学者っぽい」丁寧な書きっぷりになっていたのは個人的には良かった。

  • ギリシャ民族の独創的特技と言ってよい運動競技や身体訓練を思い起こす必要がある。
    ギリシャ以外のところでは、女性と奴隷は同一列のところに置かれる。アリストテレスからすれば、非ギリシャ世界はギリシャ世界の四周にそのままの延長として広がっているのではない。その間には、ギリシアとひギリシャを分け隔てる絶対的な境界線が引かれているのであり、民族も文化も習慣もその線を挟んだ双方は全く異質なのである。
    アリストテレスとアレクサンドロスというかつての師弟の対立はもはや後戻りできない地点まで達していた。
    書物を介し、あるいはギリシャ人学者との直接の接触を通して、ローマ人はギリシャに学ぶことを覚え始めた。
    ギリシャ語に翻訳されなければ、ユダヤ人以外の誰にも読んでもらえない。それはつまり、ギリシャ語にさえ翻訳すれば、多くの人に読んでもらえるという意味である。

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ギリシア文明とはなにか (講談社選書メチエ)の作品紹介

地中海世界は「東」と「西」に分かれている。ギリシア文明は、エジプト・ペルシアなどオリエント「先進国」のはざまのローカルな「東地中海文明」だった。その小さなギリシアが歴史の僥倖によりオリエントを征服し、西洋文明の源泉となる。「自由」と「海」の小さな文明が歴史に残した偉大な足跡を辿る。

ギリシア文明とはなにか (講談社選書メチエ)はこんな本です

ギリシア文明とはなにか (講談社選書メチエ)のKindle版

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