「イタリア」誕生の物語 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062585354

作品紹介・あらすじ

一八世紀末、イタリア半島は小国の集合体だった。サルデーニャ王国、ジェノヴァ共和国、ヴェネツィア共和国、モデナ公国、パルマ公国、トスカーナ大公国、教会国家、ナポリ王国、ハプスブルク帝国領のミラノ公国…。フランス革命の風を受け、統一国家「イタリア」の実現を目指す「再興運動」の激しいうねり。大国フランスとオーストリアの狭間で、いかにして「想像の政治的共同体」は成立したのか?明治日本にも大きな影響を与えた一大政治ドラマを活写する。

感想・レビュー・書評

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  • いま目の前にないものから、国という一つの虚構を創り出すストーリー。
    理想とするローマ帝国という求心力はある半面、イタリアという地域は領邦国家の歴史が長く一筋縄ではいかない。
    人間の営みはかくも複雑で、かくも美しい。日ごろのビジネスにも応用できそうな印象を受けました。

  • 1860年ころから統一

  • イタリアのリソルジメント史の通史です。

    歴史的に存在したことのない国家「イタリア」を再興しようというリソルジメント運動は、その起源を「1789年のフランス革命、その自由、平等、友愛の思想と結びついた」ものとする解釈が大勢で、終結は国民国家イタリアの樹立した1861年とされますが、その後も第一次大戦後まで併合は続きます。

    とても面白かった。この気持ちは幕末の本を読んだときに似ています。欲とか野望ではなく、国を思う気持ち。
    『伊太利建国三傑』のマッツィーニは吉田松陰、ガリバルディは西郷隆盛にたとえられています。納得。
    もうひとりのカヴールは、私の気持ちとして大久保利通にしたいです。

    この本の出版にあたって、藤澤房俊さんの姪御さんである藤澤祥子さんが文章チェックをされたとのこと。家族を大事にするイタリアっぽいなーと思いました。

  • イタリア近代史の大家、藤澤房俊先生の一般読者向けの概説書。
    リソルジメントの流れが綺麗に整理されてるが、相変わらず「」ばかりで読みにくい(^^;;笑

    西ローマ帝国が滅びてたから、中央権力が不在になったのが日本と一番違うところかなあ。
    特に南にナポリ王国や両シチリア王国ができたことが南北問題の端緒のような気がする。
    日本でいうところの琉球とかアイヌとかを想像するとわかりやすいけど、それらはあくまで中央権力(幕府や朝廷)への従属の下にあったはず。
    イタリアにはそれがなかったのが分裂状態が続いた原因かなあ。

    2013.7.9(火)

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著者プロフィール

1943年、東京生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。文学博士。東京経済大学教授を経て、現在、東京経済大学名誉教授。著書に、『赤シャツの英雄ガリバルディ――伝説から神話への変容』(洋泉社、マルコ・ポーロ賞受賞)、『シチリア・マフィアの世界』(中公新書、講談社学術文庫)、『「クオーレ」の時代――近代イタリアの子供と国家』(筑摩書房、ちくま学芸文庫)、『大理石の祖国――近代イタリアの国民形成』(筑摩書房)、『第三のローマ――イタリア統一からファシズムまで』(新書館)、『匪賊の反乱』『ピノッキオとは誰でしょうか』『マッツィーニの思想と行動』(太陽出版)、『「イタリア」誕生の物語』(講談社選書メチエ)、『ムッソリーニの子どもたち――近現代イタリアの少国民形成』(ミネルヴァ書房)、『ガリバルディ――イタリア建国の英雄』(中公新書)、訳書に、スティーブン・ランシマン『シチリアの晩祷――十三世紀後半の地中海世界の歴史』(榊原勝共訳、太陽出版)など。



「2019年 『地中海の十字路=シチリアの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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