- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062586092
作品紹介・あらすじ
エコールノルマル・スュプリウールを卒業し、知識人界の頂点コレージュ・ド・フランス教授に選任されたブルデュー。哲学を学び、やがて社会学に方向転換したブルデューは、今もフランスと世界の思想に大きな影響力を持つ知識人。界・文化資本・ハビトゥスなどの社会学概念は21世紀の社会を分析するのにも有効な武器となる。
感想・レビュー・書評
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ハビトゥス=実践感覚
文化資本と経済資本詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
《下級階級の出身ながら著名人になった者はふつう自分の出自を隠すか妙な作り話をでっちあげてごまかそうとするものだが、自分はそういうことはしない、自分の出自を引き受け、さらに自分の学問に生かしてきた、とブルデューはつねづねわたしに言っていた。》(p.16)
《五〇年代、六〇年代フランスの多くの若者たちが「レイモン・アロンとともに正しくあることよりはサルトルとともに間違うこと」を選んだのに対し、ブルデューはむしろアロンとともに正しくあることを選んだ、と言えるかもしれない》(p.70)
《人々が安心して暮らせる生活を保障する、富の公正な配分を図る、連隊を重視した政治・経済の運営こそが実は経済の収益性にとってもプラスになるのだ、経済学とはそのようなもの、「幸福の経済学」であるべきだ、という主張》(p.106)
《いまなお哲学が「諸学の女王」と自己認識していることを批判》(p.148) -
ピレネー山脈に近い小村に生まれ、パリの名門高等中学校さらに最高学府エコル・ノルマル・スュペリユールに進んだブルデュー。哲学を修めた後、一兵卒として赴いたアルジェリアでの体験は社会学専攻へと問題意識の決定的転換をもたらす。現実に強い関心を持ち、批判的知識人たらんとしたブルデュー。政治問題にコミットする一方、理論構築にも抜きん出ていたブルデュー。ハビトゥス、界、文化資本などの概念を創出し、社会の動力学を極めた社会学者の「生きた知」を解読する。
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文化資本の提唱者として有名なブルデューの一生と研究を解説した書。最初はブルデューの経歴から始まり、ブルデューの癖や性格、事交友関係について事細かに解説していて読むのに苦労した。しかし、後半の研究と思想についての解説に差し掛かると、一見どうでもいいように思えるエピソードが、実はブルデューの定義したハビトゥスそのものであり、ブルデューを理解する上で不可欠なのがわかる。解説書として優れてる。