都市の起源 古代の先進地域=西アジアを掘る (講談社選書メチエ)

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著者 : 小泉龍人
  • 講談社 (2016年3月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062586238

都市の起源 古代の先進地域=西アジアを掘る (講談社選書メチエ)の感想・レビュー・書評

  • 南メソポタミアの南部=シュメール地方=最古の都市「ウルク」=食料余剰が豊富にあった。指導者は倉庫の管理者。

    墓は同じ。倉庫に鍵はない。=当初は平等な社会。
    よそ者が集まってきて、倉庫に鍵がかけられた。
    神官=倉庫の管理=パートタイム的に役割を担っていた。

    うまい食べ物、快適な暮らしがよそ者を集める=都市的現象。
    ものづくりの専業=土器工房。金属器専業工。
    階層化が進む=司祭者がリーダーになる。鍵付きの倉庫。

    街の特徴=城壁と目抜き通り。排水の便のために、川に沿った道。上流側に神殿。

    メソポタミアとインダス・モヘンジョ・ダロ遺跡の対比。

    水は川の水は飲まない。井戸。革は排水用。モヘンジョ・ダロも同様。ローマの上水路は後々のこと。
    上水が豊富ではないため、ビールやワインが作られた。

    スポーツの原点はレスリング、ボクシングなど格闘技。

    目と蛇。土器の紋様に使われた。

    船から車へ、運搬具の変化。
    記憶補助装置「トークン」
    銅から錫へ。

    都市の規模は、ウルク後期には約250ヘクタール=皇居の2倍弱。南メソポタミアで、ウルク以上の都市は見つかっていない。

    戦争の始まり。都市国家の成立。
    軍人の職能が分化=よそ者の傭兵化。武器の製造=冶金技術の発達。
    文字の記録が進んだ=多数のよそ者に伝達するため

    インダス文明はメソポタミアに似ている。
    エジプトは気候が温暖で土地が豊か=どこに住んでもいい=都市化が進まない。

  •  都市の誕生後、都市国家の分立段階には、遠隔地から錫を輸入して、青銅が発明されていった。青銅の開発には、銀以上に、原料の確保から生産、流通にいたるまで複雑な工程と周到な人の配置を要する。そこには、政治的に組織された仕組み、すなわち国家の姿や国家権力の影が見えてくる。古代西アジアの都市の指導者は、銀とともに権力を掌握して、今度はその権力を行使して青銅製の武器を開発することになったのである。(p.38)

     ウバイド期の特定の集落では、もともと祈りの場として神殿が建てられたが、そこでは「祈り」を通して「安らぎ」も得られたと思われる。湿気対策用の溝や土管といった水まわりの施設には「快適さ」へのこだわりが見て取れる。ウバイド期には、こうした物質的な問題解決策とあわせて、精神的な快適さ、すなわち「心の拠り所」が神殿に求められていたのだろう。(p.63)

     生産工房域の隔離化の背景には、都市的な性格の強まった集落の人口増加を契機として、日常生活用の土器需要が増大して、本格的な生産設備が必要となっていた。そして、効率的な物づくりに向けた大量の原料・燃料などの搬入路を確保するだけにとどまらず、集落内での火災防止や煙害回避といった深刻な問題に対処する目的もあった。ウルク期の都市的集落において、一般住民の快適な暮らしを保つためにも、生産域の隔離は必要であった。(pp.82-83)

     西アジアでは、他に居住適地の選択肢に乏しかったため、同じ土地に継続して暮らしていくほかなかった。その結果、数千年にわたって同じ微高地が断続的に居住利用されていき、大量の建材や土器類が集積していく。西アジアでは比高差が数メートルで起伏の少ない小集落から、数十メートルの高さの大集落や都市に至るまで、おもにテル(テペ)型の遺跡として残っている。西アジアでの居住面は重層的に「上へ」伸びて、時間的な変化を捉えやすい。(p.214)

     レンフリューは「文明とは、人間が自然だけから成る原初の環境から自己を切り離すために作り上げた自作の環境である」としている。(中略)日本には、水と緑があふれ、あらかじめ快適な場が整っていた。恵まれた自然環境と調和してきた人々にとって、あえて快適さを追求する必要はなかった。極端な言い方をすると、ある程度辛抱すれば自然の恵みに満ちた暮らしが得られたので、あえて都市的な空間を造りだす動機が生じなかったのである。(p.219)

     なぜ西アジアで都市が生まれたのか。メソポタミアを中心とした西アジアの風土は、日本の柔和な協調といった気風とはまったく異なる。都市誕生の背景には、環境に根ざす暮らしの在り方が強く影響していた。限られた居住適地で快適な空間を追求する姿勢は、過酷な環境でさまざまな価値観の人々が共存できる空間を生み出すことになった。対立や競合を本質とする西アジアゆえに、主義主張の異なる集団が互いに自滅せずに生き残る知恵として、「陽」と「陰」の調和が保たれた都市が創り出された。そして、国家的な組織のもとで、支配者は強大な権力を行使して国土の拡張へと走っていったのだ。(p.222)

     調和と共存の足跡が、西アジアの地に残っていることに気づいてほしい。古代の人々は知恵を絞り、工夫を凝らして、少しでも快適な空間を構築していった。対立と競合を風土とする西アジアで、いかにして価値観のぶつかり合いを和らげて、共に暮らす道を歩いてきたのか。手掛かりはすぐそこに埋もれている。(p.225)

  • シュメールなど古代都市の成立起源に興味があれば。

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都市の起源 古代の先進地域=西アジアを掘る (講談社選書メチエ)の作品紹介

世界の考古学者にとって、「都市の起源」は、「人類の起源」「農業の起源」と並ぶ「三大テーマ」のひとつである。大規模な集落に人々が集住し、快適な暮らしを求めて試行錯誤し、そこで新たな経済活動と政治権力が生まれる。「都市の起源」を探究することは、文明の起源を知ることなのである。
 従来、「世界最古の都市」とされてきたパレスティナのエリコ(イェリコ)は、近年、その「都市説」が見直されている。では、「世界最古」はいったいどこなのか? おもに西アジアで都市形成期の遺跡発掘に携わってきた著者は、イラクのウルク遺跡と、シリアのハブーバ・カビーラ南遺跡を「最有力候補」として挙げる。本書は、この二つの遺跡を中心に、メソポタミアのアブ・サラビーフ、ウル、バビロン、エリドゥなどのほか、インダスのモヘンジョダロ遺跡なども検討し、「都市はどのように誕生したのか」「なぜ、西アジアに最初の都市が生まれたのか」を探っていく。
 著者によれば、人の移動、すなわち「よそ者」の流入が契機となって、集落内の富の偏在、すなわち格差が生まれ、また同時に快適な生活空間への工夫が促されて「都市」が発達してきたという。

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