李歐 (講談社文庫)

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著者 : 高村薫
  • 講談社 (1999年2月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630115

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李歐 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 平凡な暮らしを送っている自分には到底計り知れない一彰と李歐の生き様でした。李歐が大陸に渡ってから再会までの15年の一彰の人生は、表面では一彰の物であって奥底では利歐と共にある二重底のような物に感じられました。大学生までの一彰の時間は止っていて、李歐と出合った事で時間が動き出したという事でしょうか。この二人の繋がりはちょっと簡単には言葉に出来ない。見たことの無いものを見せられて呆然として、読後ふわふわ漂ってる気分です。

  • 壮大な恋の物語。
    これ、ラブストーリーですよね??
    殺し屋に一目惚れした主人公が万難を排して恋を成就する話し。
    晴子の後に読んだので、ピカレスクな内容にも関わらず、表紙の桜色のように「キラキラ」かつ「フワフワ」した印象を受けた。

    広大な大陸の情景と、大阪の繁華街&裏通りの饐えた臭いがリアルに思い出される、著者の描写は秀逸だと思います。
    拳銃の構造に魅かれる主人公の心理も、ものすごく理解できたり。殺傷する道具としてではなく、拳銃の造形と構造に魅かれる。

    原口組長がお気に入りかな。

  • 暗くて重い話だ。 
    読むのにかなりの集中力を要します。

    この人の本は何冊か読んだけれど、人の薄暗い情念や、鬱屈とした感情を描かせたらピカイチだと思います。

    抽象的な話になりますが、薄暗い部屋の様な小説です。

  • 『殺し屋と学生がいつか大陸に行く約束をし、約束が果たされるまでの15年間いろいろな事がある。』って話。この15年の間の出来事っていうのが、学生が拳銃フェチになってやくざと付き合いがあるようになるとか、殺し屋は大陸で事業を始めて成功するけど殺されかけるとか、本当にいろいろあります。けど、2人はお互いの夢の中で逢って再会を誓いあったりして、ちょっぴりファンタジー。この二人の微妙な関係が・・。乙女ゴゴロをくすぐるのでしょう。(私が乙女と呼べる年齢かどうかは置いといて)

  • 「わが手に拳銃を」を先に読んでましたが、更に面白くなっていました。
    カタカナいっぱいなのは正直飛ばして読んじゃったけど。

  • 数年ぶりに再読。以前読んだときは「ぽかーん」としただけだったのが、不思議なことに、この再読では、一気に惹き込まれて虜になった。あまりに魅力的すぎる李歐という存在もさることながら、はっとするような美しく色気のある文体や表現に心を鷲掴みにされた気分。ハードボイルドというよりも、人間同士の絆や因縁、時代に翻弄される混沌とした世界観が主軸になっている気がする。桜の描写が美しく、主人公一彰の父親のような存在である守山の、ふとした行動に人間臭い温かさみたいなものを感じて、ぐっときた。
    ほんの一瞬のような邂逅で、それ以降会わずとも互いを思い合い、15年越しの再開を果たした一彰と李歐の情愛は読んでいて胸が苦しくなったし、とてつもない熱を感じた。

    ところどころに混じる中国語の響きも柔らかく美しくて、華やか。

    いいものを読んだなぁと心から思った。
    李歐が、とにかく、魅力的。

    文庫のカバーデザインもとても綺麗でこの小説の雰囲気にぴったりだと思う。

  • 初めて読んだジャンルだったが、どんどん話に引き込まれていった。大陸のどこまでも続く地平線が目に浮かんだ。

  • 作者が女性とは思えないくらい硬質で重たい作品。とにかく李歐がかっこいい

  • 最近再読。個人的にナンバーワン。
    李歐が朝ごはんを全て鍋に入れてごった煮するシーンが好き。
    一彰のいう「大陸」を感じる。

  • 本屋で買い占めて、誰にも読ませたくない!と思った、唯一無二の本です。
    望むと望まざると、水銀灯・一彰の人生には李歐がらみでありとあらゆることが起きますが、田丸の一刀両断。「この写真を見たら、案外何ということはない話やったのかなという気もしてきた」。田丸、GJ!

  • 久しぶりに高村薫の長編小説が読みたくなり、古書店に並んでいたこの作品を、選んでみました。
    舞台の始まりは80年代。
    大学に通いながら、ある目的を持って、昼と夜のアルバイトをする学生が、この物語の主人公です。
    ある夜、アルバイト先で、同年代の不思議な男と出会います。
    そして事件に巻き込まれて・・・という展開。
    話はその後、主人公の幼少時代へとさかのぼり、そして不思議な男との因縁の物語が続きます。
    種を明かしてしまうと、その不思議な男というのが、この小説の題名。
    戦後から東西冷戦終結までの、日本・中国・東南アジア、そしてアメリカの政治的な動きが、この物語の背景にあるようです。
    でも、その時代のことをあまり知らない僕でも、物語の展開を楽しむことが出来ました。
    この作家さんの作品に登場する男性たちについては正直、「こんなハードな人生は僕には送れないな」と思うことが多いです・・。
    また、男性の同性愛の描写が多いのも、この作家さんの特徴だなと感じます。
    なので、登場人物に感情移入して読むという訳ではないのですが、周到に練られた重厚な物語の展開の面白さと、描かれている時代のうねり、空気のようなものが感じられるのが、高村作品の魅力なのかなと思います。
    まだ読んでいない長編小説があるので、機会を作って読んでみたいと思います。

  • なんだか読んでいて晴れ晴れした気分でいて、どこか切ないような。
    すごく細やかな描写で、李歐と一彰の友情とも愛情とも言える想い合いが描かれています。ずっと読んでいたい。
    船のところがとても印象的です。

    「惚れたって言えよ――。」  惚れました。

  • ラストでぐっときた。しかし、最後の最後で「あれ???」となってしまったけど・・・まあよし。
    友情だか恋だか、純粋な愛情の前では、カテゴリーなど何でもいいのだなあ、と感じさせられた。

  • 壮大な物語
    と言ってしまうとあまりにも陳腐かと思いますが
    貧困なボキャブラリーでは人の一生と
    その一生に値するだけの人を想う気持ちを
    言い表すことができそうにありません。

  • 一体、何なんだっ、この小説は……! と思わず悶えてしまうほどのボリュームにただただ陶酔しきった。
    この読み終わって、一彰の、そして李歐の間に常に寝そべっていた距離にもう苦しくならなくてよいのだ! と思う反面、まだ読んでいたいという葛藤に苛まれ苛まれしてもう……。

    それでも李歐よりも、どちらかといえば一彰という、初めから運命の歯車の中に組み込まれでもしていたかのような人生を送った男の物語としての印象が強い。
    勿論、手紙や口頭で伝えられる李歐の武勇伝などにも奥行きがあり、滲み出るハードボイルドな格好良さの裏づけもある。
    だが、それよりも一彰の人生のほうをより思ってしまうのだ。
    きっとそれこそ李歐という男が一彰の心の中にいたからなのかもしれん。

    とにかくこんなたった一冊の本に書かれた人生なのに(読むのは大変だったけど)、胸が張り裂けそうで、軽く50歳くらい歳取らされたような、とてつもなく長い人生を私まで生かされたような感覚がずっと残っている。
    それが何とも苦しく、幸せでならない。

    唐突だった「守山工場」章が、章が進むごとに重みを増してきて、高村薫という作家の力量を見せ付けられたような気がした。
    あと最後の李歐の台詞 「おい、これをやろう」 で、なんかもー全部持ってかれっちまった、魂ごと。
    ほんと高村薫には敵わねーよ!

    あんまり李歐にぞっこんになってしまったので、香港マフィア映画をたくさん借りてきてしまった。
    恐ろしい男だよ、李歐さまは……!
    惚れたって言えよおおお!(まだしばらくは興奮のさなか……

  • はじめて読んだ高村薫作品。ことばの選び方というか、文の組み立て方というか、どことなく癖がありますが、生々しくも妖艶な文章の、想像力をかきたてる力がすごかったです。魂で惹かれる相手に出逢い、夢を約束し、15年も変わらず想いつづけた李歐と一彰は、そうなれない絶望を抱えながらもだれもが自分の知らないどこかで求めている関係であり、憧憬なのかもしれません。小説全体の細部にわたって詳細に書かれているので、そんなふたりの存在がリアリティをもって成り立ったのだとおもいました。船の場面は秀逸。

  • また読みたくなって購入。どこか冷めた日本人吉田と殺し屋李毆との友情(っていうと、まー軽くなっちゃうが)。アジア版バナナフィッシュか。桜が美しくて、笹倉というおっさんとか魅力的です。高村薫は好きだわー。

  • 美貌の殺し屋李歐と、平凡なアルバイト青年一彰の物語。

     ……平凡、かな? 普通のアルバイト青年は、自分を脅してくるからってバイト先の先輩(ジャンキー)をスパナで殴ったりはしないと思うのだが。しれっと「僕はしりません」ってやれないだろう、普通の二十二才の青年は。一彰は銃が大好きで、鋼の感触に欲情して。人が殺されても、何が起きても動じない。
     とはいえ、無夜は一彰に共感できました。怖さとかをよく理解していないところが。無夜は最近、車が怖くないんですよ。間近を通っても冷や汗もかかない。そのうち、ひき殺されるでしょうね(苦笑)

     無夜はこういう雰囲気の話好きです。ぎりぎりな雰囲気。緊張感。白刃の上を歩いているような。
     内容は前半、後半も、銃の話です。ことこまかい部品の話。こんなに詳しい銃の話って無夜は見たことないですよ。銃の製作工程なんて、ねえ??
     一彰はしょっちゅうホモに付きまとわれ(アルバイト先のマネージャー、その後は刑務所でヤクザの組長と会って出所してからも、殺し屋絡みで後ろ盾になってもらわないといけないんで関係がずるずる続く)、最後には李歐の元で息子と一緒に暮らし始める、っていう。息子耕太は父親が二人になった、と。(アメリカとかのゲイカップルみたいだな)
     その李歐と再会するまでに、ざっと十五年が過ぎてしまって。二十二才だった青年達は、三十六・七になってる。
     521ページ。けっこうな分厚さ。
     すごく、色っぽい話なんですよね。ボーイズみたいに濃厚な濡れ場を入れているわけではないのに。
     で、李歐を本屋で購入しました。(中古で、なんて思いもせずに)無夜にそうさせたのは、一彰のこの台詞。
    「李歐、君は大陸の覇者となれ、僕は君についていく夢を見るから……」
     ……映画でこのシーンをやったら凄く綺麗そう。後半を一呼吸あけて、目を閉じてしっとりと言ったら無夜は半狂乱になるでしょうな。ここまで入れあげたのは、久しぶりです(笑)

  • すごくきれいな話でした。
    著者の作品で、男性同士の怪しい感じが描かれる作品が何作かありますが、これは結構全開な感じがしましたな。
    ただ、これも著者の美的感覚の成せる表現力でしょうか、水墨の美しい絵が浮かぶような、何とも鮮やかな印象がありました。

    私の著者のすごいと感じる部分で「タフさ」があります。
    本作には「わが手に拳銃を」という前身となる作品があり、それなりの大作であるにもかかわらず、完全に仕上げるためもう一度過去作に向き合い生まれ変わらせることができてしまうのですね。

    作品数が多くないうえ、一作一作がくっきりとした個性を持っているので、全作品が記憶に残っています。

  • 或る時は殺し屋、或る時は債権取引のトレーダー、或る時は密林のゲリラ…華麗に装いを変え、あたかも「舞う」ように世界を生きる『李歐』と、本文で「冷えた毒蛇」と称されるように、輪郭に冷徹さを纏いつつもその身の内側に、何かしらの熱を持つ『一彰』が大陸を夢見て長い長い旅をする――
    拳銃の硝煙の臭いと、ひとを惑わせるという桜と、ひとの死と、広々とした大陸。流暢な舞いと詩。それらが物語中に散りばめられている。
    その中でも特にうつくしく表現された、桜や舞いや歌声は、血の臭いに満ちた闇の中にあるからこそ、その美しさが一層際立つ。

    ひとにひとの魂に"惚れる"のに時間はかからない
    磁力のように引き合うふたりから目が離せなかった。


    正直に申しますと、序盤からかなりの間、どうにも読みのペースが進まず、これを読みきるという気持ちは徐々に小さくなっていった。しかし半分を過ぎた頃から、物語の歩むペースはテンポを上げていく。
    来るべき終わりへと、二転、三転を繰り返し、時代が変わり、ひとが変わり…それでも変わらないものがあった。物語中の変わらないものたるや、ひとを惹きつけて止まないものである…(少なくとも私においては)

    桜。大陸。一彰の夢。クライマックスのシーン。物語の締めくくりの部分はこちらがその風景を夢見ているのではないかというくらい、鮮やかだった。

    願わくば、大陸の覇者とその家族が、桜舞う彼の地で安らかな夢を見んことを

  • 「わが手に拳銃を」未読。久々に心を捉えられた。
    前半はあらすじを裏切って重いです。「女性、男性、犯罪をも魅了する
    綺麗で淫乱」な主人公一彰と中性的な美しさとカリスマ性を
    備えた李歐が繰り広げる青春物語ですが若干友情を飛び越えて
    精神的な同性愛感情も含まれてるなあと思いました。
    お互い妻子を持ちながらも死に別れ、最後には
    息子と「父親二人」で暮らす大団円の図にはなんとも
    一言では表せない穏やかな感情を抱きました。
    内容は事件ものではなく人と人との因縁、関係の形、幼少時の
    思い出をどう消化するかなどがハイライトされています。
    これといった珍しいイベントはありませんが、注目すべきは
    李歐と一彰の魅力だと思います。
    「心臓が妊娠したような気分だ・・」「そいつは嬉しいな。ぞくぞくしてきた・・」
    の台詞には度肝抜かれた・・

  • 「惚れたって言えよ」で(私の頭が)爆発した作品。
    爆発した、というより、爆発せざるを得なかった作品。
    BLではないし、かといって普通の男同士の友情ではないと思う。
    何か、人と人との繋がりで、面倒なものを全部取っ払うとこうなる、みたいな。
    というか、帯の時点で爆発ものですよね。
    「李歐よ、君は大陸の覇者になれ。ぼくは君の夢を見るから」
    どういうことなの、一彰。
    見方によっては一彰のシンデレラストーリー。
    いや、笑い事じゃなくて、ほんとに。

    でも、BL的なフィルターをかけて見るとですね、一彰の本命は李歐なんですが、一彰の周りに李歐のライバルが多過ぎるというね。

  • この本を一概に「男たちの友情を描いた小説」や「同性愛を描いた小説」とは言えないと思う。
    一彰と李歐が互いに抱くものは友情を超越した、愛までをも超えたなにかのように思えた。
    数ある女性を抱き、妻子も持った一彰だが、その一彰が本当に、魂がふるえる程愛したのは李歐ただ一人だけだった。
    友人であり、恋人であり、家族であり、魂の仲間である、それが李歐なのだ。


    読後は幸福に満たされて、涙が止まらなかった。
    本当に良い作品。

  • 圧倒的なスケール。
    重いストーリーなのにすっきりするエンディング。

    読み終わって満足できたのは久しぶりの作品だった。
    本筋にあんまり関係はないんだけど、後半の奥さんが死ぬ直前のシーンでの一彰の心境の転換が一番心に残ってる。誰もいないと思って帰ってきた家の玄関に積んであるデパートの紙袋だとか、その癖主婦らしく、無茶な買い物はしないところとか、そんな当たり前のことが。微笑ましくて。
    そのあとの絶望感が半端なかったよ!(笑)

    あと桜見に行きくなった。ひとりでぽかーんと。

  • 所々の描写が繊細で、ちょっとしたほのぼのシーンに癒されました。李歐に惚れてしまいそう・・・笑 少しだけ中国語に詳しくなれました。

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